◎恐話百鬼夜行 第七夜

055 2004/08/08

◆小ネタ集 弐の巻
その六 「足音」
私が入院していたKRHS病院の敷地内にあった看護学生寮の話。
結構看護学生と仲が良かった私は休みの日になると男子禁制にも関わらず遊びに行っていました。まぁ小学生だしいいよねw時効時効♪
で、その看護学生寮は木造でした(今は建て替えてあり鉄筋になりました)。
そこで深夜2時05分にトイレに入ると
ザッ…ザッ…ザッ…っと兵隊の隊列が出す足音が聞けると聞きました。
なぜ足音が聞こえるの?と聞いてみると…
もともとその看護学生寮が建つ前は、戦争で傷を負った兵士や民衆の死体置き場だったらしいと言っていました。そして最後に死体が棄てられたのがちょうど深夜2時05分だとか。
…そう言えば建て替える時、学生寮の下を掘り返したら誰のか解らない骨たちが沢山出てきたと、ニュースでやってたな…。

その7 「地獄絵図」
これは自衛隊で衛生隊に入隊していた先輩から聞いた話。
でも怖い話と言うよりも実際目のあたりにした話。
阪神大震災直後、自衛隊は救助と復興を旨に震災の現場に向かいました。その中には先輩もいます。そして自衛隊のトラックから降りた先輩の第一声は「地獄絵図」だったそうです。
高速道路はありえない形でぐにゃりと曲がり横たわり、ビルはめちゃくちゃに倒壊し、人は血だらけのままフラフラと歩きまわっていたらしいです。もうはっきりとここは人の住む世界じゃないみたいだったと言っていました。
そんな中、一人元気そうなおじさんが目に留まり、安全な場所に連れて行こうとしたら…。
なんと家が壊れて便所が剥き出しの場所におじさんは走り出し便器に手を突っ込みう○こを鷲掴みにして笑いながらそして叫びながら回りに投げまくっていたそうです。
「ぎゃははは、俺が天皇だ!ほらご飯を配給するぞ!愚民度も食え!食え!食え〜!」と。
震災のショックで精神が触れてしまったようです。
そんな人を沢山見ていた自衛隊員もかなりのPTSDになったそうです…。
先輩は気をしっかり持ちなんとか無事に帰還したけど今だにあのおじさんの姿が脳裏にくっきりと残っているそうです。

その8 「電話」
私が20歳の頃の話。携帯を持ち始めてウキウキしていました。その頃はまだ、ワン切りも迷惑メールも(と言うよりもショートメールしかなかった時期ね)ない平和な時代でした。
ある深夜、非通知で電話がかかってきました。電話が鳴った時、誰かから俺の番号聞いて掛けてきたのかもしれないと思い眠い目をこすりながら出ました。しかし無言…。
悪戯かな?と思い切ると10秒も経たないうちにまた電話。で、電波が悪かっただけかもしれないと気を取り直してまた出るんだけどやっぱり無言…。そんなやり取りが5回続いき私はイライラが頂点にきました。
6回目の時とうとう私は怒鳴ってしまいました。
「誰だお前は!!!何か言え!!!」すると小さい、か細い声で「・・・好きです」
私はとても怖くなりました。当時理由があって女性から遠ざかっていた時期でしたし、何よりも声が知らない人だったから…それに好きですなんて言われても…。私は慌てて電話を切りました。すると…携帯には圏外のマークが…。
ああ、そう言えば私の部屋は圏外にしかならない部屋でした…。

その九 「マンション」
私の隣のそのまた隣のあるマンションでの話し。
奥さんは出掛けるとき近所の人によく伝言していった。
近所の人は、旦那さんが仕事から帰ってくると、
「お宅の奥さん、今日は帰り遅くなるそうですよ」
「お宅の奥さん、ゴミは分別してくれって文句いってましたよ」
「お宅の奥さん、ちょっと出掛けてくるっていってましたよ」
と言伝をする。
・・・・・ある日、旦那さんは怒って警察署に怒鳴り込んだ
「アイツらなんとかしてくれ!!俺がカミさん殺したって知ってて、
 わざとからかってやがるんだ!!」
その旦那は殺人で逮捕された。

その10 「知らない顔」
高校の頃、一コ上の先輩から聞いた話です。
──先輩(以後Tさん)がまだ幼い頃。
夜、ぐっすり寝ていたTさんが急にうなされはじめました。一緒に寝ていた母親が起きて
様子を見ると、Tさんはうなされながら「腕が痛い腕が痛い」と言っています。
母親は「ここが痛むのかい?」と腕を揉んであげますが、今度は「足が痛い足が痛い」と
訴えます。言われるがままに腕や足を揉んでいた母親ですが、Tさんは一向に
落ち着く様子もなく、更に「お腹が痛い」「背中が痛い」とエスカレートしていきます。
さすがに様子が変だと思った母親が灯りをつけてみると…、
そこには中年男性のような別人の顔になったTさんが布団の上でもがき苦しんでいました。
仰天した母親ですが、すぐさま仏壇の前にTさんを運び、
「ここはあなたの来るような所ではありません。行くべき処お帰りください」
というような事を必死に訴え、祈り続けました。
その甲斐あって、Tさんも次第に落ち着きをとり戻し、元に戻っていきました。
翌日知った事ですが、前の晩、近くの交差点で交通事故があり中年の男性が
一人亡くなっていたそうです。
時刻はTさんがおかしくなった時とほぼ同じ。
──この出来事はTさん本人も覚えていなかったのですが、
高校生になって初めて母親から直に聞かされたそうです。
Tさんは「自分の顔が変わってたなんてシャレんなんねーよ…」と震えていました。

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