◎記憶

042 2004/06/30



祝5000HITお題雑文  ◆奥田 具樹様よりお題提供
 :雑文題名指定「記憶」
 :雑文挿入指定「忘れるため」「忘れないため」「思い出すため」「思いつくため」


 人の記憶とはかなり曖昧なもの。楽しい記憶も嫌な記憶の鮮明さに勝てなかったり、与えられた情報(または環境や助言及び行動)によってコロコロ変わるものだ。

 嫌な夢を見た。しかしあまりにも忘れてしまうには惜しい夢なのでここに書き記す事にしよう。読者の方達、しばし如月の見た夢の話しにお付き合い下され。

 夢の詳細はこうだ。
私と私の友人が墓の前にいる場面から始まる。友人を仮にXとしよう。
Xはただ黙って見詰めていた。私は泣きじゃくりながらその墓にしがみついていた。

私はただただ泣いて、
「なんでなんで死んでしまうんだ…まだ何も始まってないじゃないか…。」
「これからって時になんで、こんな所に眠っているんだよ…。」
そう言うしか出来なかった。しかし、Xは吐き捨てるように言った。
「自然の摂理か。死ぬ事は仕方が無い。生命あるモノ、形あるものはいずれは朽ちる。」
「そうして生命はきっと循環している。考えたら解る事だな。誰も死ななかったら、
 この地球はとうに、人口過密による酸素不足で永久に苦しまなくてはならない。」
「死があるから生を大事に出来るし、永久に続かないから繋がりを大切に出来る。」
時折、墓から目をそらしては遠くの景色に目を移す。
「なんでお前はそんなに冷静に言えるんだよ!死んでいるんだぞ、人一人が!」
「まだ先があったんだぞ!生きたいと願っていたんだぞ!そんなちゃちな常識を
 あえて言わなくてもいいだろう!」
そう言って私は泣き叫び墓石に体を預けていた。

 どんな感じでこの夢を私が見ていたのかというと、ドラマに自分が出演していて、そのドラマを自宅で、自分で見ている。そんな感じだった。

 でわ、夢の続き。
「体はそこそこ大きかったのに、骨壷に入れたらあんなにちっちゃくなりやがって…。」
「なんでこんな悲しい目に会わないと行けないんだよ!!!!」
私は空に向かって吠えた。神だろうが悪魔だろうがなんだろうが、とにかく敵に回してでさえ暴言を吐き続けたかった。そうしないと私が消えてしまうかのような錯覚に襲われて、世界からかき消されてしまうのではないかという恐怖があったからだ。Xはぽつりと言った。
「いつでも思い出すために今は泣いておいたほうがいいのかもな。このままじゃ、
 きっと俺はこいつをいつか忘れてしまう。」
そう言ってXは静かに泣き始めた。Xは決して思い付きでこんな事を言う人物じゃない。きっともしかしたら私以上に悲しんでくれていたんだなと気付く。
「もったいなかったよ…。まだまだこれからだったのに…」

しかし私は少しずつであるが、不思議な感覚に囚われていった。いったいこれは誰の墓なのだろう?こんなに私が泣いているのなら、親しい友人か親族か?だがなかなか私は墓石に刻まれた名前を見ようとしない。

Xは不意に立ち上がり荷物をまとめる準備をし始めた。私は、
「もう帰るのか?まだ時間はあるだろう?もうちょっと居てやってくれよ。なぁおい。」
「聞いているのか!どうして俺を無視するんだよ!おい!こっちを向けってば!」
叫びながら近づいていった。Xは私を見て(必然的に墓を見た。墓とXの間に私がいたからだ)こう言った。
「ゆっくり眠れ、如月。お前の意志引き継いで俺が詩仙庵をポエムにゃんに変えてやる。」
私は、我が耳を疑った。なぜXは私の名前を継げたのか?私は恐る恐る墓石の名前を見た。

如月 八雲 ここに眠る

 その瞬間、目が覚めた。汗でびっしょりになっている。自分の夢の中で自分の眠る墓を見るとは思わなかった…。ってかポエムにゃんってなんだよ、おい。
 もちろん言うまでもなく最後のXの私の名前を呼んだ以降の、夢の記憶は確かではない。驚きと目覚めが重なってかすれてしまったのだ。記憶とはなんて曖昧なものである(苦笑)。

 しかし何でこんな夢を見たのだろうか…。…あぁきっと、雑文を思い付くために、
 他の人格達が数少ない如月が持ってる記憶に刻まれている言葉を繋ぎ合わせながら
 夢として見せてくれたのだろう。


 …え?こんなオチじゃだめですか(苦笑)?
 だって本当にこんな夢見たんだもぉ〜ん。でもちょっと夢の記憶も夢を見た記憶も
 曖昧だったりするんだけどねぇ〜(苦笑)。

 え?!あ!!あぁあ殴らないで〜〜〜〜〜〜〜。よよよ。

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