◎恐話百鬼夜行 第三十三夜
173 2005/08/30
◆小ネタ集 陸の巻
その26 「K運転手の体験談」 投稿者:K・Kさん 職業:Tドライバー 年齢40歳
またまた如月さんにせがまれたのでとっておきの体験談をここに一つ。
Rさんというタクシー運転手が遭遇した話です。
ある夜遅く、客を探して走っていると、手を上げている若い女の人が見えました。
「こんな夜遅くに一人で危ないな・・・」と思いながら彼女を乗せると、Rさんは妙な事に、気づきました。
彼女の着ている服は病院の患者が着ている様なもので、Rさんは気味が悪くなりましたが、その女性はぼそぼそと行き先を指示しました。
「そこを右へ・・・」「そこを左へ・・・」
路地を進むにつれRさんはさっきから同じ場所をぐるぐる回っていることに気づきました。
冷やかしだと思って腹が立ったRさんは「同じところばっかりじゃないか、降りてくれ!」と怒鳴って、その女性を車から降ろしました。
憎らしげにRさんは「頭がおかしいんじゃないのか?!」とつぶやくと、その瞬間にバックミラー越しに、物凄い形相をしたその女が四つん這いで車を追いかけてきました。それも、信じられないスピードで。恐ろしくなったRさんは必死に逃げましたが後日その話を同僚にすると、ずっと前にその近辺にあった病院で火災があり、入院してた若い女性が焼け死んだ事を知らされました。その女性は煙で前が見えないために四つん這いになって病院の廊下を何度もぐるぐると這って逃げるうちに亡くなったそうです。
その27 「虫の知らせ」 投稿者:D・Aさん 職業:大学生 年齢22歳
自分が本当にこういう事を体験するとは思っても無かった。
半月ほど前に小、中学校と一緒だった友達から連絡があった。そんなに仲が良かった訳ではないしもう5年以上会ってないのに何故?浄水器買えとかか?と思って電話にでる。
世間話から他のクラスのヤツの話まで一通り話し終えた後で友人が「今朝変な夢見たんだ」と言い出した。私が夢の中で友人に もう会えなくなる と告げたらしい。
「お前に何かあったんじゃないかと気になってな。元気ならよかった。安心したよ。」と、言って電話を切ってしまった。
私は安心どころじゃない。夢を見て暫くしてからその人が突然・・・というのはそういった類の話では定石じゃないか と。
それから日常生活には最新の注意を払った。バイク通学だったのを電車に変え歩行者信号は必ず守り、健康のために規則正しい生活をする。友人の話が私にとってのしゃれにならないくらい怖い話だった。
そして、一週間ほど前 その友人がバイク事故で亡くなったと知らせが入った。即死だったそうだ。葬儀も終わり一息ついたところで友人の見たもう会えないというのはこういう事だったんだ と気がついた。
未だによく解らないがそういう虫の知らせもあるんだな と思った。
その28 「トンネルにて」 投稿者:N・Fさん 職業:アルバイト 年齢31歳
これはバイト先の人から聞いた話。
観音崎にある3分間トンネルって有名ですよね。
そこに男女3人ずつ計6人で行ったらしいです。
名前の通り普段はトンネル内の照明は消灯していて、入り口のスイッチを入れると、3分間だけ点灯するというもの。照明を点灯させ、6人歩きながら暫く進むと牢屋みたいなものを
発見したそうです。その異様な雰囲気に立ち止まり神経を研ぎ澄ましてると突然真っ暗に。照明が消えてしまいました。恐怖も絶頂だったため、それを合図にみんな絶叫して入り口に突っ走りました。
顔面蒼白の中、それぞれが顔を見合わして、冷静さを取り戻そうとする中、気付いたことがあります。それは、男が一人いない。
もし転んで動けない状態ともあれば一大事なので意を決してもう一度、入りました。
何が待ってるかわからない不安と緊張で全員震えていたそうです。
結局、牢屋付近まで行っても発見できず、「引き返そう」としようとすると牢屋にひっつくようにしている人影を発見。その姿からおそるおそる近寄ってみると取り残されていた友人でした。「なにしてたんだよっ」と声をかけようとした一人が息をつまらせました。
残された友人は、一人、取り憑かれた様に牢屋をなめ回していたそうです。
その29 「だって…」 投稿者:S・Uさん 職業:学生 年齢15歳
ある日、おんなのこがいつものように小学校へ行くと、知らない子が一人クラスにいてでもみんなその子のことをずっと前からいるみたくしゃべったりしてるからおんなのこは誰にもなにも言えずにそのままその子を放っておいたら数日後にぱったりその子はいなくなって、それなのに、誰もその子のことまるでまったく覚えてないように、なにも言わなかったのでおんなのこもまた何も言いませんでした。
中学校に上がった女の子はちがう小学校から上がってきた友達にある日そのことをぽつりと言いました。友達はそれはよくあることだから気にすることはないと言いました。
「だって昨日まであなたはこのクラスにいなかったじゃないの」
その30 「スキーヤー」 投稿者:T・Oさん 職業:美容師 年齢23歳
これは私の父の体験談です。
父は高校の時分、登山部に所属していたそうです。
高校二年の冬、友達と二人で雪山登山をする事になりました。その日は昼間の晴天と打って変わって、夕方近くになりますと、とんでもなく吹雪きでほぼ視界はゼロになってしまったそうです。
引き返そうにも前が見えず不可能と判断した二人は、もう暫く頑張って登り続ければ、その先に山小屋がある事を知っていたそうで、とにかくその山小屋までいそいだそうです。
その途中、吹雪の中スキー客二人が、上の方から滑り下りてくるのが見えたそうです。そのスキー客は、父のすぐ横を滑って麓の方に行ってしまいました。父とその友人は暫く歩いているうちに、ある事がとても気になったそうです。
「こんな吹雪の中、よくスキーをしていられるな、ましてや視界はほとんどきかない…」
実は、そんな事よりもっと気になる事があったそうです。彼等が滑って行った跡、スキーでできるはずの轍(わだち)がなかったという事です。それと、ほんの1M先も見えない様な中、上からスキー客の滑ってくるのがどうして僕等に見えたのだろうか…。
父と友人は山小屋で一晩過ごし、翌朝下山したそうです。麓では捜索隊が騒がしく人探しをしていました。
はじめは自分達を探す為の捜索隊かと思いとても焦ったそうです。
しかし、話を聞くと、三日前から戻らない男女二人連れのスキー客を探しに行く為に、編成された隊だということがわかりました。父は、昨日の出来事を話したそうです。急遽、いま来た道を逆戻り、隊をその場所に案内しました。
昨日の吹雪の中では見えなかったそうですが、スキー客とすれ違ったと思われる場所のすぐ横には崖がありました。その崖の下で二人の遺体が発見されたという事です。