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平成15年(行ウ)373号 損害賠償(住民訴訟)請求事件 原 告 須藤甚一郎 準 備 書 面(2) 平成15年12月4日 東京地方裁判所民事2部C係 御中 原告本人 須藤甚一郎
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被告の準備書面(1)の認否 第1
被告の目黒区長・薬師寺克一(以下、被告と略す)も出席し、平成14年5月13日に開催された目黒区議会運営委員会で、目黒区総務部長(以下、総務部長と略す)が「平成14年度における区有地の売却方法について(案)」を説明したことだけは認めるが、内容に関しては不正確であるので、すべて否認する。 「1 売買方法等(1)契約の方式:公募提案方式」について 契約の方式を説明したことは認めるが、内容に関しては否認する。 (原告の主張) 1.地方自治法で定める売買契約の原則である一般競争入札を採用しなかった理由を、当該議会運営委員会でまったく説明しなかったのは、議事録(甲5号証)で明らかである。被告及び本件関係人の総務部長が、本件土地売買契約が、随意契約の方法により行われることを故意に隠蔽したというべきである。 2.総務部長は、契約の方式が公募提案方式であることだけを説明した。のちに被告らは、地方自治法施行令第167条の2第1項2号を適用した随意契約であると主張するようになったが、売却方法を発表した当該議会運営委員会で、何らその点について説明をしていない。
3.旧本庁舎・公会堂の売却は、新庁舎の購入、移転費用の財源確保が最大の目的であるにもかかわらず、価額を重視し、住民の利益の増進を図る一般競争入札を採用せず、あえて随意契約にした理由を被告及び総務部長が説明しなかったのは、重大な説明責任を区議会に対して果たさなかったことになる。 4.のちに被告らは、地方自治法施行令第167条の2第1項2号の「その他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」を適用したとしている。しかし、旧本庁舎・公会堂の売却方法を発表した平成14年5月13日の議会運営委員会では、その点についての説明はいっさいされなかったのは、議事録で確認できる。(甲5号証) 5.被告の随意契約についての認識不足は、本会議及び委員会のつぎに挙げる答弁からも明らかである。 6.さらに当該区有地の売却に関する議案を審議した平成15年3月7日の企画総務委員会で、被告は「今回の公募提案方式はこれまでの例から見ましても、他の自治体で実際に行われておりますので、何ら問題はないというふうに考えております」、「公募提案方式によっては、私は例がありますので何ら問題はないと、そういうふうに理解しております」と答弁した(甲7号証の25〜26頁下線個所)。しかし、これは虚偽の答弁である。
7.「住環境の調和」等のため、一般競争入札ではなく随意契約にしたと主張するのなら、なぜ旧本庁舎とわずか道路を挟んで2軒目の距離にあった区役所の第4庁舎を一般競争入札で売却したのか。現在、第4庁舎跡地にマンション建設が進行中で、近隣住民が住環境を破壊するとして、いわゆるマンション紛争が起きて、区が斡旋して業者と住民の会議が開かれた。
8.議会運営委員会に区有地の売却方法を説明した平成14年5月13日の時点では、旧本庁舎・公会堂等の主な区有地をすべて売却し、総額120億円の財源を確保し、他の目的で積み立てた基金を60億円取り崩し、総額180億円を新庁舎の購入資金にあてる計画だけが発表されていた。
第2 2頁 「3 土地利用計画提案上の留意点」について 当該議会運営委員会で、留意点@〜Cについて説明したことは認めるが、内容に関しては否認する。 (原告の主張) 1.留意点@〜Cまでは、いずれも具体性に欠ける。周辺地域の居住環境に配慮し、調和のとれた街並み形成を図るためならば、なぜ建物の高さ、階高などを数値で示し、留意点にしなかったのか。 2.留意点Aに「地域の活性化や安全性の確保など住民に貢献できるよう配慮すること」とあるが、留意点としてはこれも具体性に欠ける。 3.留意点Bでは「緑化について配慮すること」とある。しかし、提案審査にあたっては、公会堂敷地内の桜の木と旧本庁舎敷地内のレバノン杉の保存が重視された。とくに桜の木の保存については、審査委員会で高く評価された。それならば、「緑化に配慮すること」と抽象的であいまいな留意点ではなく、なぜ桜の木の保存を義務づけることを留意点にしなかったのか。 4.一般競争入札ではなく、随意契約なのだから、もっと詳細で具体的な留意点を設定して、住民の利益を図る提案を公募するべきであった。が、被告及び本件関係人らは、それを怠った。
第3 2頁 「選考にあたっての審査項目」について 「土地利用計画提案上の留意点、応募者の信用・資力・資金計画及び購入希望金額を審査項目にする」を説明したことは認めるが、内容に関しては否認する。 (原告の主張) 1.実際に審査にあたったときの「土地利用計画提案評価書」の審査項目を見ればわかる通り(甲8号証)、留意点にない細目を設けている。「小項目」に「公害等」とあり、「細目」に「導入施設の公益性」「風害・電波障害・交通処理・日影等」とあるのがそれである。審査項目の「小項目」「細目」として審査するのであれば、留意点にすべきであるのに、それをしなかった。 2.購入希望金額は、第2次審査に残った7提案のみに、売却予定価格を超過した1億円につき0.1点の割合で事務的に加点されただけである。こうした審査方法では、購入希望金額を審査項目にするとしながら、適正に審査の対象にされなかったというべきである。
3.「土地利用計画提案評価書」に1人の審査委員が記入した場合、小項目別の評価点の最高点は、5点×5項目=25点である。価格評価で、予定価格を1億円超過するごとに0.1点を加点するとしているのだから、25点はじつに250億円に相当するわけである。また「総合的評価」の最高点は、10点満点であり、100億円に相当する。 4.最高購入希望金額111億1000万円と売却先である三菱商事の購入希望金額の差は、じつに39億1000万円である。それなのに提案内容の差が、価格差の39億1000万円に匹敵するものかどうかの、比較考量を審査委員会はしなかった。財源確保の売却なのに、財政的見地からの検討を怠った驚くべき審査であった。
第4 2頁 「5 売却予定価格に」ついて 売却予定価格を設定するが、公表しない、ということを説明したことは認めるが、内容に関しては否認する。 (原告の主張) 1.原告は、目黒区財産価格審議会が当該区有地の売却予定価格を諮問した平成14年4月25日の会議録を、原告は区の契約課から入手した。しかし、会議録に添付されている旧本庁舎・公会堂用地の売却予定価格を算出する根拠になった「開発方式試算表」「事業収支計画」「開発法を適用して求めた素地価格」の文書の重要部分が非開示とされて、黒く塗りつぶされている。(甲10号証)
第5 2頁 下段から7行目に「目黒区においては、この(案)を、議会の関係委員会に報告し、了承された」とあるのを否認する。 (原告の主張) 1.平成14年5月13日の議会運営委員会の議事録(甲1号証)でわかるように、総務部長が議会の関係委員会に単に報告した報告事項であり、賛否を問う議決事項ではないため、議会の関係委員会で了承されたことにはならない。委員会が正式に了承したとされるのは、賛否を問い、賛成多数であった場合に限る。したがって、関係委員会が了承したとはいえない。
第6 3頁 2行目から最終行まで。 目黒区本庁舎跡地等土地利用計画審査委員会を設置し、学識経験者3人並びに目黒区助役ら行政側9人が構成員になったこと、平成14年9月24日から12月13日まで合計6回の審査委員会を開催したこと、平成15年1月14日開催の政策会議で三菱商事の提案を採用することを決定したこと、同年2月17日に三菱商事と仮契約を行い、3月14日の議会の議決を経て、3月24日に正式な契約を締結したこと、は認める。しかし、被告の主張の趣旨は否認する。 (原告の主張) 1.審査委員12人のうち区民及び地域住民は、1人も構成員になっていない。審査委員12人中、9人が行政側委員であるという極めて偏向した構成で審査が行われた。助役ら行政側委員9人は、区長である被告の指揮下にある幹部職員である。審査の公正さが保証されず、行政側の意向が強く反映した審査委員会であった。 2.3頁11行目から13行目に「その後なされた応募案の住民への閲覧、住民説明会を行い、応募案に対する意見書の提出をまって、住民意向を把握し」とあるが、住民説明会では各提案の内容を説明したに過ぎない。審査の過程で住民の意向を反映させる審査は行われていない。
3.3頁16〜18行目に「本件委員会が本件土地の売却を随意契約の方法によることの適否を検討するためのものではないことは、その設置目的(要綱1条)から明らかである」とある。本件委員会、すなわち審査委員会が、随意契約によることの適否を検討するためのものではないとしても、区財政難の財源確保の区有地売却にあたり、財政的見地からの検討を行わずに審査したのは、とうてい適正な審査といえるものではない。 4.3頁下段から4行目。「同年(平成14年)2月17日に三菱商事株式会社との間で本件土地を目的物とする売買の仮契約を行い」とある。原告は、同年2月17日午後に契約差し止め及び審査のやり直しを求める住民監査請求を起こすことを、事前に原告のホームページで予告していた。 5.3頁下段から3行目。「3月14日の議会における議決を経たうえで、同月24日に正式な契約を締結した」とある。しかし、違法な契約は、たとえ議会の議決を経たとしても、適法な契約にならないのは最高裁判所判例(昭和37年3月7日大法廷判決)で「議会の議決があったからというて、法令上違法な支出が適法な支出となる理由はない」と判示していることからも明らかである。(甲11号証の傍線個所)。
第7 4頁。「第2 本件売買契約の相手方の選考経過について」は、被告の主張は全体として不正確であるので、すべて否認し、追って準備書面にて別に主張する。
第8 5頁。「本件提案と整理番号12の提案との比較について」は、被告の主張は全体として不正確であるので、すべて否認し、追って準備書面にて別に主張する。
第9 8頁。「本件における随意契約の適法性について」は、判例引用に誤りがあるなど全体として不正確であるので、すべて否認する。 (原告の主張) 1.被告は随意契約について、地方自治法施行令第167条の2第1項2号「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」は随意契約の方法によることができるとして、最高裁判例(昭和62年3月20日判決)を引用している。しかし、目黒区の本件土地売却は、新庁舎の購入、移転費用の財源確保が目的であり、「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」に該当せず、違法である。 2.引用している最高裁判例は、長崎県福江市がごみ処理施設の建設にあたり、競争入札とはせず、4社を指名業者とし、そのうち1社と随意契約の方法により契約を締結したものである。4社のうちから最低の見積り額を提出した業者ではなく、3番目に低い見積を提出した業者と随意契約の方法により契約を締結した。 3.また最高裁判例の引用個所中に「契約の公正及び価格の有利性を図ることを目的として普通地方公共団体の契約締結の方法に制限を加えている法令の趣旨を勘案し、個々具体的な契約毎に、当該契約の種類、内容、性質、目的等諸般の事情を考慮して当該普通地方公共団体の契約担当者の合理的な裁量判断により決定されるべきものと解するのが相当である」(9頁4行目〜9行目)とある。 4.最高裁判例は「契約担当者の合理的な裁量判断により決定されるべきもの」(9頁9行目)としている。しかしながら本件契約担当者である被告が、そもそも財源確保の区有地売却であるにもかかわらず、14件の見積中、上位から7番目であり、最高見積価格と39億1000円の価格差がある72億円で三菱商事と契約したことは、合理的な裁量判断とはいえず、裁量権を逸脱しているというべきものである。 5.被告は本件土地売却について「その処分は、単なる収入確保のための遊休地の売却ではなく、本庁舎の移転等の財源の確保を図る一方で、目黒区のまちづくりの方向に沿い周辺環境の保全や地域コミュニティの活性化に寄与するとともに、住民の要望にも配慮した有効かつ適切な土地利用がなされるように配慮してなされるべきものであった」(9頁13行目〜18行目)と主張しているが、明らかに誤りである。 地方公共団体の契約の大原則である一般競争入札を採用せず、随意契約によらなければならないほどの目黒区のまちづくりの方向が、本件契約時までに示されたことはない。 旧本庁舎が5階建てであった跡地に、13階建ての集合住宅を建設する三菱商事の提案を採用したのが、「まちづくりの方向」に沿ったものであるならば、あえて39億1000万円もの得べかりし利益を犠牲にして、随意契約の方法により売却することはなかった。近隣地区には、旧本庁の5階建てより高い建築物はなく、採用された提案の13階建ては、住環境を著しく破壊するものである。 6.「このような本件土地の売買契約の性質及び目的によれば、価格のみを考慮要素とする競争入札ではなく、売却した後の土地利用計画をも考慮することができる随意契約の方法によることが合理的なことになるのである」(9頁下段から4行目〜最終行)とあるが、この主張は誤った判断に基づいたものである。
7.「また、本件における契約の相手方の選定に関しては、公募方式がとられ、その審査は合議体で行われ、応募案が住民に閲覧され、住民からの意見書の提出もなされているのであるから、その手続きは適正であり、非難されるべき点は何もない」(9頁最終行〜10頁4行目)とあるが、これを否認する。 すでに原告が主張してきた通り、公募方式の随意契約は違法であり、審査は合議体で行われたが、偏向した構成であり、審査方法及び内容が「非常に劣る」提案内容であっても、50億円の価格評価に相当するなど極めて不合理な評価基準の設定であった。さらに財政的見地からの検討を行わずに順位付けをし、契約までの手続きは適正ではなく、非難される点ばかりである。 8.「本件土地の売却に際しては、専門家によって構成される財産価格審議会の審議を経たうえで、予定価格が56億4760万円と決定されている」(10頁5行目〜7行目)とある。決定されたのは認めるが、決定の過程については認めることができない。
第4 「5 売却予定価格について」の原告の主張ですでに述べた通り、目黒区財産価格審議会が売却予定価格を算出する根拠になった「開発方式試算表」等の文書の肝心な個所が非開示にされているため、原告は文書提出命令の申し立てをする。したがって、文書の内容がすべて開示された時点で、原告は改めて準備書面を提出し主張する。 9.「収入の確保が目的であっても、地方公共団体が売主である以上、高ければ高いほど良いということにならないのは、委託契約や請負契約におけるいわゆる1円入札の場合と同じであり、適正な価格を超えた提案の優劣を考慮する場合にあっては、そのないようを優先し、その後において価格を考慮することにしても、それをもって不当とすることはできない」(10頁7行目〜13行目)とある被告の主張を否認する。 被告は本件契約に関連した業務委託契約において、価格のみを重視して契約を締結した。目黒区は、本件土地売却を含む土地売却にあたり、公募提案等のアドバイス、物件調書の作成、物件案内、新聞等への広告掲載手続き等の委託仕様書を作成し、業務委託の見積合わせを行った。(甲13号証)。なお、仕様書中の文言に「入札」とあるのは誤りである。競争入札ではなく見積合わせによる随意契約であるから「見積書」が正しい。 10.「本件の場合には、もしも原告の主張するように、価格だけに着目して買収価格111億1000万円の提案を採用したときは、その価格が健全な評価をはるかに上回る(予定価格の1.97倍)という観点だけからも大きな問題を引き起こすことになることは容易に想定されるところである」(10頁14行目〜18行目)とあるのを否認する。 類似の売却事例として、東京都が平成14年3月に都の青果市場跡地である秋葉原駅前都有地を公募による随意契約で売却したケースがある。売却予定価格は、228億7670万3100円であり、売却価格は405億円であった。(甲16号証)
11.「ちなみに、土地の売却に際して、価格の高騰を抑制するために随意契約の方法によることを認めた最高裁判例(平成6年12月22日判決、判例時報1520号71頁)がある」(10頁下段から3行目から最終行)と述べているが、判決の意味を取り違えている。 この最高裁判例は、価格の高騰を抑制するために随意契約の方法によることを認めたものでないことは、判決文を一読すれば明らかである。一般競争入札において最高制限価格を設定したのを違法としたものである。最高入札価格が一定金額を超えるおそれがある場合は、随意契約によって行うことができると判示している。(甲17号証の2頁〜3頁傍線個所)
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