◎僕の中のLOVE PSYCHEDELICO 1万HITお題雑文

097 2005/01/14



 ◆たまき様よりお題提供
 :題  名「僕の中のLOVE PSYCHEDELICO」
 :書き出し「ツンと上がったHIP」
 :途  中「ねぇ、この間の映画」
 :締  め「夜のバーには」


 ツンと上がったHIP!グンと大きいBUST!キュッとくびれたWAIST!誘惑を愛情に変えてしまうEYE!そして今日もチークが綺麗に乗ってる頬!もう最高なんです、おいらの彼女。見た目もばっちり性格もばっちり、貶す所なんて、貶す所なんて…貶す…。

 実はあるんです…それは、それは、彼女は素晴らしいほどの猟奇的な彼女!

 あ、映画のパクリじゃないよ。パクリじゃなくて、映画のさらに上を行く猟奇的なのさ。でも、彼女のベビーフェイスとその猟奇的な部分のギャップがさらに魅力的に見えてくるのさ!…情けない男と思わないで…彼女のふと見せる優しい呪縛がおいらを翻弄するのさ。

 彼女と出会ったのは、独り寂しく「ラストサムライ」を映画館で見終わったその日。小腹もすいて、ふらっと立ち寄ったドトール。そこに彼女は独り、人通りを眺めて溜め息を吐いていたんだ。おいらはピンと来たね。きっと独りで暇を潰している女性だと。

 おいらの恋がしたいアンテナがピピピッと反応したからもう止まらない!静かにコーヒーを飲む彼女に猪突猛進!けれど勢い余って派手にこけた。彼女のスカートをこけた拍子に掴んで引っ張って、彼女はびっくり!持ってたコーヒーを彼女がかぶったのさ。
 出会い頭の事故なんだと言い訳しようとしたその前に、綺麗なアッパーカットがおいらの顎を捕らえたのさ。うう、舌を仕舞っておいて良かったよ。そして彼女はおいらを睨んで
「このチャラ男!どこ見て歩いているんだべらんめい!」
 なんとまぁ幼い顔に似合わず江戸っ子口調が飛び出した。それでおいらの心はさらに掴まれちゃったね。こんな女性は初めてだったのさ。だから素直においらはこう言ったさ。

「君をナンパしたかったんだ、たのむ一杯だけお茶しよう!君みたいな綺麗な子とはきっとこの先一生出会えない!頼む!こんなチャラ男だけど君とお茶する夢を叶えさせてくれませぬかいわれ大根!」

 彼女の顔が見る見る紅潮していく。嗚呼、だめだったか…かいわれ大根じゃなく、カブの糠漬けの方が良かったかなぁ…いや、そうじゃなくて露骨すぎたかな…。しかし次の瞬間。
「あっはっはっはっは。そんな言い方でナンパして来たのはあなたが初めてよ。」
 どうやらかいわれ大根がツボに入ったらしい。そう言う事にしておいてくれ。まぁとりあえず、彼女とお茶するチャンスが来たわけだ。おいらは胸を撫で下ろしたよ。

 そこからは、おいらのトークで花を咲かせたんだ。ねぇ、この間の映画、えっと…あ!ハリポタ!ハリポタ見た?から始まって、趣味の話やら、お互いの仕事の話とかさ。そのうちに上司の悪口を話し出してたら、すっかり意気投合しちゃってそのまま飲みに行ったのさ。

 しかしまぁ酔うとこの彼女、狂暴性が出るわ出るわ。オヤジとオバンの客が騒いでると、ビール片手に、「うっさいんだよ、このおじん!脂ぎってるんじゃないわよ!」とか「女が大口開いて笑うな破廉恥め!」などそりゃぁもうおいらは飲むどころの騒ぎじゃなく、フォローをしに居酒屋に来た感じだったよ。べらんめい口調も最高潮と言った感じ。おいらにさえ言いまくってたもん。ウィンナー頼もうとしたら、「男ならするめ食え!そんな洋物くうんじゃないよ!すっとこどっこい!」ってな具合にね。

 で。なんだか眠そうにしていたのでタクシーで彼女を送ろうと思ったら、時既に遅し!車の中で寝ちゃったんだよ…。仕方が無いからおいらの小汚い部屋に連れて帰ってきて寝かしてあげたさ。おお!もちろん、手は出さなかったぜ!さすがにチャラ男のおいらも寝ている女性に何かするほど腐っちゃいねい!ってかさ、寝かしたとたん寝ぼけた彼女の、おら〜!って叫びと同時にパンチが顎にヒットしてそのまま気を失ったんだけどね…。情けない…。いや、何もしなかった事じゃなく、女性のパンチ如きで気を失った事がだよ…。

 それからかな、好きという暇も無いくらい、毎日笑ったり叩かれたり泣かれたり(おいらが泣くの)と大忙しだった。まぁ幸せと生傷は絶えない日々だったけどね。

 そんなある日、彼女と7回目のデート中に事故に遭っちゃってね。彼女を庇う形でおいらが車の前に出た感じ。もうそりゃぁ〜空を舞うって体験をしちゃんだ、えへ。まぁ掠り傷で済んだんだけどさ、彼女真っ青になって泣くんだよね。「もう叩いたりイジワルしたりわがまま言わないから死なないでぇ」って。びっくりだったよ。まさかそんな事を言う子だとは思ってなかったからさ。よし!いつも酷い事されてるからもうちょっと心配させてやろうって悪い虫がおいらの中から沸いてきて、一芝居演じちゃった、うしし。
「ごめん。。。おいら、もうだめだ。。。君の顔が見えないよ。。。ああ。。。
 賽の河原がぁ〜。閻魔様がぁ〜・・・」
 もう彼女は顔がくしゃくしゃにしながら抱き締めてくるの!今までは抱き締めたくても、タイミング悪いと投げ飛ばされたりぶん殴られたりしたから、ついついさらに調子に乗ってやめときゃいいのに、
「ああ、足が2本ある!腕も2本ある!うわぁ〜〜〜〜手の指が十本あるぅ〜〜〜〜
 きゃ〜〜〜〜眉毛まで両目の上にぃぃ〜〜〜〜〜〜」
 彼女はそろそろ解ってきたらしく、泣き顔から憤怒の顔に…そしておいらの額に冷汗が。もちろんそのあと、ばちばちこーーーんと往復平手打ちが繰り出されたのは間違いない。まぁでも対した事が無いと解って彼女は安堵したのか腰が抜けて歩けない状態になってたよ。
 でも本当においらにとって素敵で幻想的な想い出だったなぁ〜。

 って、久し振りに大人ぶってちょっと高めのバーで、付き合って100日目の祝いしながらそんな過去の話をおいらは、わっはっはっはと笑いながら話したのさ。
 まぁもう過去の話しだしあれから二人の距離は同棲生活を送れるくらい近づいて来たし。なんつーの、たまには昔を振り返って二人の愛情を更に固くするってやつ?それそれ。

 しかしまたもやその話は、彼女の逆鱗に触れちまったみたいでさ、顔が怖くなって行くのよね…ちょっと、おいおい、思い出話なんだから…さ、って行った瞬間、ブーメランフック並みのパンチがまたまたおいらの顎をHITしたのさ。もう吹っ飛んだね。あいたたた。

 彼女は「もうしらない!私帰る!ふん!」そう言いながらぶりぶり怒って帰ろうとしていた。けど、少しだけ嬉しそうに口元が緩んだの、おいら見逃さなかったよ。きっと照れてたんだね。だからおいらはいつもどうり彼女を追い掛けたのさ、
 「まってよぉ〜。おいらを置いてかないでくれぇ〜。」ってね。そしてバーを出たのさ。

 だからかな?ちょっと情けなく切ない思い出の篭もった会話とおいらが殴られた音が幻想的なオーケストラの楽曲の様に響いていたのさ、おいら達がいなくなった夜のバーには。

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