◎カツ丼の正しい食べ方(上)
182 2005/09/14
皆さんは、カツ丼の正しい食べ方を知っているだろうか?私は知っている。だから今回の雑文を書ける訳だが。え?なに?好きな様に食った方がいい?いちいち作法だの食い方だの無い方が美味しく食べれるじゃないか?ふっ。甘い!甘いぞ!そこの君!それでは何時まで経ってもカツ丼王になれない!え?なりたくない!そんな奴は問答無用でカツ丼百列拳だ!あーったったたったたたたったたったたたたたったたたたったたたたたぁおわた〜!!
いいか、口答えしたら指先一つでカツ丼にしてやる!だから黙って聞くがよろし。
さて、とりあえずどうやって食うか。いや、まて。そんなに意気込んで食ってしまったら味も何も解らないままに終わってしまうじゃないか。それはいけない。アンガルーズが筋肉隆々になるくらいいけない。彼等はほっそりしているからいいのだ。カツ丼も同じことだ。
たかがカツ丼されどカツ丼。解るか?解らないなら銀河系の端っこまで走り回ってこい。兎に角だ、まずは心を落ち着ける事から始めるのだ。例え3日間飲まず食わずな状態だったとしても、がっついてはいけない。カツ丼に失礼だ。どれくらい失礼かと言うと、交差点の真ん中でランバダをいつまでも踊っているくらい失礼だ。
今回は五切れに切れたカツ丼を用いる。補助食には御新香(白菜)と豆腐の味噌汁だ。
まずは、カツ丼の丼に蓋があるなら開ける前に、両手の皺と皺を合わせて幸せ…ではなく両手を合わせて「いただきます」だ。最近の子供達はいただきますのいただきで料理に箸を刺してしまうせっかちな状態らしい。だからまず蓋を開ける前に有り難いと思い拝むのだ。日本の宗教だろうが海外の宗教だろうがそれは関係ない。生きていた物を殺して我等は食べ生きながらいでいるのだ。感謝は当然である。
ちなみに蓋が無い場合は、どうだろうか?それも同じである。何も変わらないのである。じゃーなんで一まとめに書かないのか?たまたまだ。気まぐれで蓋があるなしを分けたに、過ぎない。いちいちツッコまない事だ。カツ丼百列拳をカツ丼の代わりに食らいたいか?
ではカツ丼に敬意も払ったところで食べに掛かろうか。…おい…おい!駄目だ駄目だ!!どうして端っこから食べるのだ!いったい何を考えているのだ!!いいか?端っこってのはどの世界でも、大切に扱う場所だ。パンの耳しかりエビのしっぽギリギリしかり目玉焼きのパリパリと焦げた回りしかり。魚の皮や鳥の皮しかりだ。いいか?良く考えてみろ。カツの両端は結構、脂身が付いてる事が多い。つまりそこが最大にして最強で最高にジューシーでファンタスティックでデンジャラスな場所なのだ。だから決して最初に食べては行けない。
ならどこからがいいのかって?それは中心ではないが真ん中ら辺がもっともいい。例えば五切れなら中心の両隣。六切れなら両端から2番目。ただし四切れの場合はこれは特殊で、できるなら右手側の2番目を食べるが一番よい。何故か?カツ丼の中で2番目に肉圧があり往々にして2番目に面積が広いからだ。最初にちまちまっと口に入れるよりボリュームある物を最初にドカンと入れれば脳味噌も胃も至福と言う訳だ。しかし1番大きい物を食べては駄目だ。カツ丼を楽しむためだ。理解してくれ。そしてその最初の一切れこそがカツ丼の、神髄への扉を開いてくれる。忘れるでない。ローマは一日にしてならず。まぁ関係性があるかないかは各個人の判断に委ねよう。
次にご飯だ。ただし汁が下に溜まっているからと言って下から上へと掻き混ぜは駄目だ。飽く迄も、この時は肉の質感や味を楽しみ、カツ丼の汁を楽しむ為の補助的なご飯なのだ。だから肉を口に入れたらその肉のあった場所のご飯を中間位の深さから箸で取りパクリだ。きっとそのご飯の上の方にはカツ丼の汁が染み渡っているだろう。しかし中間は白いままと記憶する。濃い味と薄い味が微妙に混ざり合い食欲をそそらせるのだ。考えてみて欲しい。最初から濃い濃い濃いでは折角の美味しい味もぼやけ最後には苦痛にしかならない。だから白いご飯と一緒なのだ。科学的生物学的宇宙的な法則なのだ。
次も肉と今思っただろう?だから素人なのだ。次は御新香だ。カツ丼がメインではあるがではどうして常にお店のカツ丼に御新香が付くのか?考えてみた事はあるだろうか?あれは決してお飾りとしておいてある訳ではない。
こんな話がある。遥か昔の話ではあるが、フランスだかどっかの貴族の食べる料理には、必ずパンが付いてくる。それは一つの皿の料理を食べ直ぐ次の料理に言っては口の中で料理同士の戦争が起こり味が分からなくなってしまう。だから、料理の合間にパンを食べる事によって口の中を綺麗に掃除しているのだ。
つまり御新香はそれに近い。だが近いだけで掃除の意味はない。何せカツ丼のメインも、補助もカツ丼だからだ。なら何故御新香を食べるのか?それは味のリセット。濃厚な味からさっぱりとした味に切り替ええ、肉の旨味を飽きさせない為の工夫だ。さらに先ほど穿った白いご飯の部分と一緒にちょっと食べるとなお良いだろう。
次は端っこだ。メガトン級の味わいのあるあの端っこの部分だ。左でも右でも構わない。だがしかしあとで「かっ込む」と言う作業が来る為、一切れ目に食べた隣の端っこで行く。兎に角、端っこを食べるのだ。え?そんなに美味い場所なら最後に食べたい?この戯け者!いいかメガトン級の味わいと言うのは、つまり果てし無く胃に重たいのだ。最後の方と言う事は、それは満腹になりつつあると言う事だ。その時に、いつまでも胃に残る重たさを店を出ても味わいたいか?帰りが苦痛にしかならないだろう?だから二切れ目は端っこなのだ。さぁメガトン級の旨味を存分に楽しんでくれたまえ!その端っこは今、君の為に存在する。
次はちょっと特殊だから注意して聞くように!
次は御新香を少し食べる。ご飯はなし。少ししょっぱさを楽しむ。そして味噌汁だ。だが決して半分以上、飲んではいけない。何口か汁を啜り、豆腐を何個か食べる。重たい部分を食べたと言う事は口の中が油塗れで口内に薄い膜が張ってると言う事になる。それはつまりカツ丼の味をきちんと味わえないで油塗れで最後まで行くと言う事だ。お笑いで言えば最初から最後までオチだけを見るような物だ。流れに緩急があるからオチが輝くと言う訳さ。
兎に角、ここでは肉から離れる事により飽きさせないと言う状況も作り上げる訳だ。
では、ここからがカツ丼の真骨頂だ。きっちり読み進めて行く様に。
さて口の中がリセットされ気分もリセットされたと言う事でカツ丼の背骨を食べようか。それはつまり、真ん中の切れだ。ここも特殊だ。まずどんな大きさだろうがその切れの1/3口にいれる。でもそれは噛み切るだけでまだ咀嚼してはならない!咀嚼したら済し崩しだ!済し崩し人生が好きか?好きじゃないだろう?ならば咀嚼は後回しだ。そして次に丼を口元まで持ってくる。箸を斜めに入れそして…
<続>