平成15年(行ウ)373号 損害賠償(住民訴訟)請求事件

原 告  須藤甚一郎
被 告  目黒区長          

準 備 書 面

平成15年10月7日

東京地方裁判所民事2部C係 御中

原告本人 須藤甚一郎

 目黒区旧本庁舎等の売却に関して本件関係人及び三菱商事の財務会計に関する違法、不法行為は、つぎの通りである。

 

 (契約時の役職・氏名)
(違法、不法行為の根拠)
 
1. 目黒区長・薬師寺克一

(1)被告の目黒区長・薬師寺克一は、「公募提案方式」と証する地方自治法施行令第167条2項に定める随意契約の条件に違反した売却方式で、目黒区旧本庁舎等を随意契約により売却する方針を決定した。

(2)目黒区監査委員が、原告の契約差し止め及び審査やり直しを求める住民監査請求の監査を実施中に、区長は区の最高行財政方針を決定する政策会議を主宰し、目黒区本庁舎跡地等土地利用計画審査委員会(以下「審査委員会」)が第1位に順位づけした三菱商事に、助役ら本件関係人と財政的に検討することなく最高購入希望金額より39億1000万円も安く、不法に売却を決めた。

(3)逼迫する区の財政状況を区長として考慮することなく、111億1000万円の購入希望金額を正当に評価せず、違法な随意契約により72億円で三菱商事と売買契約を締結し、目黒区に39億1000万円の損害を与えた。

(4)たとえ随意契約が許されるとしても、新庁舎の購入及び移転費用の財源確保のための売却であるにもかかわらず、区長は財政的見地から正当に検討することなく、故意に14件の見積り中、価額で上位から7番目の72億で売却した。その結果、区に39億1000万円の損害を与えたことは、区長として裁量権の逸脱であり、不法行為に該当する。
 

2.
目黒区助役・佐々木英和
目黒区収入役・安田直史
目黒区教育長・大塩晃雄
目黒区企画経営部長・川島輝幸
目黒区総務部長・木村高久


(1)左記の本件関係人らは、いずれも違法な随意契約締結の先々行行為ある審査委員会の委員として、111億1000万円の購入希望金額の提案を価格を審査することなく、一次選考で落選させた。区は財政難であり、新庁舎の購入及び移転費用の財源確保のための売却であるのに、14件の見積り中、価額で上位から7番目である72億円の三菱商事を第1位に順位付けした。 応募要領に審査委員会で順位付けして契約するとしており、第1位に順位付けしたしたことは、即ち三菱商事を売却先として選定したことにほかならない。

(2)また、違法な随意契約締結の先行行為である区の最高行財政方針を決定する政策会議の構成員として、左記の本件関係人らは被告の区長と共同で、最終的に三菱商事への売却を決定した。 その結果、39億1000万円の損害を区に与える原因をつくった。

(3)左記の本件関係人5人は、違法な随意契約締結の先々行行為である審査委員会の委員であった。さらに先行行為である政策会議の構成員でもあり、39億1000万円の損害を区に与えた違法な随意契約での売却に深く関与したのは、不法行為に該当する。
 

3. 三菱商事株式会社 

(1)原告は、平成15年2月17日に受理された目黒区職員措置請求(契約差し止め及び審査やり直しを求める住民監査請求)の1件書類の写しを、三菱商事に配達証明郵便にて送付した。 したがって、三菱商事は違法な随意契約であることを知り得る立場にいながら、目黒区長・薬師寺と売買契約を締結した。

(2)三菱商事は提案審査の過程で行われたヒアリング(聞き取り調査)で、他の提案者にはなかった交渉事を審査委員と行い、最初の提案では605uであった公共施設を1300uに拡大し、無償譲渡することにした。 この公共施設の拡大及び無償譲渡を審査委員会は、おおいに評価して第1位に順位付けした理由のひとつになった。他の提案者にはない交渉事が行われたのは、区あるいは審査委員会と事前になんらかの打ち合わせがあったことを疑わせる。 ほかにも三菱商事は、公共施設の名称を(仮称)「目黒フォーラム」としており、目黒区が目下進めている行政と区民の「協働フォーラム」と類似している。単なる偶然の一致なのか。

(3)111億1000万円の提案は、三菱商事の提案より階高でわずか1階高いだけであり、総床面積では、むしろ少ない。72億円で契約し、111億1000万円との差額である39億1000万円の不当利益を得た。   

 
  以上