◎10秒間の思考 10万HIT雑文
222 2006/07/19
◆野花様の創作雑文
:題 名 「10秒間の思考」
:書き出し 「最初の1行目に必ず 嘘だろ!!! で書き出す。」
:単語挿入 「森林浴」「海」「世界」「僕は勉強ができない」
「ふぅ〜じこちゅわぁ〜んw」
「数学式」「星」「全然解らん」「万華鏡」「八雲」
:書き終り 「自然を組み込んで終らせる。」
嘘だろ!!!
さっきまで、僕は森の中にいた。広葉樹の中を歩き、これが森林浴というものなのだろうと思うだけで、かなり気分が良かった。
それがどうだ。僕の気分を嘲笑うかのように、たった一度の瞬きのあいだに景色が変わってしまった。僕は眩暈を覚え、目を閉じた。夢を見ているのだろうか。そうでなければ絶対にありえない。しかし・・・、いや夢ではないはずだ。
ゆっくり目を開けてみると、やはりそこには輝く海が広がっている。きらきらと光るコバルト・ブルー。いつか行ってみたいと思っていた、あの海の色だ。旅行雑誌の写真に魅せられた海の色。この景色にしばらく浸っていたい。しかし、世界とはこんなにも簡単に変化してしまうものなのか。
僕は勉強ができない。学生時代の成績なんて、ひどいものだった。テストの時期になると、僕か、「ふぅ〜じこちゅわぁ〜んw」が口癖の友人か、どちらが学年最下位になるかと、同級生たちは面白がって賭けをしていたものだった。そして、大抵の場合、僕に味方(?)してくれた同級生たちを、勝ちに導いたものだ。数学式など、何の意味があるのか未だによくわからない。それくらい、僕は勉強ができない。
しかし、だ。確かに勉強はできないけれど、自分のことはおおよそわかっているつもりだ。それなのに、今は僕の好むと好まざるにかかわらず、目の前の景色がめまぐるしく変わるのだ。そして、それはどれも美しく、穏やかな世界。何とも表しがたい不思議さが、僕を包む。
頭を振って、気分転換を試みる。そして再び目をこらすと、今度は・・・星。星なのか?いや、それとも雪?もう何やら全然解らん。ただ美しい、それだけだ。
―僕は万華鏡に魅かれていた。
ここは、北海道八雲町。都会のきらびやかな世界は、ここにはない。けれど、このたった一本の筒で、どんな世界にも飛んでいける。
ふと外に目をやると、万華鏡の中の森や海にも劣らない、美しい雪が降り始めていた。