◎恐話百鬼夜行 第五十夜
238 2006/08/31
◆『怒ってる…』 投稿者:K・Tさん 職業:自営業 年齢41歳
友人の姉さんのお話を投稿させて下さい。
その姉さんにはご主人がいて、そのご主人の母君は鬱の気があるんですが、一人暮らしをされているそうです(母君本人の意志に寄るとのこと)。ある日、家に遊びに来てた母君の様子がいつもに増しておかしいと言うことに夫婦は気づきました。
「お母さん、プリンあるから食べてね」
と言うと、母君はそそくさプリンを取りに行くとテーブルの前に座りご自分の前と左隣の誰もいない席の前にひとつづつプリンとスプーンを並べてまるで隣に小さな子供でもいるかのように「ほら、食べなさい?」「ん〜。そう。美味しいの。良かったね」と話していたんですって。それにその夜母君を泊めたら、夜中にトイレに起きた姉さんの耳に、母君が寝ているはずの部屋から、明らかに誰かと会話をしている母君の声が聞こえていたそうです。
もちろん、相手の声は聞こえないので、さすがにその姉さんも「これはまずい……」って思ったらしいです。でもそれまでは、まぁ鬱の気が強く出てるか、薬のせいで幻覚でも見ているんだろうという事で、後日病院へ話を聞きに行くつもりぐらいの事だったのですが…。
ですがその数日後、自宅へ戻っていた母君から夜中に電話が来たそうです。
「ボヤを出した。大家に怒られている。助けて」。
慌てて夫婦は母君の家に行ってみると…。
玄関先からも、明らかに焦げ臭い匂いがしていたらしく、ご主人の方が先に部屋に入り、母君の様子を見て動揺しているようなので玄関先にいる姉さんに
「入っておいで。とりあえず燃えたカーテンを片付けよう」
と、声をかけてきたそうです。でもそのお姉さんは、玄関から動けなかったんですって。足がちっとも動かない。立ったまま金縛りになったみたいに。
その時母君と姉さんのご主人の会話。
母「…あのね。どうして連れてきた?って怒ってるの…」
主「誰が?誰が誰を連れてきて怒ってるの?」
母「入れちゃダメだって。入ってくるなって怒ってる…怖い…」
主「誰が言ってるの?」
母「(下を指さして)この子…」
主「どもにも子供なんていないよ?」
話も解らないし、仕方がないのでとりあえず母君を落ち着かせていると姉さんはやっと、入ってこられたそうです。
翌日、姉さんはシャワーを浴びる時に気づいたんですって。
自分の両太ももに子供ぐらいの小さな手の跡が
内出血しているぐらいはっきりと残っていることを。