◎醤油ご飯VSソースご飯G

134 2005/05/30

※前回までのあらすじ※
  無事に如月の稚拙な策略とマヨネ女の協力のもと、虐げられていた醤油ご飯シンパを
  なんとか奪還する事に成功。これでようやく醤油ご飯の語らいを心置きなく話せる事に
  胸を撫で下ろす如月。そして帰ろうとする如月に声を掛ける奴がいた。


 マヨネ女「醤油男!」
 なんと声を掛けてきたのは今回の奪還作戦に力を貸してくれたマヨネ女だった。

 如月  「ん?なんだ?」
 マヨネ女「今日の作戦に付き合った報酬として家臣Cをもらっていくわよ?いいわね?」

 どうやらマヨネ女は前々から家臣Cを気に入っていたらしい。まぁ男前でCOOLだから当り前と言っては当たり前な想いだったかもしれない。如月は家臣Cに視線を投げてみると少し家臣Cの顔から笑みが零れていた。そうか…まんざらでもないらしいな。

 如月  「ああ、いいよ。もともと家臣Cは醤油ご飯に入る前はマヨネご飯が
      好きなだったしな。家臣Cよ。協力アリガトウな。今回お前の協力なしでは
      絶対成功しない奪還作戦だった。助かった」
 家臣C 「いえいえ。こっちもそれなりに楽しめたしな。また何かあったら参戦させろ」
 如月  「ああ。その時はよろしく。まぁ今度は敵対関係になるかもしれないけどな」

 しかし何よりも鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をしていたのはソース男とマヨネご飯シンパ達だった。まぁ当り前か。特にマヨネご飯シンパ達なんて急に知らない奴が会われて、敵のグループ内で分裂が起きた上にその分裂をおこさせた男とマヨネ女が会話してるんだ。皆、混乱して当然と言えば当然。とりあえず軽く説明し、協力ありがとうと伝えておいた。
 中にはぶー垂れるマヨネご飯シンパもいたが、そこはマヨネ女、一睨みで黙らせた。流石女一人で纏めているだけの実力者だ。

 そしてソース男は
 ソース男「てめぇら!はめやがたったな!!」
 しかしもう後の祭りだった。マヨネ女はさっさと自分等の寝倉に帰っていった。如月等も食堂からどんどん消えていった。残されたソース男の悔しみと言うよりも呪いの様な声が、いつまでもいつまでも響いていた。


 それから夏休みが終わりそれぞれの勢力が対等に戻ってきた。まぁマヨネ女は別棟なのでこの戦いに2度と参戦する事はないだろう。家臣Cとよろしくやっていと風の噂で聞いた。

 ソース男も勢力が戻り、如月と小さな衝突や殴り合いの喧嘩寸前までなる事もしばしば。それでもお互い大切な味を守り続けていた。きっと病院と言う閉鎖的な世界の中で、唯一、誇りを持って、病人としててではなく人間らしくあり続けられるのがきっとこの味だったのかもしれない。ただひたすらに熱かった。まぁこんな味で熱くなれるのもまた小学生である我等の特権だったのかもしれない。一言で言えばただのガキの痴話喧嘩。まるで昔流行った「ぼくらの七日間戦争」みたいなもの。

 すごく熱かった。ただ熱かった。世界はそこにすべて集約されていた。意味が無い争いと例え解っていてもそこに自分達を存在する全ての証明が残されていた。そう思った。いや、そう思いたかったのかもしれない、幼心に。

 そしていつしか小競り合いを何度も繰り返す内に、決して心底混ざり合う事はなかったがそれでもソース男は如月を好敵手と認め、如月もソース男を好敵手と認め合い始めた。まぁそれもまた小学生の精神年齢が引き起こす珍妙な心理と言うわけだ。

 そして新しく入院した子供が居ると聞けば勧誘に余念が無かった。なるべくお互い顔を、合わせる事の無いように時間をずらしながら出向いて口説いていたかがたまにバッティングする事もあった。そこでもまた小競り合いをしていた。しかしなぜか、お互い笑いながら。それはバッティングした事が可笑しいのではなくどこかお互いの熱心な姿勢を評価する様な健闘を称えた笑みだった。

 しかしこんな世界がいつまでも続くほど如月達の世界は強くなかった。

        長かったこの醤油ご飯VSソースご飯の戦い次回、とうとう最終章へ!!

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