◎恐話百鬼夜行 第二十六夜

167 2005/08/19

◆小ネタ集 伍の巻

その21 「人魂」       投稿者:H・Yさん 職業:サラリーマン 年齢41歳
これは5年前のお盆の頃の話しです。
私達夫婦(妻・子供二人・自分)姉夫婦(姉・旦那・子供)と祖父の墓参りに行った時の事でした。
墓参りが終わりお墓参りセットを墓地に設置してある洗い場で姉と私で洗っていると今までただ暑かった風が生温くなっていく奇妙な感触を肌に感じました。
姉もそれを何となく感じたのか「早く洗い終わろう」と言い洗う手の速さが上がりました。私も肌に纏わりつく風から逃げたくてテキパキと掃除をこなします。
今までガチャガチャと洗っていた姉の手がふいに止まりました。私は洗い終わったのかなと思い姉の顔を見ると私をじっと見ていました。いや、性格には私の背後にある林をじっと、見ていたのでした。しかしまだ姉は洗い途中のような状態でした。
「どうしたんだよアネキ。まだ洗い終わってないじゃないか。早く終わらそうよ」と言うが姉には聞こえてないようでした。もう一度強く言うと、やっと聞こえたみたいで姉の視線は私の視線とあい、姉は顎で林の方を見るように促してきました。
私はん?と言いながら後ろを見ると林の前でふわふわと動く物を見つけました。最初蝶が、ふわふわと飛んでいるように見えたのですがしかし良く見ると尾が長いのです。しかし羽が見当たらない。まるで球体に炎が纏わりついてふらふらと動く度に炎が尾の様に見えます。
「まるるで人魂みたいだなアネキ」
と言うと姉は「人魂みたいだじゃなくてひとだまよあれ…」
私自身今まで心霊体験をした事が無いせいかそういう事態に慣れてないのは言うまでもありませんが、心はもう逃げようとしていたんですがしかし体すくんでしまって動けません。
金縛りとかじゃないです。恐怖で動けませんでした。
それから数分の後、人魂はまるで何かに隠されるようにスッと消えていきました。
時季が時季だけに見えたのかもしれません。
そして私はそれ以来心霊現象に未だあっていません。しかし絶対あれは人魂だと思います。なにせ姉も同じ物を見ていて見間違いの可能性はほぼ“0”ですから…。

その22 「トイレのロッカー」 投稿者:R・Sさん 職業:サラリーマン 年齢27歳
これは私が中学生の時です。
何処の学校でも一つや二つ恐い話しってありますよね?
例えば理科室の人体模型が夜中に動くとか、ピアノが勝手に伴奏しだすとか。漏れなく私の学校にそういうのがありまして(苦笑)もちろん私は全然信じていませんでしたよ。恐怖体験するまでは。。。。
私の学校は清掃時間を長く取っていてクラス掃除以外にも中庭掃除とかトイレ掃除等があり今回お話するのはそのトイレ掃除の時の話しです。
最初に言いましたが、私の学校の中にトイレにまつわる話しがあります。詳細はこうです。
『あるイタズラ大好きな少年がトイレにある星霜用具入れのロッカーに隠れ
 入った人が小を済ませた途端「わっ!」と大きな声を出してロッカーから飛び出して
 驚かせていました。結構人を驚かすって驚かす方もドキドキしてて心臓に負担をかけて
 いたりするらしいんです。その子は心臓が弱いと言う事はないのですが、何度もやる内に
 心臓に負担が掛かってしまいロッカーの中で発作を起こし誰にも気付かれず手後れに。
 それからはトイレのロッカーを叩くと、中に誰もいないはずなのに叩き返してくる』
こんな話しでした。もちろん私は信じませんよ。きっと誰かが流したデマで、それを誰かが隠れて再現しているだけだと思ってましたので。
ある日、私達の班はトイレ掃除を任命されました。私たちは手抜きのプロで(笑)見た目だけは綺麗にして早く帰ろうとしていました。そんな中で班の中でイタズラ大好きなAが
「なぁ、確かここのトイレのロッカーを叩くと叩き返してくれる話しあったよな?」
班の仲間達は口々にあったと言い出しました。よし叩いてみるかと言ってAはロッカーを、軽く(トントン)とノックしてみました。しかしノックは帰ってきませんでした。
「やっぱあれってデマだったみた(トントン…)…い?…い〜〜〜〜〜〜〜〜??!!!」
Aは慌ててロッカーから離れ私達の元に駆け寄りました。
もう皆ロッカーに釘付けです。なにせノックが返ってきたのだから。もちろんその中に誰もいない事は知ってます。何故なら清掃中は誰も入れないし班の人数を数えても少なくなっていなかったし。
私達が固まっていると、そこを通りかかった他の人が何かあると仲間が仲間を呼ぶ様にワラワラと集まってきました。恐がっていたAも人数が増え気が大きくなったのかまたノックをロッカーにしました。今度は間を置かず(トントン…)と返ってきました。みんなすげぇ〜とどよめき立ち、Aはさらにさらに調子に乗ってノックします。返ってきます。
私は誰かがAと組んでふざけているんだと思い、叩いているAをどかし思い切りパンチを、打ち込みました。ロッカーも負け時と同じくらいの力で叩いてきました。やはり誰かいる!私は一気にロッカーを開けました!!そこには!!…何もいないんです。そして何も入っていないんです。つまり誰かが中に入って叩き返していないんです。
皆一気に逃げました。もちろん私も。
あの時以来、ロッカーには誰も近づかず誰もノックをしていません。
いったい誰がノックを返してくれていたのでしょうか?あの心臓発作で死んでしまった少年なのでしょうか?未だにその謎は解けず、恐い話しは風化する事も無く、ロッカーもあり、子供達の間で語り種になっているようです。長くなってごめんなさい。

その23 「友達になったんだ…」投稿者:T・Bさん 職業:アルバイト 年齢18歳
私が小学校の時の話です。
私はA君といっしょによく出ると言われている廃屋に行ってみました。
私は怖くてやっぱり帰ろうと行ったのですがA君は入ろうと言って聞きません。
仕方ないので私は外で待っていることにしました。しかしA君はなかなか出てきません。
そして日も沈みかかっていました。
と、その時その廃屋の中からうぅ・・・うぅ・・・と女の人がすすり泣く声が
聞こえてきました。2階の窓の辺りから聞こえてくるようでした。
(A君の声じゃないよな・・・)
と思いながらその窓を見ていると突然すっと誰かが姿を現しました。
A君か?と思ったんですがそれは明らかにA君とは違っていました。
真っ黒というかどす黒い人影ががこっちを見下ろしていました。
真っ黒で髪の毛とか服は全く見えなかったんですが、
黒とは対照的な白い目がとても目立っており、その目は明らかに私を睨みつけていました。
私は怖くなり全速力で家まで逃げました。
次の日学校に行ってみたんですがA君は来てませんでした。
どうやらA君は家にも帰ってないらしいのです。
私は昨日の廃屋にいた人物にA君は殺されてしまったのではないか?と思いました。
しかし次の日A君は普通に学校に来ていました。私は安心してなぜ昨日来なかったのかと
いう事と廃屋で何かあったのかと言う事を質問しました。
すると彼はこんな事をいったのです。
「あの廃屋に面白い子がいて友達になったんだ。外にもう一人友達が待っているって
 いったら、ぜひ会いたいって言ってたよ。今度君もあの子と遊ぼうよ。」
と言っていました。廃屋に子供が住んでいるわけありません。
私はすぐにおかしいと思いました。
A君にもうあの廃屋には行かないほうがいいと言って今日も遊びに行くと言っているA君を必死に止めたんですがですが聞こうとしませんでした。
そしてA君はその日から行方不明になってしまいました。あれからもう30年も経ちますがA君は見つかっていません。ただ廃屋で男の子と女の子のバラバラの白骨死体が見つかり、廃屋の中は壁に血がたくさん染み付いていたそうです。
男の子の白骨死体はA君だったのでしょうか?
だとしたら女の子の死体は誰なのでしょうか?
私があの時覚えてるのは
女の人のすすり泣く声と窓からこちらを睨み付けていたどす黒い謎の人物だけです。

その24 「夜中のお爺さん」  投稿者:S・Nさん 職業:ナース 年齢26歳
これは、前に私が勤めていた病院でのお話です。
その病院は小ぢんまりとした街で唯一の古い病院でした。
つまり街の殆どの方がこの病院を利用している、、、ということです。
亡くなる方も勿論たくさんいらっしゃいます。
ある小雪がちらつく寒い日のことでした。
私はその日、夜勤当番で、病院内を見回っておりました。
「看護婦さん。」という声がフッと聞こえた気がしたので前を見ると、そこにはお爺さんがぽつんと静かに立っていました。今の時間は消灯時間なので本当なら患者さんが出歩いてる時間ではないので、ちょっとビックリしました。私は気を取り直して、
「どうしたんですか?こんな時間に、、、、、。」
と聞きました。腕時計を何とはなしに見ると二時をまわっていました。
するとお爺さんは、ある病室を指差しながら、
「あそこの病室の女の子を助けてやってくれないかい?」
と言ってきました。
確かその病室は容態の悪かった女の子が入室している部屋…。
私は気になってその病室の方をちらっと見ました。でもナースコールも心電図の異常音も、耳を済ませて注意を払っても聞こえて来ませんでした。
不思議に思いながら
「助けるって、、、」
と前を向くと、そこにはもうお爺さんは居ませんでした。
その時は『幻でも見たのかしら、、、??』とあまり気にしませんでした。多分連日急患が入り疲れが溜まっていたんだと自覚指定からです。
それから次の日、その病室の女の子は朝を迎えることなく息を引き取りました。。。
『お爺さんが「あそこの病室の女の子を助けてやってくれないかい?」言っていたのは、
 この事だったの、、、、、!!!でも、まさかねぇ…』
そう言って落ち着こうとしましたが、どうしてもその時の私は、驚きと共に恐怖を感じずにはいられませんでした。まるでそのお爺さんが死期を操る死神に思えたからです。
そんなことを忘れかけていたある夜の夜勤当番の時に、またあのお爺さんは現れました。
「だから、助けてやってと言ったのに、、、。今度はあの病室のお婆さんだ。
 どうか助けてやってくれ、、、!頼むよ…」
そう言うとまるで煙が空気に溶け込むように、すぅー、、と消えてしまいました。
お爺さんの言葉もあってか、瀕死状態だったその患者さんを早く見つける事が出来ました。
助けたのが良かったのかそれ以来、お爺さんは現れる事がありませんでした。
あのお爺さんは、入院している皆を助けたかったんだと思います。
少しだけ死神と思ってしまったことを後悔しています…。もしかしたらあのお爺さんはこの病院で無念の死を遂げたのかも知れません。今となっては解りませんが私はそう思います。自分が死んでしまった事に悲しかった。だからわざわざ、、、。

その25 「呻く老人」     投稿者:S・Yさん 職業:無職 年齢26歳
今からお話するのは、私が実際に体験した恐怖体験です。
私は生まれつき体に障害があり、同じ病院に18年入院しています。
その病院では今年に入り、患者数減少のため閉鎖になっていく病棟が多いのです。そして、その減少に伴い私がいたいた病棟ももれなく閉鎖し、二回ほど病棟が換りました。
そして現在新たに移った病棟で、その恐怖は起きてしまったのです。
あれは、この病棟に来て三日目ぐらい経った頃だったと思います。
その日、私はある声が聞こえてきて夜中に目を覚ました。
それは、まるで「うぅー うぅー うぅー」と、獣の呻き声とも風の流れとも判断できないような感じの音でした。しかしその不気味な声は数分して消えていきます
でもそれが毎日のように繰り替えされたのです。本当に気持ちが悪い音で、毎晩毎晩そんな音を聞きながら少し恐怖に怯えつつ、音が止むことを心から待っていました。
だがしかしその音は止む事もなくそれから一ヶ月後たったある深夜の事です。
またあの奇妙な声と言うか音が聞こえてきてきました。でもなんだか今回は何時もと違う、雰囲気が部屋中に広がっています。そして何故だか体、全体が重いのです。
しかも全く体が動かせません。そう、指一本すらも。
どんなにもがいても体は動かず声も出せず、ただただ冷や汗を流すしか他にありません。
その時、私はふと自分の胸のほうを見ました。
するとそこには、いるはずのない知らないおじいさんが私の胸の辺りで馬乗なった状態で、憎しみに満ちた様な目でこちらを睨み付けているのです。私のいる病棟でおじいさんと呼ぶ程の年配の方は独りもいません。それは明らかにこの世生きる人ではありませんでした。
そして首を絞めるでもなく、どこか体を傷つけられる事もなくそのおじいさんは唯ひたすら私を睨みつけて「うぅー うぅー うぅー」と囁いているのです。
そんなことが実は今も毎日のように起こっています。いったいおじいさんは何が目的なのか全く私は解りません。ただ毎晩毎晩私を睨み続けるのです。あの憎しみに満ちた様な目で。
今夜も………………。誰か助けて……………。

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