朝露に消えた
夜霧や夕凪の軽やかな調べ
海と空と滲む場所
鳥達は朝日に乗って
潮風と交わり
荒々しくも打ち付ける
岸壁の波間に見えては消える
人の世の夢よ
小波が聴かせる
久遠の歌声は遠い時代から続く
悠久の尊厳
まだ誰も知らない
砂浜の塵に
思いを記し波に捧げる
相思相愛の物語
寄せてくるのは希望であれ
返って行くのが絶望であれ
静かに海は全てを抱擁し
今日も淡々と流転の世界へと
柔らかく溶けて行く
我等が忘れた
母体の愛着
お前はしっかとそれを守りながら
海面に溢れる泡沫に隠し
深海のそこで
眠らせて
嗚呼
海よ(我等の環える場所)
海よ(我等の安息な場所)
海よ(我等の環える場所)
嗚呼 海よ
ずっとこの汚れた
魂がお前を求め
恋い続ける