◎恐話百鬼夜行 第三十一夜

171 2005/08/29

◆『トイレから』        投稿者:Y・Eさん 職業:学生 年齢19歳

 これは中学の頃に私と友達(どちらも♀)が体験した本当の話しです。

 私と友達は美術の課題を居残りしながらやっていました。内容がなかなか決まらず、回りから出だしが遅れてしまって、居残りを。でも私だけじゃなくて友達も居残りだったので、ちょっとだけ気が楽でした。
 それは私の学校には他の学校にも良くある七不思議があるから。信じてはいませんでしたが、やはり平気でいられるほど肝っ魂の据わった女性になるにはまだまだ若すぎたのです。

 ある程度、課題も終わりトイレに友達と行きました。もちろんトイレには漏れなく、当時流行っていた「トイレの花子さん」みたいな話しがあったから。やはり一人で行くには暗い校舎、そして静まり返った廊下等など、嫌と言うほど恐怖をそそってちょっと勇気がいるのです。友達も同じ様に感じていたせいか私がトイレに行こうと誘ってくるまで我慢していたみたいです。私も我慢していたからお互い早く言えば良かったねとちょっと笑いあったのを覚えています。

 私達がよく使ってた女子トイレはけっこう暗くて気味が悪いです。でも他の階のトイレに行くのには更なる暗い廊下や階段を渡らないといけなくて、そんな恐怖のまま我慢して歩くにはとてもじゃないけど出来ませんでした。

 互いに「あのトイレ、怪談話があったよね(汗)」などと言いながらキャーキャー言いつつその大きな声で怖さを打ち消しながら行きました。

 トイレに入ると4つある個室の入り口から一番遠い個室が使用中になってました。

 「誰か私達みたいに居残りの人がいたんだね。」と友達と言いつつとりあえず用を足し、出てきました。私達はどんな人がいるのだろうとその時は何故か思い、トイレの外の入口で中にいる人が出てくるのをちょっと待ってみる事にしました。

 きっとここでそんな事を思ってもさっさと帰っておけば良かったと今では思っています。

 3分経ち…5分経ち…とうとう10分経ちました。
 もしかしたらトイレに入って気分が悪くなっているのかもしれないと私達は時間が経つに連れそう思うようになってきました。私達は心配になりドアをノックして見ましたが返答がありません。また数分待ちましたがそれでも出てきません。

 これはいよいよ本格的に病人が出てしまったのではないかと冷汗をかきつつ私達は、隣の個室から登って中の人を助けださければ行けないと思うようになりました。だってすでに、私達が声をかけてから10分は軽く越えていたのですもの…。

 しかしやはり怪談話のあるトイレです。友達が入るか私が入るかちょっと悩みながら話していました。なかなか決まらず、とうとうじゃんけんで決めようと言う事になりました。
 いや、本当は職員室に行って戦線を呼んで確かめてもらった方が得策なのは知ってます。でも他のトイレに行くのを拒んでしまう様に、職員室も暗い廊下か階段を行き来しなければならないし、何よりも今学校に残っているのは男性の美術の先生しかいないのです。やはり恥じらいのある年齢。女子トイレにいるの間違いなく女性。もし爆睡してるだけなら、凄くばつが悪いじゃないですか。だから私達で何とかしようとしていたのです。

 「それじゃ、じゃんけんで負けた方が登って中から鍵を開ける。そうしよう。」と友達が言ってきたので私は頷き、「最初はグー!じゃんけんぽ(ゴーーーーーーーーーー)…」

 そう、じゃんけんでまさに今、何かを出そうとした瞬間にトイレの流れる音が響いてきたのです。つまり中にいた人が終わったと言う合図ですね。
 私達は、あ…もしかしたら私達がいたから出れなかったのかも?何だか悪い事しちゃったかもねとちょっと感じてしまったので、出てきたら謝ろうとトイレの前で待っていました。そしてバタン!!!と強めに扉が開きました。

 私達はトイレから出てくる人を待っていました。
 しかし…
 何時まで経っても中にいた人が出てきません。もしかしたら恥ずかしがって出てこれないのかなと思いました。ほら学校で大きい方をするのってちょっと躊躇われるでしょ?だから出てこれないのかなと思って、それなら私達が先に謝ろうって事になりました。

 ゆっくりと一番奥のトイレに向います。
 トイレの中の廊下から見える壁が見えてきました。
 便器の先端が見えました。
 便器の裏の壁が見えました。

 …そう…トイレが流れ、扉が開いたのに、誰も、誰もいなかったのです!!!

 その個室には外に出る窓なんてありません。入口には私達がずっと立ってました。つまり誰かがトイレの個室のドアを開けたらならば必ず私達と擦れ違わないとトイレから出てこれないという作りなのです。

 私達は一気に血が引き下がったのを感じました…。大声を上げながら職員室まで走り込み中学生にもなって凄く見っとも無かったですが大声で泣きながら先生にしがみ付きました。

 それ以来、私達はそのトイレを使う事はありませんでした。

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