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平成15年(行ウ)373号 損害賠償(住民訴訟)請求事件 原 告 須藤甚一郎 被 告 目黒区長 準 備 書 面 (5) 平成16年10月27日 東京地方裁判所民事2部C係 御中 原告本人 須藤甚一郎 被告の原告の文書提出命令申立(平成16年7月7日付け)に対する意見書(平成16年10月27日付け)について、つぎの通り反論する。 1 被告は意見書で「当該公募提案方式の応募要領第7、(4)(乙1号証5頁)において「応募申込者及び応募者名は、非公開とします」とされており、被告は応募した企業に対して秘守義務を負っているので、それを提出することはできない(民事訴訟法220条4号ロ)」と主張する。 しかし、文書の所持者が提出を拒むことができる場合として、民事訴訟法220条4号ロには、「公務員の職務上の秘密に関する文書であってその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」とあり、本件はそれに該当しない。 その理由は、応募要領に「応募申込者及び応募者名は、非公開とします」とされていても、公募提案方式のよる売却はすでに終了しているため、応募した企業名を明らかにしても、公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれは、まったくない。むしろ、応募した企業名を明らかにして、公募提案の審査が適正に行われたか否かを審理することこそ、公共の利益に資するものである。 また、被告は応募申込者及び応募者名は非公開とされており、応募した企業に秘守義務を負っていると主張しているが、応募した企業のうち売却先に決定した三菱商事については公開しているのである。応募した各企業は、売却先として決定されれば企業名が公開されることを予想して、応募したものである。応募した各企業にとっても、売却決定後に企業名が公開されたとしても、何ら利益を害されることはないというべきである。したがって、被告が売却終了後に企業名を公開することを拒む理由ない。 2 そもそも被告が、公募申込み者及び応募者名を非公開にした目的は何か。 考えられるのは、公募提案の申込み及び審査等の過程で、提案内容や見積価格等が漏洩することを防ぐためであったはずである。売却が終了した現在、民事訴訟法220条4号ロを根拠にして、公開を拒む理由はすでに消滅した。 3 当該応募要領第8(2)に「審査委員会委員名は非公開とします」(乙1号証5頁)とある。しかし、審査委員会委員名については、原告は審査委員会終了後に、目黒区情報公開条例に基づき審査委員会会議録の写しを開示請求し、開示された。(甲2号証、事実証明書6) 審査委員会会議録には、審査委員名は記されていないが、出席者として、区側の委員について「助役、収入役、教育長、企画経営部長」等の役職名が記されているため、ただちに委員名を特定できる。ただし、学識経験者委員は非開示になっている。 さらに原告は、目黒区情報公開条例に基づいて、目黒区監査委員に対し、住民監査請求監査実施に係る関係人調査の監査委員協議録の写しを開示請求し、開示された。(甲18号証) 開示された監査委員協議録の「関係人調査実施スケジュール表」(甲18号証、別添3)及び監査委員協議録には、関係人調査を行った区側の審査委員の役職名と氏名が記されている。それのみならず、学識経験者委員で審査委員会委員長であった東京工業大学名誉教授 谷口汎邦の氏名も記されている。監査委員によれば、他の学識経験者委員の関係人調査を行わなかったのは、時間的な制約があったからだという。関係人調査が行われていれば、「関係人調査実施スケジュール表」及び監査委員協議録に、他の学識経験者審査委員の役職と氏名も記されたわけである。 このように当該応募要領で、同じく非公開とされながら、審査委員会委員名は情報公開の対象になり、開示されているにもかかわらず、応募した企業名を非公開とすることは大きな矛盾であり、目黒区情報公開条例に違反している。 4 被告は「応募企業名から「審査が公平であったか」が確認できるわけではないし、証人申請の資料を得るというのは文書提出命令の目的とは相容れないものであるから、これらの点からも本件文書提出命令の申立を認める余地はない」と主張する。が、的はずれな主張というべきである。 もちろん、応募企業名のみから審査が公平・公正であったか否かは確認できるものではない。しかし、原告がこれまでの準備書面で主張、立証してきたように審査委員会の審査は、提案内容と見積価格を総合的に比較考量しないなど違法、不当に行われたものである。企業名を明らかにすることで、企業の実績、信用度がわかる。第3回審査委員会会議録(甲2号証、事実証明書6、26頁)の「評価基準について」で、「価格の高いものは実現可能であるかどうかを聞いてみるという点でヒアリングの対象に残すべきである」として、企業の実績、信用度が論議されている。 ヒアリングの実施にあたっても、審査委員会会議録のよれば、最高価格111億1000万円の見積価格を提示した企業に階高の変更の即答を迫るなど、難題をもちかけた。原告は、応募した企業名を明らかにして、証言によって提案内容の審査が不公正・不公平であったことを立証する。 原告が、審査委員会会議録の原本あるいは録音テープについて、文書提出命令申立書(平成16年1月28日)を提出したが、被告は準備書面(3)第9 まとめ(19頁)で「審査委員会の会議を録音したテープ及び原告のいう原本は存在しない」と主張する。それならば、審査委員会会議録は要点筆記に基づいてまとめられたものであり、内容をそのまま信用することはできない。したがって、公募した企業名を明らかにし、とくにヒアリングを受けた企業の担当者の証言が必要になる。重ねていうが、被告が応募した企業名の公開を拒む理由は、すでにないのである。 以上 |