◎ペペロンチーノは眠らない

204 2005/12/29

 如月はちょっと風邪を引いた。なのでパブロンゴールドを昼休みに飲む。

 しかし相変わらず今日も沢山書類が来る(笑)それなりにこなす。そして風邪薬の所為で、凄く眠い。嗚呼眠い。余りにも眠いので隣の席の先輩の腹を、つねってみる。しかし眠い。つねった所為なのか解らないが先輩大激怒。でも眠い。嗚呼眠い。余りにも眠かったので、遠い席に座ってる後輩に向って輪ゴムを飛ばす。眠い。輪ゴムが飛んだからなのか、後輩が気付いたからなのか、何故か後輩に強く説教をされる。でも眠い。嗚呼眠い。余りにも眠いので如月のいる、部署が所有してるサーバーの電源のボタンを、押したり押したり押したり押したり押したり押したり押したり押したりしてる内に、サーバーが白煙を吐きやがった。ちょっと煙かった。しかし眠い。サーバーが白煙を吐いたからか、如月の部署の室温が暑いからなのか何故か如月がみんなから怒られる。どうやらカルシウムが足りないらしい。魚を食べてね(はーと)と言うと更に怒られた。まぁとりあえず濡れ衣だと言うが、かなり眠い。嗚呼眠い。あまりにも眠いので徐に社内電話使って如月のいる会社の社長に電話してみる。なんだか偉そうに話するから少しむかついて「私は男塾塾長江田島平八であーる」と言ってみた。何故だか電話の向こうで、スピッツがやたらと吼えている音が、聞こえてきたので、「解雇するの響きだけで強くなれる気がしたよ♪」と歌い出すと、何故か回りの人間に無理矢理に電話機を奪われる。強奪罪適応だと考えるも何故か眠い。ああ眠い。このままだと、眠りの世界に引き擦り込まれもう2度と戻って来れないよパトラッシュと感じたので慌てて目に目薬を差すもやっぱり眠い。嗚呼眠い。あまりにも眠いので同僚の使ってるパソコンにハッキングして画面一杯に「だっふんだ!!」と打ち込んでみる。しかし眠い。嗚呼眠い。しかし同僚はなにやら「だっふんだ!!」が気に入らないのか如月に対して警察に突き出す素振りを見せたので「じゃ〜、銭形のとっちゃんでここは一つよろしくw」と言うと何故か本気で110とプッシュしそうになるから急いでSTFをかけて難を逃れる。しかし眠い。あまりにも眠い。あまりにも眠いから、部長の持っている判子を強奪してみんなのおでこに押し捲ってみる。「みんな一気に兄弟だねw」と言うと何故かいろんな物が飛んでくるので眠いけど一生懸命避けてみる。避けてみるが眠いので所々で、ホッチキスやら定規やら包丁やら鉈が当たりそうになった。あぶないったらありゃしない。

 眠い眠いと言っていたら何時の間にか就業時間が終わったので喜び勇んで帰る。しかし、凄く眠い。嗚呼眠い。帰り道、何度も遭難をしそうになる。凄く眠いったらありゃしない。あまりにも眠いがしかし少しお腹が空いたので、ペペロンチーノを作る事にする。意味は、全く無い。何となく作って食べたかったのだ。

 とりあえず眠いが材料が揃っているか確認する。なんとか全て揃っているのでワザワザ、買いに行かなくて良い事に安堵する。だって凄く眠いんだ。量は適当で行う事にする。所詮男の料理だ。問題はあるまい。それに眠い。眠過ぎていちいち軽量スプーンで測っていたら次の日になってしまうから。とりあえず大きな鍋があったんでそこでお湯を沸かす。待つ間凄く眠かったがここで寝てしまうのは水に負ける気がするのでがんばって踏ん張る。しかし眠い。嗚呼眠い。きっと今寝たら最高の眠りになるだろう。しかしがんばる。
 暫くするとぐらぐらとお湯が沸いたので思い切り塩を入れる。ここで遠慮してしまうと、美味しいペペロンチーノなんてできない。兎に角、遠慮無しで塩を投入すること。それが、美味さのコツである。しかし眠い。火を使ってるのに眠いなんて危ないじゃないか。

 冷えたフライパンにオリーブオイル、にんにく、鷹の爪を入れ弱火で炒める。きちんと、冷えたフライパンで作らなければ全くもって美味しくない。時々油が跳ねて、手に付くが、熱いと思う瞬間も眠い。こんなに眠くなるのは生まれて始めてかもしれない。少し異常かもしれない。が、兎に角眠い。ああ眠い。眠いから早く料理を終わらせたいがしかし焦りは、禁物である。焦らずオリーブオイルに香りをじっくりと移す。オリーブオイルが熱くなってきて、にんにくがじわじわと泡を出し始めたらパスタを茹で始める。このタイミングが大事なのである。ここだけは一生懸命意識を集中して行う事。しかしそれでも眠い。
 パスタは後からフライパンで炒めることを考えて、アルデンテ一歩手前ぐらいになる様に茹でるのがよいらしい。火力は、パスタが鍋の中で優雅に踊る程度にする事。その優雅さに酔い痴れて眠ってはいけない。解っているのだが何度も意識がなくりそうになる。眠い。

 にんにくがキツネ色になったらフライパンにパスタを投入する。この時、パスタがフライパンから零れない様にしっかりと移す事。如月は凄く眠かったので何本か零してしまった。しかし如月が食べるだけなので気にしない。いや気にしないと言うより眠いから解らない。にんにくは焦がしすぎると苦い味がでてしまうのでタイミングが大事である。ここだけは、どんなに眠くても如月がんばった。誰か褒めてあげて欲しい。しかし褒められるのを待っていられるだけの精神力がないため、褒められる事を拒否する方向へ。つまり結局、眠い。
 パスタをフライパンに投入したらパスタの茹で汁を大さじ5杯とパセリのみじん切りを、いれてかき混ぜる。味がものたりないときは、ブラックペッパーや塩を足す。間違っても、めんつゆやチョコレートなどを入れては絶対にいけない。いや、たまたま今目の止まる所にめんつゆとチョコがあったから言ってみたのだ。眠いから許して欲しい。

 冷めないうちに急いで皿に盛り付ける。これであとは食べるだけ。食べ終えたら眠れる。少し心が緩んだ。いただきますを言おうとすると、急に何もかも嫌になり、折角眠気を我慢して作ったのだが、皿を窓の外へ放り投げる。落下途中に皿からパスタがはみ出ると美しくない。皿が割れる音が響いたら、ガスレンジから茹で汁が入った鍋を窓際まで運ぶ。階下を歩く人々が驚いて見上げる視線を充分に受けとめてから、鍋を投げ捨てる。もう眠すぎる。この時、目を見開いて奇声を上げると効果的である。兎に角眠さをアピールするが如くに。フライパンは柄を持ってスナップを効かせながら、斜め上方30度へくるくると回転させる様に投げ上げる。フライパンが放物線を描いて頂点から落下し始める前に調理台へ戻る。

 先ほどパセリをみじん切りにしたナイフで頚動脈を切断し、意識が消える前に窓から飛び降りる。これで如月は永遠に眠れる。少し微笑みが零れた。

 と言う所で目が覚めた。目覚めるとそこにはいつもの職場の風景が視界に飛込んできた。そして、実はまだ眠いが、何故か熱い視線を後ろから感じるので、眠い体に鞭打って後ろを見ると…後ろを見ると…。

 そこには顔を真っ赤っかにしながら如月を睨み付ける部長が立っていた。
 時間はまだ就業時間内だった。しかし眠い。嗚呼眠い。とりあえず凄く眠いのだ。

※私の敬愛する半茶さんの「美味しいペペロンチーノの作り方」を機軸に作ってみました。

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