◎凝視力学の基礎 5万HITお題雑文

197 2005/11/15



 ◆うさぎびと様よりお題提供
 :題  名「凝視力学の基礎

 :書き出し「
我輩は猫である…ように見える。
 :途  中「
「禍福は糾える縄の如し」「一刻千金」
       「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」(3つのことわざを使う)

      「
3回以上謝罪の文を入れる。もしくは泣きを入れる。
      「
誰も読めないような漢字を使う。
 :締  め「
もうこの辺で勘弁してください!!!
 :方 向 性「知識の限りを尽くした知的なやつ」


 我輩は猫である…ように見える。と思うのは多分ここ3日間、徹夜をしてたからだろう。いやまてよ。そうじゃないな。無理難題な事ばかり押し付けるRH教授にしごかれてるからだろう。まぁまだ吾輩は野球選手である…ように見えるなどと口走らなかっただけ、まともだと言えるかもしれない。

 さて、我が大学は言葉を深く探求する為なら他の学科(例えば物理学経済学等)を学ばなくともよいと言う一風変わった大学で、あの赤塚不二夫氏が書いた、天才バカボンにでてくる馬鹿田大学に匹敵するほどアレな大学である。何故私がそんな大学に入ったかは今となるとうろ覚えであるが、多分、願書提出日の前夜に深酒をし、酷い二日酔いを患い、提出場所を早稲田大学にするはずが、この大学へ願書を提出してしまったからだと思われる。しかし、これもまた人生と思いこの失敗を転機に変えるべく私は通い続けている。とまぁ、偉そうに書いてはいるが、簡単に言えば酒に因る、失敗である。情けない…。

 そして私は、言葉の奥深さを深く学ぶ為に、数百もある講義の中から、RH教授の講義を選んだ。まぁこれもやけっぱちになって選んだのではあるが(苦笑)しかし名前がRH教授である。これはかなり(奇抜で珍妙で)まじめな講義を聞けるのではないかと思ったのも事実。何故ならRH=ランニングホームラン。つまりかっとんでいて尚且つ筋肉馬鹿的な匂いを、嗅ぎ付けたからである。と言うのは実は嘘。名前が簡単=講義は簡単で単位も取り放題だと考えたのだ。がしかしそれは、甘かった。RH教授は人の斜め先を行く変態…もとい偉人である。朝の挨拶から変わっているのだ。普通なら「おはよう」だが、RH教授は違う!

 
「『禍福は糾える縄の如し』を使った例文を作れ!」と来たもんだ。目が合った瞬間に、である。朝の清々しい日差しを浴びて、今日も元気に勉強するぞと思い教室に入った瞬間にRH教授と目が合うと、挨拶代わりにこんな問題を飛ばしてくるのだ。勿論逃げる事なんてできやしない。真面目に答えないと駄目なのだ。逃げたり間違えた瞬間に落第決定である。例えそれまでにどんなに好成績を収めていたとしても関係ないのだ。
 この講義の神はRH教授であり他の誰でもない。しかも一度選んだ講義は、修了が決まるまで変更する事ができない。まったく簡単に大学に入れて幸せだったのにこんな変わった、教授の講義を4年受けないといけないなんて、まさに禍福は糾える縄の如しだ。


 しかし変態…もといスパルタ式講義はまだまだ続く。
 ある時、RH教授が私に名指しで質問を飛ばしてきた。

 「如月君、『一刻千金』と言う言葉を使って例文を作りたまえ」

 私は深く考えた。一攫千金ならば知ってるが一刻千金は聞いた事が無かった。何度も中を眺め深く考えているとRH教授はこう言ってきた。

 「何でこんな簡単な言葉で悩んでいるんだ?!いいか?そうやって悩む時間が出来るほど
  学ぶ時間が少なくなるのだ!私の講義で教わる事は誰もが知りたい物ばかりだ!普通の
  大学生ならばこんな素晴らしい講義はないと泣きながら訴えてくるのだぞ!75分の
  講義が光陰矢のごとしと言えるほど誰もが熱中し誰もが思っていたよりも早く終わって
  しまうと惜しむほどなのだ!これを一刻千金と言う!
こんなの私の講義を受けていれば
  自然と解る物だ!お前はこれから3日間寝ずに大辞林を全ページ読んでこい!それまで
  私の講義を受ける事を一切禁じる!!!落第を免れたのは私の慈悲の
恤みだと思え!」

 私は我慢の限界だった。こんな独裁政権のような講義なんてこちらから願い下げだった。しかしこのまましっぽを巻いて逃げるなんてしたくはなかった。だから私はRH教授にこう聞いてみた。「何故そこまで言うのですか?!そこまで追い込むのですか?!」と。するとRH教授はこう言った。

 
「ふん、小物が。私の大いなる考えなど解る訳があるまい。私はこの講義の中では神。
  お前みたいな小物が私の深い所にある考えなど考え付かないだろう?こう言う事を、
  慣用句で言ってみよ!さぁ!!」

 私はまた答えに詰まってしまった。そんな慣用句があるのか?実は嘘なんじゃないのか?私を困らして楽しんでいるのではないかと思えた。RH教授はにやりと笑ってこう言った。

 「『燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや』と言うのだ!
この戯け者めが!!!」
 私は、ぐぅの音も出てこなかった。
やはり今の私ではこのRH教授に勝てないのかもう負けを認めて馬鹿をやるしかないのかいっそのこと、ごめんなさいと言ってしまった方が良いのか
 だがその時、一筋の光明が私の脳裏を貫いた!これだ!これならこのRH教授に勝てる!私はにやりと笑ってRH教授にこう切り出した。

 「RH教授、私は後半月でこの大学を修了します」
 「ああ、知ってるよ。だがお前が修了できるかは解らんがな」
 「私は修了したい。だが貴方に勝ちたい、言葉で!」
 「ほう?できるのか?『燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや』もしらない若造が。」
 「約半月後、私の無い知恵を絞ってRH教授に最大の問題を投げ掛けます
  もしその問題に見事答えられなかった時は、私をこの大学1の優秀な生徒だと25回
  絶賛してもらいます!しかもおふざけなしで本音で!この賭け乗れますか?まさか
  乗らないなんて言わないですよね?たかが若造の作る問題ですよ?もしRH教授が
  受けないなら自動的に私の勝ちです。いかがですか?神のRH教授」
 「ふん!受けて立つわ!だがしかしもし私が見事に答えられたら卒業はおろか、
  お前をこれからは、馬鹿の如月、略してバッキーと呼ぶからな!」
 「いいですとも!でもまずは3日間寝ずに大辞林を全ページ読んで知識を増やして
  最強の問題を考えます!」
 「ふふ。そう言うのを『From word to deed is a great space.』と言うのだよ如月君」
 「では、失礼します」
 私は足早にRH教授の元から立ち去った。

 我輩は猫である…ように見える。と思うのは多分ここ3日間、徹夜をしてたからだろう。いやまてよ。そうじゃないな。無理難題な事ばかり押し付けるRH教授にしごかれてるからだろう。まぁまだ吾輩は野球選手である…ように見えるなどと口走らなかっただけ、まともだと言えるかもしれない。しかしやっとできた!この問題ならRH教授は私に勝てまい!

 この日を3年間と半年待った。もうあとはこの問題をきちんと形にするだけだ。
 ああ、聞こえてくるぞ、RH教授が頭をかきむしりながらのた打ち回る音が。
 そしてきっとRH教授は問題を解けずに私に泣きつくだろう。その時こそ私の卒業であり
凝視力学の基礎である、じっと事柄を見詰める力が備わったと言う訳だ。
 ああ、聞こえるだろう、RH教授の断末の声が。

 
もうこの辺で勘弁してください!!!と。

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