◎詩 Vol.1 出会い
079 2004/10/03
私が詩を書こうと思ったのは、憧れからだった。
私は幼い頃から倒置法に何かを感じてしまう不思議な子供だった。倒置法の文章を読むたびに、胸がむず痒くなっていた。なんて事は無い。ただの変わり者だったのかもしれない。ま、今も変わり者には変わりないのだが(苦笑)
私が通っていた学校は小中高とエスカレーター式だった。そんな学校で1年に1度だけ、全校生徒絶対強制参加の共同作品製作があった。それは文集である。
その文集には、年中行事の感想やら自作の小説、さらには自分の過去の話やら未来への淡い願望なんかも書かれていた。文章の書き方も小学1年生から高校3年生までで多種多様でなかなか楽しめる文集だった。
そんな文集の中でやはり目立つのは自作の詩。恋愛詩や、私が今扱っている自己内面詩的な詩などがあって、いつ読み返しても新鮮でそしていつも胸に何かしら残る不思議な感覚にさせてもらっていた。
そのいくつもある詩の中で、私を詩の道を引き合わせた師匠LVR(えるぶいあーる)氏の詩は異彩を放つ。どこか独特的な雰囲気を醸し出し、他とは違うと言う一線を引いている感じがあった。だからこそきっと私の心にその詩は深く入り込みLVR氏に惹かれて行ったのかも知れない。
そして唯一つはっきりと言える事は、LVR氏の詩と出会いがあったから、今の如月八雲がいて、詩仙庵も生まれたのだと言っても過言ではない。
LVR氏が載せていた詩は、「希望」「絶望」「渇望」「羨望」「切望」「願望」。
どれをとっても難解で私は一体彼が何を言いたいのかその詩を何度読み返しても、まったく解らなかった。しかし彼の綴る詩達には、荒々しいまでの凶暴さとその裏できらきら光る魂の優しい雰囲気が纏っていて、詩の内容が解らないはずなのに何度も何度も読み返し、その文集を開かずとも諳んじる事ができる程、記憶に染み付いた。それが高校にあがる春休みの如月の状態だった。つまり詩作への道を歩み始める最初の部分と言うわけだ。
兎に角LVR氏と詩の話したい。LVR氏の詩から何かを学びたい。LVR氏と友達になってもっともっと詩の世界で議論などをしたい。その思いだけで、顔しか知らないし、まともに話した事がないはずなのに、そんな事を忘れて如月はLVR氏を求め様としていた。
程なくして如月の知り合いの上級生と、LVR氏が友達なのを知り、何とかその上級生に頼み込み会う事が出来た。それからはちょくちょくLVR氏の書き溜めた詩などを見ながら、文字の位置、てにおは、そして勢いや気持ちの表し方など、きっとこれから先そんな話が出来る相手が現れないだろうくらいの緊張感と、どんどんいろんな思いや思考を吸収したい一身で話をしまくった。今思うととても密度の濃い素敵な経験を味わっていたのである。
ただ良く言われたのが、
「高校になってから書くのか?遅いなぁ〜。もっと何も知らないときから(つまり言葉に対しての固定観念とか意味合いとかを知る前の幼い頃より)始めれば良かったのにな…遅いよ。遅い。頭も固くなっているだろうから思ったような詩を書けないかも知れない。」
と言う事だった。さらにLVR氏は私にこう続けた。
「しかしお前みたいな飽きっぽく言葉を大切に扱えない奴に詩を書いて欲しくない。さらに俺の影響を受けて詩を書くなんて馬鹿げている!と言うか詩の世界に入ってくるな!!」
とさえ言われてしまった(汗)。まぁその当時の私は言葉をあまり知らなかったし、何よりも一つの事を続けると言う事が一番苦手だった。それも特にルールなぞがある奴なんてもってのほか。
でもこんな痛烈な言葉を掛けられても続けたいほどLVR氏の詩に傾国し書き始めたいと思ったわけだ。ここで多分へこたれていたら間違いなくこの詩仙庵も無いわけだな。
それからさらにLVR氏と親交のあったNGR氏とも仲良くなれ、詩の話で話し込む事が出来るようになった(と言うよりも私の稚拙な思考に合わせてもらっていたのかも(苦笑))。NGR氏は主に恋愛詩専門に綴っていた。もう情熱的で包容力のある詩を綴りまくっていた。しかも自分の詩集を出すほど。あ、LVR氏は恋愛詩は絶対書かない方だった。
二人扱うジャンルが違えど、お互いに無い物を認め合い切磋琢磨していたと私は思う。彼らの詩に対しての議論を聞いた時、初めて鳥肌が立った。それくらい白熱していたし、魂のぶつかり合いを感じたと言うわけだ。
私は彼ら二人に詩の話やらそれぞれの自作の詩を見せてもらっているうちに、やはりどうしても自分でも何か言葉を紡ぎたい!出来れば彼らのような凄い詩を!と心の底から思っていた。まぁ一長一短で出来る訳も無いが、でもそれでも彼らともっともっと詩の話を語りつつ、同じ土俵に立ち、語り明かしてみたいとさへ思っていた訳で。
そして高校にあがる3日前に、苦心の末、如月の処女詩「水の心 岩の心」がこの世界に生み出されることになった。まー今となっては目も当てられない程稚拙で短絡的で、とてもつまらない詩である事は言うまでも無い(苦笑)今見たらきっと自殺するね(笑)
そしてその処女詩を師匠である(何時の間にか私の中では永遠の師匠と決めていた(笑))、LVR氏とNGR氏に喜び勇んで、そして鼻息ブフォンブフォンで見せに行く事になる。
見せに言ったところでLVR氏に私の心と詩作への意欲をそぐ様なショッキングなことを言われるのだが、それは今度に残しておこう。もうかなり字数を使ってしまった(苦笑)。
次回は「詩 Vol.2 影響」を書こうと思う。
今回、書ききれなかった、LVR氏とNGR氏からどんな影響を受けたのかを深く掘り下げていこうと思っている。
※今回の雑文は不定期連載物です。気が向いた時に続きを書いて行こうと思っています。
ま、対した内容でじゃないので、ゆるゆると。とりあえず詩関係の雑文です。
普通の雑文は今までどおり水曜日・日曜日に追加していきます。