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平成15年(行ウ)373号 損害賠償(住民訴訟)請求事件 原 告 須藤甚一郎 被 告 目黒区長
準 備 書 面 (7) 平成17年2月1日
東京地方裁判所民事2部C係 御中 原告本人 須藤甚一郎
第1 審査委員会会議録の下書きについて 1 公募提案方式による随意契約で、本件土地を売却するにあたり、提案審査をした審査委員会の会議録の作成のための下書きがあることが判明した。(甲第36号証) その下書きは「議事の経過と主な発言」と標題にあり、契約課長だった加藤義光が、下書きの草稿に添削している。その下書き草稿には、審査委員会「会議録」(甲第2号証、事実証明書6)に記載されていない重要な発言が記載されているのである。 原告が、添削跡のある下書き草稿「議事の経過と主な発言」を入手した経緯は、つぎの通りである。本件土地売却当時に、目黒区総務部契約課長であり、本件売却にあたり公募提案を審査した目黒区本庁舎跡地等土地利用計画審査委員会(以下、審査委員会という)の事務局責任者であった加藤義光は、平成16年3月8日に別件の収賄罪容疑で警視庁に逮捕された。その件については、原告は準備書面(4)の「目黒区長・藥師寺克一の自殺と契約課長・加藤義光の逮捕について」で詳述した。 加藤逮捕の翌3月9日には、警視庁による契約課の家宅捜索が行われ、関係書類が押収され、押収物件が押収品目録交付書に記載されている。押収品は平成16年9月中旬に返却された。原告の同僚の目黒区議会議員である増田宜男が、押収品目録交付書を開示請求し、入手した。原告は、増田宜男から押収品目録交付書の写しをもらい受け、押収品目録交付書に記載されている文書の中から、本件売却に関する文書を開示請求した。開示された文書の中に、「議事の経過と主な発言(第1回審査委員会)」の標題のついた文書の綴りがあった。なお当該文書は、第1回審査委員会から第6回審査委員会まである。契約課によれば、当該文書は加藤義光の自分用のファイルにあったものだという。 原告が、開示請求して入手した審査委員会「会議録」と見比べると、「議事の経過と主な発言」は、審査委員会「会議録」を作成する前の下書きであることがわかる。第3回までの「議事の経過を主な発言」には、契約課長・加藤が著しく添削した跡が残っている。添削の跡がない第6回審査委員でも、下書き草稿の「議事の経過と主な発言」は8枚であるが、審査委員会「会議録」はわずか3枚である。見比べてみれば、契約課長・加藤が随所で削っているのは一目瞭然である。 審査委員会の会議を録音し、それを基にして審査委員会の事務局職員が、会議録の下書きをまず作り、それに契約課長・加藤が都合よく添削を加えて審査委員会「会議録」を作成したというべきである。したがって、審査委員会「会議録」は、審査委員会の審査の実態を正確に記録したものではないのである。 2 契約課長・加藤が、審査委員会での重要な発言を削除し、審査経過を隠蔽した決定的証拠があるのが判明した。「会議録」下書きの「議事の経過と主な発言(第3回審査委員会)」(甲第36号証、右下の番号10の上段)に、近隣住民の説明会でだされた意見と住民が14件の公募提案の内容を閲覧後にだした意見が、審査委員会に提出したときの発言が記されている。その個所を引用すると、 (委員)事務局として、説明会場での意見とこちらの後日提出された意見とで何か違いや新しい意見などがありましたか。 (事務局)閲覧期間中の様子で感じましたのは、近隣の方よりも業者の方の閲覧が目立ちまして、同じような意見を幾つも出していかれたようでした。 (委員)業者が集団で同じ意見を出しているということですか。 (事務局)そう思えるものもありました。 以上のやりとりについて、契約課長・加藤は、(事務局)「閲覧期間中の様子で感じましたのは...」の発言部分を横線で消し、「特に違いはありませんが」と直している。しかし、審査委員会「会議録」には、(事務局)の「閲覧期間中の様子で感じましたのは...」の発言と(委員)の「業者が集団で同じ意見を出しているということですか」の発言が削除されていて、記録されていない。このことは極めて重大である。 本件土地売却に関する14件の公募提案内容を、住民に閲覧させて、住民の意見を閲覧会場で「意見記入票」に記入させたのである。(乙第14号証の7の1〜6) ところが、閲覧して意見を記入したのは、近隣住民よりも業者が目立ち、集団で同じ意見を出していたというのである。審査結果に影響を与える極めて悪質な不当行為というべきである。 審査委員会で事務局職員から、こうした重要な発言があったにもかかわらず、契約課長・加藤は削除してしまい、審査委員会「会議録」には記録されていないのである。契約課長・加藤が意図的に上記の発言を削除したことは、審査委員会の審査の実情を隠蔽するためであり、審査委員会「会議録」は審査の正確な記録とは程遠い。なお、審査委員会「会議録」によれば、第3回審査委員会に出席した事務局職員は、契約課長・加藤以外に、庁舎施設整備担当課長、庁舎移転担当課長、都市計画課長、契約課用地売却担当課長であった。契約課長・加藤によって削除された重要発言をした事務局職員は、加藤を除く上記4人のいずれかである。 3 審査委員会の審査中に、審査の根幹を揺るがす重要発言あったのに、審査委員会が、集団で同じような意見を書き込んだ業者を特定しようとしなかったのは、どうしてなのか。事務局が、閲覧期間中に近隣住民よりも業者の閲覧が目立ち、同じような意見を幾つも出していったと発言したことに対して、ひとりの委員が「業者が集団で同じ意見を出しているということですか」と質問し、事務局が「そう思えるものもありました」と答えている。 業者が集団で住民を装って、提案内容について意見を記入したのは、その業者が自らの提案を審査委員会で有利に審査してもらうためであったのは、改めていうまでもない。このような悪徳業者は、この一事をもって失格に値するものである。ところが、会議録の下書きである「議事の経過と主な発言(第3回審査委員会)」によれば、事務局が「そう思えるものもありました」と答えているにもかかわらず、業者を特定しようとする発言が、どの審査委員からもなかったのである。業者の不当な行為を究明しなかった審査は、公正・公平といえるものではないというべきである。 あるいは、審査委員会の録音テープには、業者の不当な行為に関しての議論が録音されていたが、すでに下書きにまとめる段階で削除されてしまった可能性もある。録音テープを確認する必要がある。 4 被告は、準備書面(2)の9頁中段で、「地元町内や商店会から、跡地利用について、住環境・経済環境・社会環境が崩壊することのないようにすることや単に金額だけでなく人の交流やにぎわいなど地域の活性化を図るようにすること等の要望がなされた(乙14号証)」と主張する。乙第14号証の7の1〜6は、近隣住民が公募提案を閲覧して、意見を記入した「意見記入票」である。しかし、「会議録」から削除された発言にあるように、近隣住民より業者が目立ち、業者が集団で同じような意見を記入したものが混じっているのだから、参考とするに値しない。 また、補助参加人らは、準備書面(1)の17頁中段で、「また、地域住民からも、「どうしても選ぶのであれば・・・F(三菱商事株式会社案の事)のような階段式建築で、被害状況にも実直に対応して頂けるプランです。」(乙第14号証の7の1)、「提案F(三菱商事株式会社案の事)のフォーラム設置案には好感が持てる。」(乙第14号証の7の2)、「F(三菱商事株式会社案の事)は、他のコミュニティ施設に比較して、社会教育施設のような提示であり、区として不足している憩いの場が盛り込まれた案である。清水社会教育館もなくなってしまうと聞いており、周辺に同様な施設がなくなってしまうのは、子供をもつ身としては困る。場所(スペース)のみを確保した案ではなく、ご自身(原告注、街自身の誤読)の活性化にも配慮しつつ区内において十分ではない社会教育施設を考慮した案を取り上げて欲しい。」(乙第14号証の7の6)といった、三菱商事株式会社案を評価する意見が寄せられた」と主張する。 この他に、乙第14号証の7の5の意見も「地区施設を設置している整理番号7の計画の考え方は良いと思います(仮称)目黒フォーラム」として、三菱商事の提案を推している。 しかし、原告が上記2ですでに述べたように、近隣住民より業者の閲覧が目立ち、業者が集団で同じような意見を幾つもだしていったのを事務局職員が目撃しているのである。三菱商事の提案を評価する意見が多かったことは、つまり、集団で同じような意見を幾つも「意見記入票」に記入した業者とは、三菱商事であったと推認するのが、合理的判断というべきである。 したがって、公募提案内容の閲覧後に寄せられた三菱商事の提案を評価する意見は、なんら根拠がないのである。それどころか、三菱商事が集団で同じような意見を幾つも記入したのならば、公正・公平であるべき提案審査を歪め、提案業者にあるまじき悪質で不当な行為である。審査委員会が失格にすべき行為である。 5 最終回であった第6回審査委員会の「会議録」には、会議録作成についての発言の記載はない。が、下書きの「議事の経過と主な発言(第6回審査委員会)」右下番号26の下段から〜27の上段までに会議録作成についての発言の記載がある。その個所を引用すると、 (事務局)テープに録音しておりますので、会議録を作りますので、これは委員長に見ていただいて、内容をご確認いただいてから各委員にも会議録としてお配りすると。 (委員)それは是非お願いしたい。では、そういうことでよろしいですか。 さらに、その後で、 (委員)議事録は非公開ですか。 (委員)議事録は議会などでは正確にやりますが、要点の会議録ですので趣旨をのせるということで、委員名などは出しませんので、そういう議論があったという会議録になります。 以上の発言のやりとりを見ると、審査委員会「会議録」は、審査委員会の終了後に第1回から第6回までをまとめて作成したことがわかる。審査委員会で三菱商事を1位に選んでから、録音テープに基づいて会議録を作成したのだから、当然、三菱商事を選んだつじつま合せになっているというべきである。会議録作成についての審査委員の発言で、議事録は議会などでは正確にやるが、審査委員会は要点の会議録なので趣旨を載せるとある。 けれど、本件売却の公募提案に応募した業者が、集団で住民を装って、提案内容に関して意見を記入した不当な行為についての発言があったにもかかわらず、契約課長・加藤が故意に削除した。とうてい公正に審査委員会の発言の趣旨をまとめた会議録といえるものではない。 原告は、審査委員会の審査の詳細を知るために、審査委員会の録音テープについて文書提出命令申立をしている。被告はすでに、録音したテープの存在を認めたが、会議録があるので提出しないと拒否している。原告が、これまで指摘したように審査委員会「会議録」は、審査委員会の実情を正確に記録したものではない。よって、重ねて被告に録音テープの提出を求めるものである。 以上 |