貴女の優しさが
ほら 銀の皿で寝そべっている
豊かに光沢を保ち
甘い香りを放つ葡萄のように
艶やかで賑やかで
渋みのある皮はまるで
貴女の厳しさで
甘みのある実はまるで
貴女の優しさで
膨らむ果実一つ一つに
貴女の素敵さが含まれる
こんなに貴女は艶っぽいのに
なんと色のない花を咲かせるのでしょうか
まるでその花は貴女を良さを
出し惜しみしているかのようで
しかしそれは貴女の
健気さにも似て美しく
貴女の深みを味わうには
大切な隠し味
嗚呼 葡萄の花が
素敵に咲き誇るこの日に
貴女の優しさが生まれ
貴女の葡萄の実のような甘さと
葡萄の皮のような厳しさを
今日まで育て上げた
さぁ貴女よ
房から飛び出して
もっとも麗しい神秘な
優しさを分け与えておくれ
この世界に
この空に
この海に
貴女の優しさが
ほら 銀の皿で寝そべっている
◆この詩を谷川雫淑女に贈る◆●一つ上に戻る●