◎恐話百鬼夜行 第二夜

048 2004/07/14

◆化学の先生
これは私の親友Lが高校の頃に体験した話。ある暑い夏の夜。
あまりにも暇を持て余したLが悪友たちと何かしよう!と話をしていた。そして余りの熱帯夜だったため、よし!学校のプールに忍び込んで泳ぎまくる!と決定。

学校に着きプールを囲む塀を乗り越え、一気に飛び込む。しばらく皆と小一時間ほど遊び、それからそれぞれが好きなように泳ぎだしていた。
それから小一時間、ふと流し泳ぎをしていたLの視界の隅に白衣を着た人の姿が写った。
(しまった…!センコーだ!(下記にある図1参考)。ちっ…ばれたな…。)

図1
┌───┐┏━┓┌─────┐
|脱衣所|┃木┃│     │
└───┘┗━┛│ 校 舎 │
┌─────┐H│     │
│ 仲間 L│ │     │
│プール  │ │     │
│  仲間 │ │     │
│  プール│ │ 校 舎 │
│仲間   │ │     │
└─────┘ └─────┘

Lはすぐに泳いでいる仲間を集め、どうしようかと相談した。姿を見られているし、仕方がない、謝って今日はお開きにと話しが纏まった。とりあえず先生受けが良かったLが代表で謝る事になった。Lは仕方なくトボトボと先生の元へ。すると立っていたのは1ヶ月ほど前から姿を見せなくなった化学の先生だった。(うわぁ〜、一番ねちねち嫌味を言いまくる、センコーHだ…。まいったなぁ〜…。こりゃ絶対、進路指導の先生にも報告が行く…)
意を決してLはHに話しかけた。

「H先生、夜中に無断でプールに忍び込んで、使ってしまいすいませんでした。」
しかしHは全然聞いていない感じでそっぽを向いたままだった。Lは、もう一度、少し大きな声で言ってみた。でもやはり聞いている風ではなかった。と言うか、そのHは傍に立つ大きな松の木を見上げながらぶつぶつと何か言っていた。Lはそ〜っと近づき耳を澄ませた。

「だから最近のガキは嫌いなんだよ…何を考えているか解らないし…まったく…」
(うわ、やべぇー…かなり怒ってるよ。目も合わせてくれないし…)

とにかくLは謝りまくってその場を後にした。プールの塀をよじ登り、降りた後もまだHは松の木を見上げながらブツブツ行っているように見えた。
(絶対明日、職員室行きは決定…だな)

次の日の放課後、L達は覚悟を決めて呼び出されるのを待ってた。しかしどんなに待っても呼び出される事はなかった。その次の日も、またその次の日も。L達は気味が悪くなった。もしかしたら自分たちで言って来るのを待っているのか?と思い、L達は職員室に行った。

Lは進路指導の先生の所へ行き「この前はすみませんでした。」と頭を下げた。進路指導のSは、何を言っているんだこいつらはみたいな顔をしていた。Lはボソボソと、
「あのー…H先生から何も聞いていないのですか?」
職員室全体がHの名前を聞いて静まり返った。
「…お前今H先生に会ったって言ったのか?」
「ええ、4日前、夜中にプールに忍び込んで、泳いでいたらH先生に見つかって…。」
「…プールの件は解った。もうするな。……所で本当に会ったんだな?H先生に。」
「確かに会いました。あの更衣室の隣にある大きな松の木の下で…何かあったんですか?」
「ちょっとお前達待ってろ。」
とSは言い電話を掛け始めた。どうやら警察に電話しているみたいだった。
(え?!!プール入っただけで警察沙汰かよ!勘弁してくれよ…停学か?退学か??)

 程なくして警官が職員室にきた。警察官はLに、疑うように聞いてきた。
「君たち、本当にH先生を見たんだね?」と警官が言った。
「確かに、会いましたよ。松の木の下で。なんだかぶつぶつ言っていました。」

そしてL一同は、プールの所に集まった

Lは、ここですと、Hのいた場所に立った。そして何かぶつぶつ言っていたと言いながら松の木を見上げた時、何か白いひらひらとしものが引っかかっているのにLは気が付いた。何だあれ?と指を指し、いっせいに全員の目線が松の木の上に集中する。
とにかく見に行こうと屋上に全員向い階段を上がっていく。そして扉をあけ、松の木ある一角へと向かう。するとそこにはきちんと靴が1足揃い遺書らしきものが(雨や風のためにぼろぼろになって)置いてあった。

警官は近づくなと皆を止めたが、Lは振り払い屋上から松の木を見下ろした…。そこに…、
干乾びたHが松の木のに引っ掛かっていた。

Sからあとで、見に行った事で大目玉を食らったが、Hの事を少し聞けた。
どうも生徒からかなり陰湿ないじめを受けていたらしい。しかもHは職員室でも浮いていたため、相談を誰にも出来きずに一人で悩み苦み、飛び降りだったのかもと言ってた。

L達は、確かにこの世に恨みを残し死んだHの霊に出会ったのだった。それ以来、真夜中のプールに忍び込む事はしなくなったそうだ。

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