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今月のテーマ:かぜのくすりの正しい知識を持ちましょう |
◆かぜの原因はウイルスです
かぜは日常診療の場では最もよくみられる病気です。年間一人あたり平均5〜6回かぜをひくと言われています。かぜの原因の80〜90%はウイルスですが、そのウイルスが200種類以上におよぶといわれています。しかしその種類に関係なく、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・のどの痛み・咳・痰など加え、発熱・頭痛・全身倦怠感・食欲不振などの全身症状(時に、嘔吐や下痢などの胃腸症状)を伴うと言う点では共通しているので、一括してかぜ症候群と取り扱われます。以下はかぜ症候群を単にかぜと記します。
◆かぜに効くくすりはない?
現時点では、かぜのウイルスをやっつける薬がまだ見つかっておりません。したがって、かぜそのものを治療するくすりというのはないのです。かぜの治療は対症療法(症状に対する治療)とウイルスで傷害された気道を細菌などが二次的に感染して起こる合併症から予防することが中心となります。かぜをひくとわたしたちはいわゆるかぜ薬(綜合感冒薬)を服用しますが、こうしたくすりには、かぜの諸症状に対する薬が何種類も配合されています。通常、熱をさげて痛みをやわらげる成分、鼻水を止める成分、咳を押さえる成分、痰を切れやすくする成分などが配合されています。軽いかぜであれば、このかぜ薬でもかまわないのですが、注意していただきたいのは、かぜと言っても色々なタイプがあります。ノドが痛くなくても、熱が出ていなくても、こうした薬を服用すれば、ノドの痛みをやわらげる成分や熱を押さえる成分も飲んでしまうことになります。薬である以上何らかの副作用を持っていますので、必要のない成分を服用して、副作用だけが出てしまうなどの好ましくない結果となる事もありますので、安易な服用は避けるべきでしょう。
◆医師がおこなうかぜの治療とは?
かぜに対しては、対症療法的な薬物治療を行なうわけですが、私たち医師が使う薬はそれぞれの成分に分かれており、診察の結果、必要と思われる成分を、その人の体に合った分量で処方します。私たちが実際に使用するのは、以下のようなくすりです。
「解熱鎮痛剤」
……発熱は微生物に対する防御反応のひとつで、ウイルスの活動を鈍らせたり、微生物を外へ追い出す線毛運動の働きを活発にします。ただし、高い熱が長く続くときは、「解熱鎮痛剤」を使って熱を下げるようにします。またこの薬は頭痛をやわらげるのにも役立ちます。「抗ヒスタミン剤」
……鼻水がたくさん出過きると、くしやみや鼻づまりの原因となるため、これを抑えるために使われます。この薬を服用すると、眠気を起こす場合があるため、機械作業、車の運転などをしている方は注意する必要があります。「鎮咳剤」……咳は、もともと気道の異物を排除しようとする生体の防御反射の一つであるため、むやみに止める事は慎まなければなりません。しかしながらひどく咳き込んで著しく体力を消耗してしまうような場合には、薬を使って止めることも必要になってきます。鎮咳薬は「麻薬性鎮咳薬」と「非麻薬性鎮咳薬」に分けられます。
「去痰剤」
……痰には、微生物をひとまとめにして外へ出しやすくする働きがあります。痰がのどにからんで吐き出しにくいとき、「去 痰剤」は線毛運軍動を活発にし、痰を外へ出しやすくします。
「抗生剤」
……かぜはウイルスが原因とされていますが、細菌感染を併発してしまった場合や、高齢者や基礎疾患のある方には、二次感染を予防する目的で、比較的初期から「抗生剤」が投与されることもあります。これらのくすりはさきほど述べたように、かぜの本質を治療する薬ではなく、「かぜによるつらい症状」を軽減させることを目的としています。
◆かぜの養生、三つのポイント
保温……温度条件を寒くすると、発熱反応が加速されますから、からだを冷やさないようにしっかり保温しましょう。
睡眠……睡眠時は、抗体をつくるリンパ球の活動が促進されます。つまり睡眠を充分とることによって抗体をたくさん作る能力(抗体産生能)が上がり、回復が早くなります。
栄養……栄養のあるものを食べ、水分を補給することも大切。極端に食欲が落ちている場合は、おかゆをとりましょう。
◆かぜに関する2つの注意点!
かぜでまず気をつけなければいけない事は、かぜと甘くみるあまり、治療が遅れて肺炎などの合併症を引き起こさないようにすることです。もうひとつ重要なことは、かぜに似た症状でも、全く別の病気だったりする事があるということを知っておくことです。咳がいつまでも続いて、なかなかかぜが治らないと思っていたら、肺癌だったということがあります。発見の遅れが文字通り「命取り」になる事もあります。また、免疫力や体力のない乳幼児や高齢者では、合併症を引き起こすことがないよう特に注意が必要です。「かぜ」を甘くみず、まだ軽いなどと自己判断せずに、早めに医療機関を受診する事をおすすめいたします。
(2000年 2月号)
〜インフルエンザ雑感〜
年が暮れる頃から、ぼちぼちインフルエンザの患者さんが来院されるようになり、今年にはいってその数が増えてきました。昨年秋からの異常とも思えるインフルエンザ報道のせいもあり、当クリニックでもインフルエンザワクチンがかなり不足しました。インフルエンザワクチンには、3つのタイプの不活化インフルエンザウイルスがミックスされています。先日、インターネットで今年流行しているインフルエンザウイルスとインフルエンザワクチンの対応を調べてみました。A型インフルエンザは2つのタイプとも一致していました。また、B型インフルエンザウイルスはほとんど検出されていません。したがって、インフルエンザワクチンの効果が十分期待できるものと思います。
その一方で、一昨年の11月よりシンメトレル(アマンタジン)というA型インフルエンザの特効薬が認可になり、さらに今シーズンからA型インフルエンザの迅速診断キット(10分でA型インフルエンザの診断の白黒がつきます)が使えるようになりました。私たちはこうした準備をしてインフルエンザウイルスの襲来にそなえました。インフルエンザを疑った患者さんにこの検査をおこない、A型インフルエンザと診断されたら、シンメトレルを処方するというのが基本的な流れです。この薬を今シーズンより本格的に使用していますが、多くの患者さんでその効果には目を見張るものがあります。39℃の発熱で来院した患者さんが、翌日には平熱にもどり、ケロッとしているのにはこちらのほうが驚いてしまいます。インフルエンザは今までのように、ワクチンによる守りの医療だけでなく、積極的に治療できるようになったというのが実感です。
(H12年1月24日記)
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