◎恐話百鬼夜行 第二十一夜

161 2005/08/14

◆小ネタ集 肆の巻

その16 「時間が消えた」   投稿者:U・Nさん 職業:理容師 年齢45歳
10年程前の出来事です。
私の家に友人が訪ねて来る事になっていました。その友人は私の家に初めて来るのですが、駅からほぼ道なりなので迷うことなく来れる筈でした。
約束の時間の30分くらい前に「いま駅にいるから」と友人から電話が入り、私は家までの道順をもう一度説明して電話を切りました。駅から家までは20分程度で着く距離なので、頃合を見計らって2階から道を見ていました。
ところが30分経っても40分経っても友人が来ないのです。
「道なりに歩いてきて最初の信号を右」これだけの道順なのに…。
当時は携帯電話などなく、家には私一人だったので空けてしまうわけにもいかず
ソワソワしながら待ちました。
1時間半近く経ったところで友人が現れました。
『駅というのはこれから電車に乗る駅のことだったのか』と思いホッとして
友人を迎え入れました。勘違いをしてずっと気を揉んでいたことを笑いながら
友人に話したところ「私が電話したのは○○駅(私の家の最寄り駅)だよ」と言いました。
そして私の家の時計を見て「えっ!?もうこんな時間?」と驚くのです。
話を聞くと友人は降りた駅から電話をしてまっすぐ迷いもせずに私の家まで
来たというのです。私がそんな筈はない、駅から家まで20分程度で着くのだからと言うと友人は1時間半も歩いたつもりはないと言いました。
友人はその駅で降りること自体初めてだし途中コンビニなど寄り道できるところもないので嘘をついているようには見えませんでした。ただ一つ妙なことがあったそうです。
緩やかな坂を登っている最中、足元を急に猫か何かがサッと通り過ぎたため驚い転びそうになり電柱に額をぶつけたのだそうです。
一瞬目の前が真っ暗になり、次に目をあけた時に頭をぶつけた筈の電柱から2、3m離れた所に立っていた…と。でもほんの一瞬だったと思うしその道はバスが通る道なので
長い間倒れてほっておかれたとは考えにくいのです。
一体何があったのかはいまでも分りません…。

その17 「俺の後ろに」    投稿者:R・Tさん 職業:ニート 年齢21歳
夜遊びをした帰り道での出来事。
夜中の2時ぐらいだったかな?タバコがきれたから家の近くにある自販に行ったんだ。
当時バイクに乗っていて(250cc)気が向けば夜中でも走りにでかけてた。
で、自販でタバコを買いバイクにまたがった瞬間に
『後ろに誰か乗っている』
って感じたんだよ。はっきりと。その瞬間体中から冷や汗でまくり。
もちろん怖くて後ろを振り返ることなどできません。
とりあえず家に帰ろうと思いバイクを走らせました。その自販から家までの2〜3kmの
距離の長いこと、別に確かめていないのですが確かに後ろに誰か乗っていると背筋がずっと感じているんです。
家に帰り着き、4〜5年飼っていた愛犬の小屋を通りすぎようとした時小屋の中から狂ったように吼えながら犬が飛び出てきました。
ちやんと教育していた愛犬だったので自分に吼えるはずはない、と冷静に犬の視線を追ってみると自分の背中に向かって吼えていました。
『やっぱり何かついて来てるんだ』
夜中でしたが大声で親を起こして背中に塩を振ってもらい祓って家に入りました。
しばらくの間、犬は吼え続けていました。それ以来その自販機に立ち寄っていません。

その18 「腕腕腕」      投稿者:Y・Yさん 職業:主婦 年齢33歳
24歳。新幹線の中でうとうとしてて金縛りにあった。
必死で目を開けたら、肘掛に掛けてる私の腕の上に、隣の子(同僚)の腕が重なっていて、一瞬ほっとしたが直後違和感を感じた。腕は逆向きに重なっていたのだ。
前は壁。私の手の甲にその腕の肘が重なっていて、私の肘の部分に手の甲があった。
女の腕だった。濃いピンクのマニキュア塗ってゴールドのアクセサリーを沢山つけてた。
26歳。伊豆に行ったとき、ワゴン車の最後部シートで寝ていた時。やはり金縛りに。
三人で座っていて私は左の窓際。どうやら隣の子が私に腕をからめているようす。
・・・と思ったら、私と彼女との間にもう一本知らない腕がありそれが私にからまってた。
27歳。結婚前に同棲していた彼の部屋で。深夜また体が動かなくなり、
彼に助けを求めようともがいていた。真っ暗だったが彼の腕が隣にあったので、触れていることに安心。金縛りが解けた瞬間、その安心が恐怖に変わった。彼は私に背中を向けて
寝ていたのだ。だから彼の腕を捜した。両腕とも彼の胸の前で折りたたまれていた。
なぜ「腕」なのか。何を意味するのか?

その19 「ここにいるよ」   投稿者:I・Kさん 職業:OL 年齢28歳
はじめまして、私の体験した実話お話します。
私が二十歳の頃、当時付き合っていた彼氏と大阪のあるラブホに行ったのね。
その部屋は、ちょっと暗めの内装で一歩入った時「嫌だな」と感じたんだけど彼は、何にも感じなかったみたいで「たまにはこんな部屋もいいね」なんて言いながら入っていったの。
ドアを入るとカラオケセットなんかが置いてあるリビングみたいな所があって左に
バスとトイレ部屋の真ん中に硝子の柱みたいなショウケースがあってその中に造花が
飾ってあって、天上はもちろん鏡ばり!!(ちょっと刺激が強すぎかしら(苦笑)?)
その奥に丸いラブベッドがあった。
エッチの後シャワーを浴びてベッドに戻ると彼は、
熟睡していて起こしても起きなかったので私もウトウトしてたの。
それから30分ぐらいした時、何かの声で目が覚めたんです。
その声は、幼稚園の近くを通りかかった時によく耳にする子供の笑い声で、
正直「うるさいな」と言いたくなる超音波のような声でした。
「子供か…」と思った「うるさいホテルだな」と思った時、本当に目が覚めたんです。
そう…ここはラブホテルだから子供の声が部屋の中でする分けがない…でもするんです…。
この部屋の中ではしゃぎながら走り回る子供の笑い声が…。
瞬間身体が動かなくなり、声も出なくなったの…天上の鏡で声のする方を見てみると、
幼稚園の制服を着て黄色い靴を履いた男の子が私の方を見て笑っていたんです。
そして再び走り回って「ケラケラ」笑うの…。
私は、ただ「こっちにこないで!!」って心の中で祈るしかなかった…。
「こないで!」そう叫んでも声にならない!その子は私の叫びが聞こえているかのように
ケラケラ笑っていた…そしてついにベッドの側まで近づいて来たんです…
「ふふふ・・・」って笑いながら…隣に寝ている彼の向こうから私を見ている…
そう感じた時、その子がしゃがんだ…彼の身体で私から自分が見えないように…。
そうかくれんぼのように…。
天上で確認しようと鏡に目を移した瞬間その子が居なくなった…ホッとした時、
私の右耳に「ここにいるよ…」って声がしたの…ケラケラと笑いながら…。

その20 「私が撮ったもの」  投稿者:S・Fさん 職業:登山家 年齢29歳
私はデジカメで写真を撮ることが最近の趣味で、自分のHPに掲載している。
ちょっとテーマにも煮詰まったので友人と共同で1つのテーマを決めてそれぞれ
撮ってその微妙な解釈の違いを楽しもうという企画を考えた。
公平を期する為に、テーマは第3者にランダムに決めてもらった。
1回目は「高所恐怖症」
私は実際に高所恐怖症で非常に困ったが、決めたことなのであれこれ考えてみた。
結局非常にありきたりだが、高いビルの屋上などからカメラのレリーズタイマーを押して
ワイヤでぶら下げるということを思いつき、某シャイン他、何箇所かで実行してみた。
先ずパソコン上でざっと数十枚の画像をサムネイルで確認してみた。
小さなサムネイル画像ではよくわからないが、余り面白い写真はなさそうである。
その中の1枚で、全然様子が違う写真があった。
なんだか人が手を広げて‘ガーッ’と構えているように見えるのだ。
あれ?こんなな写真撮ったっけ?と思い、拡大表示してみた。
それは様子が違ったのではなく、ちゃんとした屋上の写真であった。
だが…屋上のへりに捉まったいたのは私ではなく見知らぬ女性で、
苦悶の表情で真っ直ぐその画像を見ている者を睨みつけてる顔のどアップであった。

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