◎続 吾輩は公衆電話である。
185 2005/09/21
我が輩は公衆電話である。
名前はまだない。電話でも公衆でもなんでもいい。間違っても口臭などと言うでないぞ。言った傍から天誅を絶対見舞ってやるやるからな!ってか、その前に前回おかしな方向へ、持ってった作者に天誅を見舞ってやる!!!!キェ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
ただいま、公衆電話さんがご乱心中です。今しばらくお待ち下さい。
ハァハァハァ…つ、疲れた。例えこの天誅で作者のふざけた感性に止めを刺せなかったとしても、今回は絶対に変な方向に持っていけない話しを用意したから。もう一安心だろう。これを読んで、世の一般民衆よ、作者よ、とくと公衆電話のありがたみを思い出せ!
今にも死にそうな、弱りきった青年がほうほうの体で公衆電話の扉に手をかけた。青年をざっと見ると年齢はおよそ20代中盤辺りだろう。青年は胸ポケやらズボンのポケットを、まさぐり、硬貨を見つけ出した。
「こ、こ、これで電話が出来る…」
青年はまるで地獄のそこで天界から垂らされた一本の蜘蛛の糸を見つけたかの様に安堵の表情を浮かべた。きっとその表情が出ると言う事は、余程今までの人生が報われなかったのかもしれない。そう思える程、青年は見つけた硬貨を握り締め何か祈る様な気持ちで両手で包み込んだ。まるで自分の人生が一気に明るくなる。そんな風に感じてしまう程。
解るか?この安堵感を!携帯ではこんな安堵感なんか味わうのは無理だ。絶対に。何せ、登録した番号を指先一つでポチッと押したらあっという間に繋がってしまうからだ。または携帯料金未払いではうんともすんとも繋がらず、バットエンドだ!!!!
青年は受話器を取り、深く深呼吸をした。青年がかけようとしている先は、久しく連絡をとらなかった両親だ。青年を手塩に育て、青年の未来の行く末を時に暖かく、時に厳しく、見守ってきた両親だ。きっと青年は夢を持って都会に来たが、多分複合的な災難から夢が、破れてしまったのだろう。もちろん公衆電話はそんな青年の全てを知っている。何故ならば都会に着いて、最愛の彼女に別れを告げた時も、夢の為に飛び込む先に連絡を入れた時も、夢が破れたと連絡を聞いた時も、今使っているこの公衆電話が全てだった。青年の人生を、全て黙って見守ってきた公衆電話なのだ。この暖かみ決して携帯電話なんかでは得られない人生の流れなのである。
青年の脳裏には実家を無理矢理飛び足した記憶や、夢に破れて自暴自棄になり酒に溺れた日々の記憶などが次々に思い出されていた。
「こんな自分を許してくれるのだろうか…」
青年は受話器をとり固く胸の前で握り締めた。自責の念と幼い日々の楽しかった記憶達が青年を取り巻いていた。しかしすでに青年は崖っぷちだった。今電話しなければ青年はまず間違いなく死んでしまう。もうそんな状態にまで追い込まれていたのだった。
一つ一つの番号を確実に、しかし微かに震えながら青年は電話番号をプッシュしていく。もう後戻りはできない。見栄や恥は虚栄心はこの公衆電話に入った時にとうに捨てた。もうかけるしかない。それしか生き抜く術はない!青年は意を決して最後の番号を押す。
ぷるるるる♪ぷるるるる♪
まるで何もかも許されていくかのような天使の歌声に聞こえた。何処にでも聞けるような何の変哲もない呼び出し音。自然と涙が頬を伝う。ごめん。青年がそう呟き終わった瞬間に
「もしもし」
懐かしい声が耳に飛込み胸を締め付ける。
「もしもし、もしかして太郎…かい?」
思いがけず受話器から耳を遠ざけた。まるで見透かされているようだった。さすが母親。きっと虫の知らせか何かで電話が来る事を知ったのだろう。いや母親の愛が奇跡を呼んだのかもしれない。これぞ親子愛の極み
「もしもし…太郎なら返事をしておくれ。太郎なんだろう?」
そして青年はカラカラに乾いた唇を開いた。
「そう太郎だよ母さん!今実はさ、やくざの車に俺の車をぶつけてしまって、大変な事に
なってるんだ!すまないけど、今から言う口座番号に300万円振り込んでくれ!
じゃないと俺、殺されちゃう!!!うわぁっぁぁぁぁぁっぁっぁぁぁぁぁぁぁ」
ってどうして両親の元に素直に帰ろうとするために電話をかける青年の、感動的な場面が降り込め詐欺に発展するだよ!この穀潰しぃ!!!前回は仕方がないがなんで今回もまた、こうやって公衆電話一族をはめてしまう話しへ変化させてしまうんだ!もう今日と言う今日こそ絶対に生きては帰さん!!!作者今こそ天誅を喰らわしてやるぞぉぉぉっぉぉぉぉぉ!覚悟はいいかぁぁぁっぁぁ!!きえぇぇっぇぇぇっぇぁぇっぇぇぇぇぇ!!!!!!
またもや、公衆電話さんがご乱心中です。今しばらくお待ち下さい。
ふぅ〜ふぅ〜、だからこんな事を書くからますます公衆電話一族の粛正がどんどん進んでいってしまうのだ!お前には聞こえないのか!公衆電話一族たちの無念の声が!今回の話は母親が息子を許し、早く帰ってこいと伝える大切な大切な場面なんだぞ!それを解っての、狼藉かぁぁっぁぁっぁあっぁ!!!
だからそこの酔っ払い!!!受話器を耳につけず持ち上げたり下げたり何度もやってから「すげぇ〜重い鉄アレイ♪」なんて石器時代も真っ青な古臭いギャグを平気で街中でやれるんだ!公衆電話一族はそんな宴会芸を鍛えさせてやる為に街角でウン十年も立ってる訳じゃないんだぁないんだぁないんだぁないんだぁ…。
こうしてまたもや公衆電話一族復活のタイミングを逃すのであった……。次回続くかも?いや…、それはないか。携帯電話の衰退を待つよりも、公衆電話が街から消えていく方が、間違いなく早いからな。仕方の無い事実だ…。
しかし電話文化を支えた功労者を失うと言う事だから何とも悲しい事実である…。