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生命保険会社に関する本を2冊読みました。
1冊は『プルデンシャル』(アール・チャパン・メイ、ウィル・アーズラー著/毎日新聞社)。アメリカのプルデンシャル生命保険の創業(1875年)から18950年までの歴史を小説仕立てにしたもので、その大半が、創業者のジョン・ドライデンの物語になっています。
1875年当時、生命保険は裕福な人が入るものでしたが、ドライデンは、保険は貧しい人にこそ必要だという信念に基づき、保険金額は少ないけれど誰でも加入できる新しいタイプの保険を販売する会社を作ります。いつの時代も、新しいことを始めるには苦労がつきものですが、ドライデンは強い意思でそれを乗り越えます。生命保険も、最初はベンチャーだったわけですね。
プルデンシャルは現在アメリカ最大手であり日本にも進出しています。この本はいわば会社の身内が書いた本なので、美談化されている面はないとはいえませんが、創業以来の「互助精神」は今も受け継がれていると聞いています。
もう1冊は『連鎖破綻 ダブルギアリング』(香住究著/ダイヤモンド社)。経営破たんの危機に瀕した架空の会社「清和生命」の社員たちを主人公にした小説です。架空とはいえ、出てくる銀行や保険会社などは、実在のものの名前をほんの少し変えただけなので(これが結構笑えます)、ほとんど実録といえます(著者もそれを狙っているわけ)。話は2003年3月末に始まり、そこへ至る経過をバブル期の1982年2月に戻って振り返る形になっています。
小説としては非常におもしろいのですが、これがほぼ事実かと思うと、やりきれない気分にさせられます。2冊続けて読むと、ベンチャーだった生命保険会社が、ずいぶん遠くまで来てしまったな、と思わずにはいられません。特に皮肉な結果になっているのは会社の形態です。ドライデンは、会社が大きくなってから、株式会社だったプルデンシャルを相互会社にするのに苦労しています。というのは、株式会社は株主の利益を最優先しなければなりませんが、それは必ずしも保険の契約者の利益にならないからです。そこで契約者が経営に参加できるように相互会社にしようとしたのです。
一方、日本の生命保険は相互会社であったがために、株主による経営のチェックが行われず、バブル期にある種の「暴走」を招いてしまったという側面があります。最近では、資金調達をしやすくするために、相互会社から株式会社へ転換する会社もありますが、いずれにしても「契約者の利益を最優先する」という視点は見られません。
保険会社の破綻前に予定利率を引き下げることのできる改正保険業法は、『連鎖破綻』の中では見送られていますが、現実には8月24日に施行されています。生命保険会社には、この小説に出てくるような心ある社員も数多くいるとは思いますが、自分の入っている保険の予定利率がいつ下げられかわからないと契約者が戦々兢々とする状況は、やはりどう考えてもおかしいのではないでしょうか。
(2003年9月15日)
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