◎恐話百鬼夜行 第五十一夜

239 2006/08/31

◆小ネタ集 捌の巻

その36 「原風景」      投稿者:Y・Yさん 職業:造形師 年齢29歳
不可解な記憶がある。
僕は小学生のころに団地に住んでいて、すぐ近くにあった田んぼが休耕している季節には、そこでよく遊んでいた。乾いてひび割れた地面からは、雑草が顔を出していて、カエルをを踏んづけてしまうこともあった。独特の生臭いような空気を吸いながら駆けまわった。
僕の原風景だ。
仲良しだったケンちゃんと2人で、夕暮れのなか、田んぼでボールを蹴りあった時だった。ケンちゃんがボールを、蹴り返してこない。おーい、ケンちゃん。と呼んでもぼーとして、突っ立っている。
「あれ」
ケンちゃんが僕の後ろを指差す。ふり返ると真っ赤な夕焼けの向こうに、巨大なキノコ曇が立っていた。山のはるか彼方。けれど見上げるほど大きい。
僕は驚いてベソをかいた。ケンちゃんが言う。
「原爆がどこかに落ちたんだよ」
僕は逃げるように家に帰り、布団に頭を突っ込んで泣いた。
いま思い出すたび不思議な気持ちになる。あれはなんだったのだろう。

その37 「絶対許さない」   投稿者:O・Aさん 職業:美容師 年齢33歳
一昨年の夏。会社帰りに、上司と飲んで電車に乗り帰宅をしていました。終電だったので、地元に着いたのは午前0時をまわってました。トボトボ歩いて家の近くまできました。
アパートに一人暮らし。安い物件だったので住宅街の奥の方に、私の住むアパートがあるのです。アパートまで行くには車もギリギリはいれるような狭い道を通らなければいけないのです。その道に差し掛かったとき道路に人が倒れてるのに気づき、少し怖かったのですが、声をかけてみました。
返事はなくどこか変だと思いました。なぜならうつ伏せになって「きをつけ」をして、道を塞ぐように倒れてるからです。中年の男で紺色のスーツを着てました。もう一度声を、かけようと近くに寄ると男は何かぶつぶつ言ってました。
少し怖くなり素通りして行こうと思ったのですが、道いっぱいに男が寝ているのでまたいで通るしかないのです。しかたなく男の足の方をまたいで男を踏まない様にびくびくしながらまたぎました。
すると男が起き上がり私を睨み付けながら
「お前、俺の影を踏んだな。お前のせいで全部台無しだ!」
と叫び、いきなり追いかけてきたのです。
わたしは悲鳴をあげながら死に物狂いで家まで逃げ鍵を掛け警察を呼びました。
5分くらいすると警官が2人きたのですが、その不審な人物は見つからなく、夜道の女性の一人歩きは危険ですと説教するとすぐ帰っていきました。警官が帰った後も私は怖く電気をつけてその日は寝ました。
翌日、会社に出勤する用意をしドアを開けると紙が張ってありました。
汚い字で書き殴ったように
「あなたを一生恨みます。絶対許さない」と書いてありました。
その後その男を見ることはなくなりましたが引越ししました。とても怖い出来事でした。
みなさんも『うつ伏せになって「きをつけ」している人』には、気をつけて。

その38 「啼きだす子供」   投稿者:H・Hさん 職業:警備員 年齢64歳
今年の一月の中旬に、夜寝ていると金縛りにあった。
その後ひどい耳鳴りがして寝苦しいなと思い、横を見ると子供の顔があった。目が合うと、いきなり「キーーーー!!」って啼きだしたので驚いた。
その後一瞬で消えた。夢かと思ってまた寝たら、また耳の横で
「キーーーー!!」
横を見るとまた子供の顔があった。10秒ぐらい目が合った後、にやりと笑って消えた。
夜寝ていると時々こういう事があって困る。

その39 「百物語の果てに」  投稿者:E・Sさん 職業:テキヤ 年齢41歳
従兄弟の兄貴が自衛隊に行ってた時の話。
ある夜に、6人でロウソクを100本立てて、隊内の官舎で、百話を始めたそうです。一つ恐い話をするたびに、一本つづ消して行くのは、ご承知の通り。
最後の100本目を消した時、何かが起きると良く言いますが、その6人は、霊なぞ、全く信じてなかったので、面白半分で始めたそうです。話は順調に進み、最後の一本を、彼らが消した瞬間、突然ドアが凄い勢いで叩かれたそうです。
さすがに彼らも恐かったので、そのドアを開ける事が出来ずにしばらく、じっっと息を潜めましたがいつまでも続くのでその中の一人が思い切って、ドアを開けた瞬間、
無数の青白い腕がドアからゾワゾワゾワゾワゾワゾワァと伸びてきました。
ビックリした彼らは、2階であるのにも関わらず、窓から飛び出して、逃げましたが、一人
だけ逃げきれずに、部屋に取り残されたそうです。ガラスの割れる音、悲鳴が隊の官舎に、響き、兄貴が気が付いて現場に駆け付けた時は5人の顔は引きつり、何を話しているのか、全く判らず、とりあえず一人だけその部屋に残っている事だけは分かったので部屋に行ってみました。
取り残された隊員は、口から泡を噴いて、眼がギョロギョロしてて、廃人同然となっており完全におかしくなっていました。
彼は精神病院に行ったそうです。
その後、どうなったのかは、聞いてません。
一体、彼は何を体験したのでしょうか?

その40 「引っ張られる車」  投稿者:E・Sさん 職業:中学生 年齢15歳
本当かどうか知りませんが私のおじさんから聞いた話です。
おじさんは山道を車で走っていると、どんどんと道が細く、両サイドの草木がボウボウで、荒れ放題の小道に入っていったそうです。真夜中だったらしくハイビームで通行してると、時速10キロくらいじゃないと危なくなるほどの荒れ具合になって来ました。
サイドミラーが両脇の草木に触れるぐらいの狭さになり、これ以上は進めないと、判断したらしく引き返す事にしました。バックしようとルームミラーで後ろを確認するとトランクのところに5〜6人の農民と思しき人が立っていたそうです。
真夜中なのに、こんなけもの道に人がいるわけがないと思い、幽霊だと直感したそうです。そこでやはり前に進むしかないと思って前進しようとギアを変えた時、ふとサイドミラーを見ると草木から出た数本の手が両サイドミラーをしっかり握っていたそうです。さらに次の瞬間、アクセルを踏んでもないのに車が前に進みだしたそうです。
どうやらその手と後ろの農民により、車を引きずられてるらしいのです。必死にブレーキを踏んだり、バックしても無駄だった様です。結局10メートル以上引きずられ車は止まり、幽霊も消えたそうですが、着いた所は手付かずになった祠(?)みたいな所だったそうです。
その辺り一帯は昔、姥捨ての習慣があったところだったらしいです。
そのおじさんは「きっと俺も捨てられそうになったんだw」と笑って話してくれました。

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