◎恐話百鬼夜行 第二十三夜

163 2005/08/18

◆今も友人は…         投稿者:E・Mさん 職業:自営業 年齢24歳

 私には年の離れた兄がおります。
 兄が大学の2年生。私が中学1年の時の体験です。

夏。兄が大学の友人と遊園地のプールへ出かけました。男女合わせて8人。
夕刻、兄から電話が入り「大変な事があったから今日は遅くなるから。」との事でした。
兄が自宅に戻ったのは0時を回った頃でした。兄の顔はたった1日で非常にやつれた様に、見えました。母は心配して兄を問い詰めるように問うと………………。

 プールの閉園時間間際になり、さぁ帰ろうかという頃に1人の友人がいない事に気付く。自宅に電話したが、帰っていないとの返答。まさかと思いプールの監視員に水さらいをしてもらったが、全然発見できず。他7人で彼の自宅を尋ねたのが夜の9時。彼はまだ家にも、戻ってはいなかった……。警察に捜索願を出して、見つからぬままとりあえず戻ってきた。との事だった。

 しかし兄は何となく妙なものを感じている顔つきだった。それが気になり私は兄の部屋へと向かった。兄も私に負けず劣らず霊感が強いのだ。どうしたのかと再度尋ねると、

「どーも人間の仕業じゃないように感じる。おまえはどう思う?」と……………。

 そうなのだ。私も話を聞いてるときになにやら人間のものではない、禍禍しい意思の様なものを感じたのだ。なんとも言いがたい重たく絡み付くような意思のようなものを。

 翌日、兄は朝一番で彼の自宅へ電話をかけた。答えはやはりNO……………………。
 そうして彼が帰らぬままあっという間に1週間が過ぎた。

 兄は彼の両親に自分が感じた何やら不思議な思いを告げに行く事を決意し、私にもついて来いと言うので朝から2人で彼の自宅へと向かう。自宅にあげて頂き、兄は彼の母親にその事を伝えた。次の瞬間、彼の母親は嗚咽にも似た声で叫び床に倒れこんだ。ふと真剣な顔になった彼の母親はとりつかれたように部屋から出ていった。

 戻ってきた母親の手には、1枚の写真が握られていた。それを私と兄に見るよう勧めた。その写真を見た時の何とも言えない感じは今でも忘れない。いや一生忘れられないだろう。引き伸ばされたそのスナップはどこかの雑誌社の人間が撮ったものらしい。

 なんでも夏のプールの様子を取材した時のものらしい。偶然にもその日は兄が友人たちとプールに行った日であり、言わずと知れていると思うが、撮影現場は兄たちが行ったプールだったのだ。

 そのプールには3段階に高さがわかれている高い飛び込み台があった。写真は、その飛び込み台の一番上から『消えた友人』が飛び込む瞬間のものだった。捜索願を出していた為、彼の写真は警察により保管され聞き込み等に使われていた。それを雑誌社の人が見せられ、問題の写真に写っているのは彼だと気がつき、ご両親の元へ持ってきてくれたのだそうだ。

 ただ……………………。

 写っているのは彼だけではない。彼が飛び込んでいる体のその後ろに……………。
 彼の体を抱きかかえる白髪の老婆が写真一面に写っていたのだ!!

 それから彼が発見されたという話は10年以上たった今も聞かされてはいない………。

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