◎修羅の君へ
118 2005/03/30
今回の題名を見れば、賢明な読者なら自己内面詩に出て来ている人物だと気付くだろう。この「修羅の君」は実際にいた人で、如月の数少ない親友で、今日はそんなアイツの話。
もう09年も経つのか…。アイツが逝ってから。アイツはよく笑いよく怒り、そして頭のキレる自慢の親友の一人だった。もう09年…。生きていれば如月と同じ26歳。かなり、ベビーフェイスで目は少し薄い茶色。頭はいがぐり。一時期モヒカンもどきにもしてた(笑)
アイツと出会ったのは中3の終わりかけだった。最初は静かで少し人見知りするタイプ。しかし如月は人懐っこい性格なので、相手の性格お構いなくベラベラ話しかけてた。だから後々如月の第一印象は?と聞いたら一言「五月蝿い奴」と言っていたな(苦笑)
アイツには最初、趣味や集中できるものを持っていなかった。どこか生きる事を放棄し、飄々と全てを投げ出しているそんな雰囲気が漂う男だった。如月はそんなアイツに、
「お前、何か趣味を持ったら?毎日学校終わったら暇だろ?」と何気なく言ってみるのだが「う〜ん…」煮え切らない感じの返答しか返ってこなかった。まぁ趣味なんて他人が、押しつけるもんじゃないから、その日はそこでその話は終わった。
そんなある日、如月が下書きの詩を清書している最中に、アイツは遊びに来た。如月は、「ちょっと、書き物してるからしばらくそこで待っててくれ」そんな言葉を聞いたアイツは「いったい何やってるん?」と珍しく興味を示し聞いてきた。「詩を書いている」と如月は伝えアイツを暇にさせるのは気が引けたので過去に書き貯めた詩のノートを手渡す。清書をする時はかなり集中して自分の世界に入ってしまうので、あんまり構ってやる事出来なかいから。そして30分後。「待たせたな。で、今日は何をしようか?」そう切り出した如月にアイツは「なぁ。詩を書いてて面白いか?何か特はあるのか?」と聞いてきた。
その頃はLVR氏やNGR氏に書いた詩を見せるくらいで、これといって特別に何か活動らしい活動はした事もなく、ただただ自分の感情と語彙の爆裂さに魂を浮かべて言葉を紡ぎ出していたに過ぎなかったので、、
「楽しいよりも感情表現ができて嬉しい。今までただ口を使って喜怒哀楽を示し、その場で
終わっていたすぐに消滅してしまうものを形に残せるし、そしてどこまでもどこまでも、
言葉を、追い求めていけるから。損得勘定で詩を作るならきっと如月はもう詩をとっくに
作る事をやめてる。活動って行ってもノートに清書するくらいしかないかな」
「ふーん」と言ったきり、また如月の詩を読み始めた。どこかに遊びに行こうと言う感じで来たのにそれきり数時間ただただアイツは如月の詩を読みふけっていた。どうやら読書を、する男なんだとこの時、改めて知った。いや結構あっちゃこっちゃ動き回り落ち着かない奴だったから本とかとは無縁な男だと如月は思っていたのだ。ごめんよ(苦笑)
そして数日後。
「俺も詩を書いてみた。よく言われる処女作品と言う奴だ。とりあえず読んで感想をくれ」
ぶっきらぼうながら少し照れながら詩を書いた紙を渡して来たところがかなり新鮮だったと覚えてる。明朗快活で元気だけがアイツのシンボルと思っていたので、恥じらう姿など、まさか見られると思っていなかったのさ。そして続けてこう言ってきた。
「詩を書く影響はお前から受けたが、詩の書き方の影響は受けてない。俺は俺の道で詩を、
書いて行くからな」
なるほどそう来たか。まぁそれで良いと、如月は思った。如月みたいなタイプはLVR氏そして如月だけしか無理だと思ってたし、何よりも詩の初心者に目標とされる様な、素敵な詩を如月は書けないしね。如月は「それでいいじゃない?」と言っておいた。
そして笑った。多いに笑った。アイツの処女詩を見てね。いや、中身が変だとかそういう事で笑ったんじゃない。ただもっともアイツらしい書き方だっから、つい、性格がそのまま文字になるってこんな事なんだろうなぁって感嘆とシンプル・イズ・ベストを地に行く感じがとても微笑ましかったから。ここで紹介できないのがかなり口惜しい。
そしてここに修羅と純朴を司る詩人が生まれ、そして誰よりも激しく輝いたわけだ。
その笑顔と処女詩を世に生み出してからおよそ09年経つのか…。本当に時の流れは酷でどんどん思い出や物は形を崩して埃を被ったりしていると言うのに、いつまでもアイツは、如月の中で17歳のままの姿で止まってる。
夢にたまに出てくるんだ。アイツと詩で深く討論したり、お互い透明人間になった上に、空を飛べるので女風呂を覗いたり、綺麗な三日月に腰掛け酒を思う存分酌み交わしたりと。でもやはりアイツは17歳のままで如月は26歳。少しその見た目のギャップが可笑しい。
なんかふと、アイツの笑顔とアイツの処女詩を思い出したので今日は雑文に書いてみた。いや、今日とか今週とか今月が命日と言う事は全くない。ただ何となく今日はアイツの事を書きたかっただけ。そう言えば最近、アイツの墓参りを行っていないな…。もしかしたら、寂しがっているのかもしれないな。今度アイツが好きだった日本酒(親父さんと中学時代、軽く飲んでいたらしい(苦笑))をもって墓参りでも行くか。いろいろ報告したい事あるし。
…そうだ栃木県の佐野へ行こう。あそこに修羅の君が眠ってる…タラリラァ〜リラァ〜♪
最後はJR東海のCMのパクリで締めるところが如月らしいぢゃないか。
でもそれは湿っぽいのが嫌いな、お前への手向けだと思ってくれ、修羅の君よ。
そして近々遊びに行くから、もう少しだけ待っていておくれ。