12月号

今月のテーマ:インフルエンザの予防、早期診断、早期治療


◆インフルエンザとは?
インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染によって起こる急性の呼吸器感染症です。突然の発熱、頭痛、全身各部、特に関節の痛み、全身倦怠感や脱力感を主な症状として発症し、それと前後して咳やのどの痛み、鼻水、鼻づまりなどの呼吸器症状が出現するようになります。また全身症状も比較的重く、40度近い発熱、食欲減退、吐き気、下痢などがみられることもあります。
症状は、通常1週間前後で回復に向かいますが、基礎疾患(糖尿病・肝臓病・心臓病など)を持つ人、高齢者や小児の場合は合併症を起こしやすく、死に至ることもある「怖い感染症」です。毎年、高齢者や慢性の基礎疾患を持った方を中心に、インフルエンザで数百名の方が亡くなっています。厚生省の調査によると、1999年の日本人の平均寿命は男女とも、少し短くなりました。この原因は昨年のインフルエンザの大流行により、肺炎の死者が増えたことによるもので、男女共に寿命が短縮したのは、阪神大震災があった1995年以来です(読売新聞平成12年8月19日)。小児においては、数は少ないのですが、死亡率、後遺症の率ともに高いインフルエンザ脳炎及び脳症が問題です。昨年の厚生省の調査では、脳炎・脳症を続発した患者さんの中に、インフルエンザワクチン接種を受けていた人は1例もいませんでした。

◆なぜインフルエンザは毎年流行するのか?
インフルエンザウイルスが他のウイルスと最も大きく違っているのは、同じ人が何回も感染してしまうことにあります。あるウイルスに感染して回復すると、私たちの体にはそのウイルスに対する抗体ができて、二度と感染しないのが普通です。しかし、このウイルスは、頻繁にその姿を変え、ウイルスの構造が変わってしまうので、前回感染したときの抗体は、新たに侵入したインフルエンザウイルスを認識することができません。それで、ウイルスを体内から排除することができないため、また同じ人が感染してしまうわけです。もし、ウイルスの変化の程度が小さければ、小規模な流行が起こり、大きな変化を起こした時は大流行が起きます。

◆インフルエンザの予防はワクチンです
インフルエンザワクチンの予防効果は決して100%ではありませんが、60%〜80%あると言われています。また、インフルエンザにかかってしまった場合でも、ワクチンを接種している人は症状は軽くてすみます。接種はインフルエンザ流行前に1回もしくは2回必要です。遅くとも12月末までには1回接種をされるとよいでしょう。インフルエンザワクチンの免疫をつけるためには2週間程度かかりますから、新聞やテレビでインフルエンザの流行が報道されてから、ワクチンを注射しても遅い場合が多いと考えてください。
インフルエンザワクチンの接種費用は健康保険が効きません。当クリニックでは1回の接種料金を3,500円としています。十分な免疫を得るためには、1回目のワクチン接種後、3〜4週間の間隔をあけて2回目の接種をおこないます(今年度より1回のみの接種も可能となりました)。インフルエンザワクチンは副作用の少ないワクチンですが、接種部位の腫れ、かゆみなどの局所反応が時々見られます。また、まれに発熱、頭痛、倦怠感などの全身症状がみられることがあります。
こまえクリニックでは、以下の方にワクチンをすすめています。

・65歳以上の方・高齢者と接する方
・幼稚(保育)園児・慢性疾患のある方
・受験生とその家族・気管支喘息の方

◆ワクチン接種以外の感染予防の対策は?
インフルエンザの予防・治療ともに最も大切なことは、『休養』です。ぐっすり眠り、体力を維持することが重要です。うがいや手洗いの励行はもちろんのことですが、バランスの良い食事をとるようにしましょう。特に、タンパク質・ビタミン類(緑黄色野菜・柑橘類)が不足しないようにすることです。入浴後の湯冷めや寝冷えに注意し、入浴後は早く床に入り、暖かくして寝ます。寒気に襲われた時には温かい飲み物を飲みましょう。また、気温差は身体にとって意外とストレスになりますので、こまめに衣服の着脱を行い、外出する際は上着を持ち、暖かくして出かけて下さい。

◆インフルエンザは早期診断が可能です!
インフルエンザの診療は、ここ2、3年で格段に進歩しました。まず、インフルエンザの診断ですが、今までは診断に3〜5日を要していました。ですから、インフルエンザと診断された頃には、患者さんはもう治っていたということが多々ありました。しかし、昨年よりインフルエンザ迅速診断法が認可されました。これはどの医療機関でもできるわけではありませんが、のどを綿棒で擦り、その中のインフルエンザウイルスの有無を調べるものです。これにより、その場で10分ほどでインフルエンザかどうかの診断が可能になりました。昨年、「こまえクリニック」ではこの方法で多くの患者さんをインフルエンザと診断できました。

◆インフルエンザは早期治療が重要です!
インフルエンザの治療もまた進歩しました。これまでは、インフルエンザにかかったら、安静にして、体力の回復を待つより方法がありませんでした。しかし、最近になって、インフルエンザウイルスが陽性の場合、シンメトレルという薬を使えるようになりました。この薬は、体内でインフルエンザウイルスの増殖を抑え、体の外へ排除するのです。これにより、本来なら40℃近くまで発熱していたのが、37℃台でストップするという症例を昨年何例も経験し、私も驚きました。ですから、インフルエンザを疑ったら早めに医療機関を受診し、早期に治療することが大切です。

◆心筋梗塞
・概念:主に動脈硬化による冠動脈の狭窄の上に、血栓ができて冠動脈の血流が急激に減じ、心筋が壊死を起こす疾患。心筋梗塞症は、心臓(心筋)を栄養する動脈である冠動脈の主として比較的太い部分が詰まることにより発生します。多くの場合、ある程度狭窄病変があり、そこに血栓がつき完全閉塞を起こします。血栓がつくのは狭窄を作る粥腫の破綻が原因と考えられています。冠動脈が閉塞する前(心筋梗塞になる前)に、胸苦しいとか胸が痛いといった前駆症状がある場合もありますが、まったくそうした前駆症状なしに突然に冠動脈が詰まってしまうことがあります。
・症状:
(1)胸骨下or心窩部の締め上げられるような痛み、30分以上続く(ニトログリセリンは無効)。左肩、背部への放散(+)。
(2)顔面蒼白、冷汗、不安感
(3)呼吸困難
(4)嘔気、嘔吐、悪心

インフルエンザに関する情報●

インターネットにアクセスできる方は、以下のURLにアクセスしてみて下さい。数あるインフルエンザのホームページ(HP )の中でも有益な情報が満載のHP です。

 インフルエンザ情報サービス http://influenza.elan.ne.jp

(2000年12月)

◆◆生活習慣病と市民ミニドック◆◆

 狛江市には、生活習慣病の早期発見を目的とした「ミニドック」という制度があるのをご存知でしょうか? この「ミニドック」は狛江市に居住する35歳以上の男性、30歳以上の女性ならだれでも年に1度無料で受診することができます。「こまえクリニック」ではこの「ミニドック」を狛江市民の健康増進のために積極的に実施したいと考えています。この検査を受けるために市役所や医療機関へ事前に申し込む必要はありません(健康保険証も必要ありません)。また、この「ミニドック」と、あいとぴあセンターで受診できる集団ガン検診と併用すれば、より確かな健康管理がおこなえます。

お問い合わせ : hojo@koma-cli.jp →mail

バックナンバーはこちら

1999年11月号 生活習慣病を理解しましょう
1999年12月号 インフルエンザの予防と治療について
2000年01月号 花粉症などアレルギーで起こる病気について
2000年02月号 かぜのくすりの正しい知識を持ちましょう
2000年03月号 スギ花粉症2000年対策
2000年04月号 糖尿病大丈夫ですか?
2000年05月号 女性とホルモンと病気
2000年06月号 食中毒の予防について
2000年07月号 子どもが熱を出したら
2000年08月号 高脂血症について
2000年09月号 高齢者の病気の特徴と骨折について
2000年10月号 健康診断を受けましょう
2000年11月号 心臓の病気と高血圧症

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