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平成15年(行ウ)373号 損害賠償(住民訴訟)請求事件 原 告 須藤甚一郎 被 告 目黒区長 準 備 書 面 (9) 平成17年5月19日 東京地方裁判所民事2部C係 御中 原告本人 須藤甚一郎 はじめに 1 原告準備書面(8)平成17年3月29日付の誤記の訂正について 原告準備書面(8)第1、2の(6)10頁で「財産価格審議会委員と紹介された天野克也」とあるのは、目黒区都市計画審議会委員の誤記につき訂正します。 2 目黒区本庁舎跡地等土地利用計画審査委員会(以下、審査委員会という)の部分的反訳である甲第40号証「審査委員会録音テープ反訳」は、その後、審査委員会第1回〜第6回(ヒアリング含む)の全録音テープを反訳したため、 甲第40号証の1〜7に差し替えます。 第1 審査委員会第1回〜第6回(ヒアリング含む)の内容について 審査委員会の各回の内容を詳述する前に、テープを反訳した方法について述べておく。準備書面(8)で述べたように、録音テープはノイズ(雑音)が極めて多く聴き取り難い上に、録音テープを開示するにあたり企業名と発言内容から企業名が推測できる部分を消音してある。そのために、聴き取り不能の個所が随所にある。聴き取り不能の個所については、反訳で****とした。 また、重要個所については発言者の声から、審査委員長・谷口汎邦と委員の助役・佐々木英和と判断できるものは、谷口は(委員長)、佐々木は(委員、助役)とした。 反訳した審査内容を精査すると、区役所の庁舎移転のための財源づくりが主目的の旧庁舎・公会堂売却であったにもかかわらず、審査が適正に行われなかったのがわかる。以下、審査員会第1回〜第6回(ヒアリング含む)(甲第40号証1〜7)に即して、順に詳しく審査内容を検討する。 1 第1回審査委員会、平成14年9月24日午後2時〜午後3時45分 (甲第40号証の1) 傍線部分1 助役・佐々木は冒頭のあいさつで、新庁舎用に「千代田生命の本社跡が区が取得することができました。それに伴いまして、その大半の財源を現用地を売却することにより、捻出しようということでございまして」といった。 しかし、原告はすでに準備書面(8)で指摘したように、その後の審査では区の財政的見地からの検討はまったく行われず、跡地利用計画の提案内容の審査のみを行ない順位付けし、売却価格については、単に予定価格を超過する1億円=0.1点というなんら根拠のない加点をして、最高価格より39億1000万円も安く、2番目の価格でも11億円も安い72億円の三菱商事を1位に選んだのである。適正な審査といえるものではない。 傍線部分2 土地利用計画提案の評価書素案(甲第41号証)が、第1回審査委員会に提出された。説明した審査委員会事務局の契約課長・加藤は、素案であることを強調している。しかし、最終的に審査委員が記入した評価書(甲第8号証)と比較すればわかるように、変更されたのは小項目「公害等」が3つの細目に分かれていたのが1つの細目なったこと。ただし、細目の内容は同じである。そして、価格評価が10億円=1点が、1億円=0.1点に変更されただけである。 評価書の内容の適否について、審査委員会で徹底的に議論することなく、各審査委員は記入したのである。 とくに問題があるのは、他の目的で積み立てた基金を60億円取り崩して、千代田生命跡地の購入資金の一部にあてるなど区の財政難でありながら、9人の行政側審査委員の誰ひとりとして、10億円=1点(のちに1億円=0.1点に変更)の根拠について説明を求めず、議論をしていないことである。審査委員長・谷口と事務局の契約課長・加藤は、その根拠を審査委員会で最後まで説明しなかった。また、審査委員として助役・佐々木がいるのに、佐々木もまた最後まで説明も質疑もしていない。 傍線部分3 委員長の発言で、「特に住民に説明を行いましたあとで、どういう反応があるかということを非常に大事にしなければならない」とある。けれど、 原告が準備書面(8)第1、2の(9)で指摘したように、提案した業者が住民を装って跡地土地利用計画提案の閲覧会場に集団で押しかけて、同じような意見を書いていったとき、その業者を特定しようとしなかった。そのことについては、第3回審査委員会のところで詳しく述べる。 住民の意見をそれほど重視するのなら、そもそも審査委員会には住民が誰ひとりも参加しておらず、審査委員会の構成そのものに問題あるというべきである。 傍線部分4 10月中旬の議会報告とあるのは、どういうことなのか。審査途中で審査内容を議会報告をしたことはないはずである。審査の途中経過を議会に報告すれば、審査の公正・公平が保てなくなる。ここでいう議会報告とは、いわゆる藥師寺区長の与党会派のことなのか。 傍線部分5 ここでは、事務局が各提案を購入希望金額を入れて説明している。 原告が、準備書面(8)第1、2の(7)で述べたように審査委員長・谷口は、購入希望金額が明かされたのは、審査委員会の最後の最後であると「監査委員協議録」(甲9号証)で虚偽の発言をしたのである。 傍線部分6 売却予定価格について、事務局は財産価格審議会(以下、財価審という)を開いて適正かどうか決定してもらったと説明した。しかし、区が財価審に諮問し、財価審の答申に基づき区が決定した売却予定価格は、5〜6階建のファミリータイプマンションを想定して算出ことについての説明はしていない。このことは極めて重要なことである。 なぜならば、区は本件土地を売却するにあたり、当初、5〜6階建マンションを想定していたことになるからである。旧庁舎は5階建、公会堂は3階建てであったのだから、5〜6階建マンションならば、周辺の住環境に調和した建物であるといえる。そのことを無視して、価格は単に予定価格を超過していることだけでよしとして、あとは跡地利用計画の提案内容だとした審査が行われたのは適正な審査ではない。 傍線部分7 審査委員長・谷口は、東京工業大学名誉教授であり建築学、都市計画が専門である。その谷口が、土地利用計画の提案内容に大きな差があるので、「次の第2回(原告注、第2回審査委員会のこと)のところで、個々の問題についてのいろんな内容については、事務局の専門のお立場での話を伺いたいと思っております」と発言しているのは、どういうことなのか。 審査委員会事務局は、区の契約課等の職員であり、応募された提案については窓口として知ってしる。しかし、各提案の中身が周辺の住環境と調和しているか否か等については、まったくの専門外の俗にいう素人である。それどころか、本件土地を公募提案方式で売却するにあたり、どうやって売却したらいいのかさえわからずに、売却手続きすべてを外部委託したほどである。原告が、準備書面(2)9、16頁で述べたように、UFJ信託銀行不動産営業部に0円で発注した業務委託内容を甲第13号証、甲第14号証で見ればわかる通りである。 審査委員長ともあろうものが、こうした発言をするのは、本来なら審査委員会がやるべきことを事務局まかせにしたことにほかならない。 傍線部分8 業者が土地利用計画を提出するにあたり、施設の内容について「プロポーザル、任意の提案ということで、区の行政のほうからは、そういう条件は一切出していないということですね」と委員が確認している。 つまり、区の行政に具体的な街づくりの計画も構想もなく、ただ応募上の留意点として、居住環境に配慮した街並み形成、住民への貢献、緑化等を抽象的に設けただけである。あとは、応募する業者まかせという、じつに杜撰極まる売却方法であった。原告が主張し続けているように、建物の高さ、総床面積、既存樹木の保存等の具体的な条件を付けて一般競争入札を行えば、価格の競争原理が働きより高く売却でき、なおかつ行政目的に合致した街づくりができたのである。 傍線部分9、10 ここでは、 売却予定価格と購入希望金額、そして街づくりのことが議論されている。事務局は「財源の確保が大きな大前提ということもございまして、一定の金額に達しませんと、なかなか確保できないということもあるから」と発言した。一定の金額とは、何を意味しているのか。この時点で、事務局はもちろん、審査委員全員が15提案中14提案が予定価格を超過しているのを知っていた。一定の金額とは、その後の審査過程から判断すると、予定価格さえ超過していれば、いくらで売却しても問題ないということで審査が行われた。区の財政的見地からの審査は皆無だったのである。 予定価格は、売却にあたっての一応の目安であり、区の財産を財源確保のために売却するのであるから、大差のない提案内容ならば、価格の有利性を生かして売却すべきであった。 委員長・谷口は、「企業のポリシーの中で、意図的にそういうことに対して非常にダントツな数字が出てくるんですね」と発言し、最高価格である111億1000万円の提案に触れている。けれど、価格の有利性では一番であり、財源確保には最適であるこの提案について、このあと委員長も他の各委員も何ら議論しようとした形跡はないのは、適正な審査といえない。さらに、委員長・谷口は「予定価格との関係でどう決めるかというようなところもあるかと思っております」と発言した。しかし、その後、審査委員会で111億1000万円の提案について、予定価格との関係、価格の有利性の議論は最後まで行われなかったのである。 本件土地売却を公募提案方式による随意契約と決定したのは、平成14年5月9日開催の区の最高行財政方針をきめる政策会議であった。その政策会議に提出され決定した「平成14年度における区有地の売却について(案)」(乙第25号証)の7、売却予定価格には、「一般競争入札と異なり、最低売却価格・売却参考価格などは一切公表しないものとする。*応募者に明確な価格の基準を与えない方が、他自治体の売却実績を見た場合、価格の競争原理が働きやすく、多様なプランを得る上で有利であると考えたためである」とある。 その結果、価格の競争原理が働き、委員長のいうダントツの数字である111億1000万円の購入希望金額の提示があった。しかしながら、価格の有利性を審査に生かさなかったのは、政策会議の決定に違反する。しかも、9人の行政側審査委員9人のうち、助役、収入役、教育長、企画経営部長、総務部長、新庁舎担当部長の6人は、そのことを決定した当該政策会議の構成員であったのである。 傍線部分11 助役・佐々木が、住民説明会に提案した業者が入っていたのかな、と発言している。もし、事実ならば、住民説明会での意見の中には、住民を装った業者のものがある。提案の閲覧に業者が集団で住民を装って押しかけ、意見を記入したこといい、公正を欠く行為である。 傍線部分12 審査委員長・谷口が、審査委員の助役・佐々木を「助役様」と呼び、特別扱いしているのである。第4回審査委員会でも「助役さん」と呼んでいるのである。助役・佐々木は、本件土地売却を決定したとき、審査委員長とされていたのであるが(乙第25号証)、実際に審査委員会が設置されたとき、谷口が審査委員長に就任した。 審査委員会の順付けによって、区長が契約することが応募要領で決められていた。そもそも契約者である区長の筆頭補佐役である助役が、審査委員になっていることが審査の公正さを疑わせるのである。 傍線部分13 住民説明会、提案内容の閲覧について議論しているとき、「はい。当然これ、業者も見に来ると、そのまま****」の」発言があった。見に来るどころか、集団で住民を装って意見を書き込むという不正が行われたのである。 傍線部分14 助役・佐々木が、「うん、いや、その当時は多分****区のほうは予定価格を設定しているけど、果たしてそこをクリアできるんだろうかという不安もあることはあったんです」と発言している。予定価格を超過して、売却できるかどうかの不安があったというが、提案されたうち1件を除き、14件が予定価格を超過しているのが判明し、予定価格を超過してさえいれば、価格については問題ないとしたのか。 また、助役・佐々木は、予定価格以下の提案について、「一応審査、ここでお願いしたというかたちにして、一緒に報告というのは駄目ですか」と発言している。地方公共団体の売却で、予定価格を下回れば、売却の対象にならないのは、いうまでもない。ところが、助役・佐々木は、審査対象にはずれた提案を審査もせずに、審査報告書に一緒に載せられないかという趣旨の発言をしたのは、いったいどういうことなのか。真意は何であれ、審査の公正・公平の原理を逸脱した発言である。 傍線部分15 事務局が、何を基準に採点するか、かなり難しいとは思うが、「あとは委員さんの裁量の中で採点していただければというふうに思っております」と発言している。このことは、つまり審査基準には確たるものがなく、委員各自が裁量で、提案の評価書に記入することだけが、審査であったことがわかる。審査委員会とは、名ばかりで審査委員会を合計6回も開催しながら、肝心な審査基準、評価書の記入方法について、徹底した議論、検討は行われず、各審査委員に共通の認識がなかったといえる。 傍線部分16 委員長・谷口は、評価書を作成するために2度3度と見直して、これに落ち着いたという。しかし、全体として大きなウエートを置いたほうがいい個所については、今後さらに見直すという趣旨の発言をしている。が、結局、審査委員会で最後まで、ウエートを置く個所の見直しはなかった。 2 第2回審査委員会、平成14年10月8日午後2時0分〜午後4時30分 (甲第40号証の2) 傍線部分1、2、3 事務局から各提案の説明が終わり、委員長・谷口が「1番から順番に時間を区切って何かご意見・ご質問等々がございましたらばご発言いただきたい」といった。事務局の訂正が終わったあと、傍線部分2で、委員長・谷口が、整理番号2番はいかがでしょうか、3番は、4番は、5番は、6番は、7番8番は、と催促しても委員からの発言はなかったのは、信じられないことである。こんなことで、審査委員会といえるのだろうか。なお委員長・谷口が9番、10番、11番、「それでは12番。一番購入希望金額が大きい****。それから13番目」といっても委員からの発言がない。整理番号12番は、購入希望金額111億1000万円の提案である。整理番号13番は、2番目に高い金額の83億円である。 各審査委員は、財源確保の売却で価格の有利性で1番、2番のこれらの提案に関しても、意見、質問がないのはどうしたなのか。なぜ、委員同士で意見交換をしないのか。自分はこう考える、他の委員はどう考えているのか、と議論するのが審査委員会である。こんなことでは審査委員会とはいえまい。このあと14番、15番についても委員からの発言はなかったのがわかる。 傍線部分3で、委員長・谷口は、さらにもう1度、1番から15番まで全体で何か意見はないかと催促した。結局、各提案の良否を順を追って審査していくことはできなかったのである。このような審査方法では、とうてい適正な審査がなされたとはいえない。審査委員は、自己の裁量で提案の評価書に採点するだけでいいと考えていたのだろう。 傍線部分4 住民説明会、住民への提案閲覧について議論しているとき、審査委員の助役・佐々木は、委員長・谷口を差し置いて、「ここで委員さんに議案を諮って****というよりは、今、基本的なところをお決めいただいたわけですから、あとは事務局ベースのほうでやっていただければいいと思うんですが」と仕切る発言をしている。そのあと、委員長・谷口は、「そういうようなものの一覧表を作っていただければ、基本的にすればよろしいですか」と助役・佐々木に従う発言をした。これでは、どっちが委員長かわからない。 ことほどさように、審査委員会は助役・佐々木が審査の主導権を握っていたのである。助役・佐々木といえば、原告が陳述書(甲第37号証)32頁でも述べたように、本件土地売却議案が議会に上程された平成15年3月6日の提案理由の質疑で、「正直申し上げますと、一番ご指摘いただく、よく事例に出される111億円という提案につきましては、私どもも予想外でございました。(略)その価格で売却することは、かえって区の責任さえ生ずるのではないかというぐらいの価格でございます」と答弁したのである。このことから助役・佐々木は、財源確保のためには最適である111億1000万円の提案をはじめから排除するつもりであったのがわかる。根底にそうした考えがあって、審査委員会を最後まで仕切ったといっていい。佐々木が委員会を仕切った発言は、のちの委員会でもあったので、その個所で原告は取り上げる。 傍線部分5、6 ここでは、まず事務局が評価項目、評価書の記入の仕方を説明し、「この細目、あるいは****について、これでよろしいかどうかということについて、あまり時間がありませんけれども、お諮りいただいて、この場で決めていただいて結構です」と発言。しかし、審査委員からは評価書の内容、適否についての意見、質問はなく、議論も行われていない。事務局の言いなりであった。 このあと委員長が、評価書について、「これを今日いただいていって帰って、この資料を見ながら、それぞれ時間をかけてご判断いただくという、そういうことをするということですね」と念を押している。このようなやり方では、評価書の内容に関して各委員の共通認識がないまま、評価書を持ち帰り、各自記入しただけである。 傍線部分6で、委員長は、「今回、本日の時間、中身の議論は無理かなと思って」と発言した。事務局も委員長も時間がないことを理由にしている。そして、委員長は「事務局としてもその辺を詰めていただきまして」と、審査の一番基礎になる評価書の内容について、中身を議論することなく、事務局まかせにしているのである。最高購入希望金額が、区の年間予算の10分の1を超える111億1000万円である区有地売却の審査をするのに、単に時間がないことを理由にして、こうしたやり方では、厳密に審査したといえるものではない。 傍線部分7,8 ヒアリングする対象を選ぶための議論をしているのだが、委員の助役・佐々木は提案全部を対象にするのではなく、予選をやったらどうかという趣旨の発言をした。また、委員長・谷口は、「ちょっとでも早く進むっていう方法が大事だなと思っております。どうですか、事務局としては」といい、事務局は、「資料が膨大でちょっと、なかなか****」と発言した。こうした拙速の委員会の進め方に対して、他の委員は誰ひとりとして異議を唱えなかったのである。 審査過程で、財源確保のためには、どの提案がいいのか、周辺地域の住環境に配慮した提案はどれなのかといった議論はまったくなされていない。提案内容と価格を比較考量した議論など眼中になく、拙速に審査が進められたというべきである。 傍線部分9 提案の中身を議論する時間がないといいながら、住民説明会のやり方について時間をさいて再三、議論しているのである。しかも、事務局は住民と審査委員会が最終的に順位付けする前に、もう一度説明会を開くことを約束しているので、事務局が住民説明会を開くといったら、審査委員である助役・佐々木は、「何を聞きたいんだよ」という横暴な発言さえしている有様だ。ここでも、一審査員であるとは思えない発言を助役・佐々木がしているのである。 3 第3回審査委員会、平成14年11月8日午後2時0分〜午後4時0分 (甲第40号証の3) 傍線部分1 事務局が、住民の近隣説明会を開催した結果を報告した。これまでの審査委員会経過から、説明会では各提案のイメージパース図等を示しただけなのがわかる。すでに審査委員には、提案全部についての購入希望金額が説明されているのに、住民には購入希望金額は説明されなかったのである。 本件土地売却が、庁舎移転のための財源確保であることは、住民も先刻承知していた。この時点での住民の関心事は、本庁舎・公会堂跡地に何が建つのかということと、もう一つは、いくらで売却できるのかということであった。より高く売却できれば、その収入を庁舎移転費用以外にも使うことができて、住民の利益につながることを住民も知っている。 住民に提案の概要を説明して、意見、要望を聞くのであれば、当然、各提案の購入希望金額を説明すべきであった。けれど、審査委員会は金額を説明しなかった。価格抜きで提案の概要を説明しても、そこででてきた意見、要望は、住民の真意を反映したものとはいえないである。価格を説明していれば、住民エゴに凝り固まった住民以外は、提案内容と価格を勘案して意見、要望をだしたのはいうまでもないことである。したがって、住民説明会ででてきた意見、要望は、価格を無視したものであり、審査の参考にするのは偏向したものである。こうした住民説明会は、価格を無視、軽視した審査委員会が意図して行ったというべきである。 傍線部分2、3 事務局が、傍線部分2で住民説明会での意見について「発言者について確認はしておりません」と発言している。普通ならば、発言者の確認は必要ない。しかし、第1回審査委員会、傍線部分11で、審査委員の助役・佐々木が、住民説明会で専門的な質問をしていたのは、提案した業者ではないかといっているのは、先述した通りである。 さらに、この近隣の住民説明会にも提案した業者がまたしても、近隣住民を装って出席し、発言していたと思われるので、発言者の確認が必要なのであろう。提案した業者が発言することは、住民説明会の本来の趣旨を台無しにすることである。あとから発言者を確認するのではなく、その場でなぜ、住民であるかどうかの確認をしなかったのか。 傍線部分3については、原告が準備書面(8)第1、2の(9)「提案の住民閲覧会場に業者が集団できた件について」で詳述した通りである。審査委員会は、この極めて悪質な不正を行った業者を特定することなく、また審査の最後まで、この不正行為を再び問題にすることはなかったのである。閲覧会場にいて業者が集団で押しかけた様子を目撃している審査委員会事務局の契約課長・加藤、事務局職員に確認すれば、業者は簡単に特定できたはずである。けれど、それをしていない。業者を特定できていたら、ヒアリングのとき、不正行為を問題にすることができたのである。悪質な不正行為を、いわば見て見ぬ振りをした審査委員会は、適正な審査手順を踏んだものということはできない。 傍線部分4 委員長が、近隣住民の説明会の意見について、「どうも超高層は基本的には受け入れがたいというご意見が非常に強いんではないかなということがございますけれども、その辺はいかがでしょうか。こういうことはやはり避けるべきではないかということが、まず一つあるような気がするのです」と発言している。予定価格を超過した14件の提案概要総括表(甲第2号証、事実証明書1)には、本庁舎跡地の提案に19階(整理番号4)、25階(整理番号6)、24階(整理番号24階)のいわゆる超高層の提案が3件ある。 しかし、超高層の提案を避けるにあたって、近隣説明会の意見を根拠にしているだけで、審査委員会はこの3件の超高層の提案が、周辺住環境とどこが調和しないのかを詳細に議論、審査することなく、結果として排除したのは手抜きである。住民説明会の意見だけを排除する根拠にするのであれば、審査委員会の存在理由はない。まして、近隣説明会には住民を装って、提案した業者が紛れ込んでいて、意見を述べた可能性さえある。審査委員会は、超高層の提案を排除するにあたっては、独自に審査し、その根拠を示さなければ、公正な審査いとはいえないのである。 また、審査対象を絞り込むにあたっても、購入希望金額と提案内容を勘案しなかったのは、不当である。 傍線部分5 この発言をきかっけにして、高齢者住宅についての議論が行われた。けれど、審査委員は高齢者住宅の提案については否定的であった。三菱商事は、ヒアリングで審査委員会のこうした審査委員会の否定的な議論を符合する提案説明をしたことについては、ヒアリングのところで述べる。 傍線部分6 審査委員長が、審査対象を選ぶにあたり、整理番号12、購入希望金額111億1000万円について、「12番がやはり予算的にも非常にダントツで、ですね。ですから、やっぱり一応これは聞きます」と発言した。価格の有利性では整理番号12が突出しているのは、提案概要総括表(甲2号証、事実証明書1)を見れば明らかである。2番目の価格は83億円、3番目が82億2700万円、4番目が81億円である。 区は庁舎移転の財源確保のために、区有地を20件余売却し、総額120億円を捻出する計画だった。本件土地が111億1000万円でできれば、あと8億9000万円で120億円になるのである。それほどの価格の有利性がある提案であるのに、審査委員長が、「やっぱり一応これは聞きます」と消極的な発言をしているのは、いったいどういうことなのか。「一応聞く」とは、常識的には、聞いたところでたいして役に立つまいが、一応聞いてみるという意味である。整理番号12、111億1000万円の提案について、審査委員全員が徹底的に議論すべきであるが、それをしなかったのである。ここでも審査委員会は、区の財政的見地からの検討をする気さえなかったのがわかる。 傍線部分7 審査委員長が、「区長へのご報告は順位をつけるのか、並びでいくのかというのがもう一つあるわけです。区長は順位をつけてくれと?」と発言し、それだけではなく、さらに事務局が順位付けを行うという前提があると委員長に説明すると、「応募要領に書いてあるんですか」と委員長は、考えられない発言をしているのである。 応募要領(乙第1号証)6頁の(買受者の決定)には、「審査した上で順位付けを行い、その結果を踏まえて買受者を決定します」と明記されているのである。委員長・谷口は、そんなことすら知らないで、審査委員長を務めていたのである。事務局が、応募要領に順位付けすると書かれているというと、委員長・谷口は。「ああ、そうですか」といった。委員長ですら、この程度の認識で審査を行っていたのである。 傍線部分8 審査委員長はヒアリングをする際に、111億1000万円の提案について、「果たしてその一番高い数字が本当に成り立つのかどうかっているのは」わからないので、実現可能かどうか聞いてみたいと発言した。しかし、ヒアリングが行われたときには、111億1000万円を見積もった根拠、提案の実現性について、審査委員長・谷口は聞いていないのである。また、他の委員たちもそのことに絞った質問はしなかったのである。 傍線部分9 審査委員長が、ヒアリング対象を絞り込む採点について、「非常に差をつけていただく」と委員たちに注文をつけているのは問題である。正当に審査すれば、当然、差がつかない採点もある。それを無視して、非常に差をつけてくれ、と委員長が注文をつけているのは、公正な審査を歪める強要というべきである。 傍線部分10 審査委員長が、ヒアリング対象を絞り込むことで、「いろんな区議会等とのあれでと」発言した。けれど、審査内容は区議会とは、まったく関係がない。むしろ、審査経過、審査内容が区議会、区議会議員に審査途中で漏洩すれば、審査に圧力がかかる可能性もある。区議会を気にする必要など、どこにもないはずである。理解に苦しむ発言である。 傍線部分11 評価書の評点の仕方は、項目ごとに点数をつけるよりも、評点者(審査委員)が評点を基にして、各提案の順位付けをするほうが正確ではないか、という発言が委員からあった。各委員がこのことについて、徹底した議論を行うこともなく、この方法が採用されて、ヒアリングだけではなく、最終的な審査も審査委員が順位付けをしたもの上位7位に、予定価格を超過した1億ごとに0.1点を加点したものを価格を含む評価として順位付けが行われたのである。(甲第2号証、事実証明書4)その結果、14提案中、価格で7番目の72億円の三菱商事の提案が1位に選ばれたのである。 しかし、最初の順位付けが価格を考慮することなく行われ、予定価格超過の1億=0.1点の加点方法に何ら合理的な根拠がないのだから、提案内容を価格を総合的に判断した正当な順位付けとはいえない。むしろ、厳格な評価基準を設けて、評価表の小項目、細目別に採点し、その合計点で順位付けをしたほうが、決めの細かい審査方法である。けれど、小項目、細目の設定の仕方に問題があるし、提案内容だけで順位付けした結果が、価格では逆転できないように意図的に、1億円=0.1点の価格評価基準にしているのだから、しょせん適正な審査とはいえないのである。 傍線部分12 審査委員長は、各審査委員が提案ごとに順位付けする評価方法について、「それはもう頭の中の操作ですからね、ご自身の。ですから、意識的に、1(位)はあくまで1(位)だっていうことで、あとはもうほとんどみんな同じだっていうような。逆に言うと(笑い)、完全に差がついちゃうわけですから」と公正な審査とは程遠い発言をしているのは、不適切極まる。さらに続けて委員長は、「それを出していただくほうが早いな」と、周辺の居住環境に配慮した提案で、しかも価格が有利な提案を審査して選ぶことよりも、「完全に差がつく」とか「早いな」と発言しているのは、あきれるばかりである。 傍線部分13 この部分について、原告は準備書面(8)12頁、第1、2の(8)「第3回審査委員会の「政治的判断」について」ですでに述べた。その後、ノイズ(雑音)で聴き取り難い録音テープと何度も聞き直し、反訳した結果、発言の細部と発言者に若干の異同があるが、原告の主張に変更はない。 重ねていうが、ここでも審査をしているときに、なぜ政治的判断だの区議会の方などと区議会議員のことが突然、話題になるのか、非常に不自然である。ちなみに、区議会についての発言のあと、区議会議員を気にしてか、「逆にそれをはずした具体的な理由は何だと。これだからこうしたっていう、本当にここまでの明確な根拠があるかというところにも、逆に言うと、問われる可能性がある」と発言したのは、委員の助役・佐々木であった。 この発言に対して、委員長・谷口が、「そう、それで、最終的な決定****、やっぱしね、ポリシーがものすごく利いてくるわけですよね。(略)もし思い込みがあればね、それはデザインは別にして、やっぱりこれでいくということはね、政治とは、そういうものだろうと思うんです」と、公正な審査にあるまじき発言をしているのである。単に審査委員の思い込みで審査をするのならば、審査とはいえない。公正・公平な審査で、勝手に審査委員の思い込みで審査し、政治とは、そういうものだろうと審査委員長が発言しているのだから、不当な審査の何よりの証拠である。 傍線部分14 ここの議論でも、提案内容と購入希望金額を比較考量せずに、議論が行われている。提案を審査するときには、価格を反映させないほうがいい、最終的に甲乙付けがたい段階で初めて価格を反映させるというのでは、価格軽視そのものである。結局、ヒアリング対象を選ぶのは、価格抜きで行われたわけである。 傍線部分15 委員の順位付けの評価点で、助役・佐々木は価格を省けと発言し、委員長・谷口はそれに同調して「じゃ、一応省いて****」といい、事務局も同意した。助役・佐々木が審査委員会の主導権を握っていたのがわかる。 傍線部分16 ここでも委員長・谷口は評価するときは、「がーんとダントツのものを造るような仕組みでやっていけば・・・」と発言し、ひとりの委員が「****できるものとできない****ですけど。****でもよければいいんですけども」と異論を挟んだ。が、審査委員会で、それ以上、このことについて議論することはなかった。委員長・谷口が再三にわたり、評価でダントツなものを作為的につくれと発言しているのは、委員長として慎重で公正・公平な審査を歪めるものである。 4 第4回審査委員会、平成14年11月8日午後2時0分〜午後4時0分 (甲第40号証の4) 傍線部分1 事務局は、1位を1点とする順位付けの基準を発表し、この方法で審査委員会は、価格を含まない順位付けを最終的にしたのである。 傍線部分2 ヒアリングをする前に、価格を含まない評価で整理番号7の三菱商事の提案が1位に選ばれて、ヒアリング後も三菱商事が1位であることに変わりはなかったのである。 傍線部分3 ノイズが多く、また発言がとびとびで発言内容を厳密に反訳するのは、困難であった。が、審査委員の助役・佐々木は、提案された建物の高さなどについては、審査委員会で意見をだして、最終的には区長が売却先の契約者と折衝して決める、「その方向性はこの委員会で出していただけるとありがたい」と発言している。一審査委員である助役・佐々木が、上記のような発言をするのは、審査委員としての立場と区長の補佐役としての立場を混同した発言であり、委員長を差し置いた越権行為というべきである。 そして、審査委員会が審査の過程でやるべきことを区長に折衝させようというのは、審査委員会の怠慢である。原告が、主張している条件付一般競争入札を採用していれば、こうしたことはなかったのである。 傍線部分4 ここでもまた審査委員長・谷口が、審査委員の助役・佐々木を「助役さんが言われたように、おっしゃったように」と敬語を使い特別扱いしている。そもそも区長の私的諮問機関であり、提案を審査し順位付けして区長に答申する審査委員会の委員に、区長の筆頭補佐役である助役を入れたのが間違いだったのである。行政側審査委員である部長たちは、萎縮してしまったのか、審査委員会でほとんど発言をしていない。 審査委員長・谷口は、ここでも再び整理番号12、111億1000万円の提案に言及して、提案の実現性について発言した。ヒアリングで実現性の確かさを確認したいと重ねていったが、先に述べたようにヒアリングでは、提案の実現性を詳細に聞いていないのである。 また委員長・谷口は、ヒアリングで、「そのときの顔色を見るだけでも判断がつくのではないか」と、いってみれば人相占いのような発言をしているのは、驚くばかりである。区の財政的な見地からの審査及び周辺地域の住環境との調和を考えた街づくりのために、真剣に審査しているとは思えない発言である。 傍線部分5 この発言について、原告は準備書面(8)7頁、第1、2の(4)「応募要領にある留意点について」ですでに述べた。整理番号11に関して「応募要領に、桜をどうすることというふうにあるのにもかかわらず、桜の木にはもう一切触れていない」と発言しているのは、録音テープを再度聴き直した結果、助役・佐々木であることが判明した。助役・佐々木もまた応募要領の留意点の内容を正確に把握せずに、審査をしていたのである。応募要領の留意点には、「緑化について配慮すること」とあるだけで、桜をどうするかという記載はない。 傍線部分6 審査委員長・谷口が、ヒアリングを実施することに関して、「あらかじめこれを聞くということは****。政治家の方でご発言いだければもっと非常に、もうほとんど順位を決めといてですね、よくある手なんですけど、順位を決めておいてですね、それをある程度形式的に****ですと、例えば****でも、可能性のある人には一生懸命いろんなことを聞いている(笑い)」と発言している。 なぜ、委員長ともあろう者が、こんな発言をしたのか真意を疑う。突如、政治家を例にだして、あらかじめ順位を決めておいて、形式的に話を聞くというのを紹介しているのである。委員たちに参考にしろというつもりで発言したのだろうか。しかし、あらかじめ順位を決めておいて、形式的にヒアリングするなど、もってのほかである。そうのようなやり方は、審査といえるものではないのは、いうまでもないことである。 5 第5回審査委員会(ヒアリングを含む)平成14年12月6日午後1時30分〜午後5時0分(甲第40号証の5) 第5回審査委員会は、途中で中断して、提案した業者のヒアリングが、1業者20分ずつ行われた。審査委員会とヒアリングは、別々に録音されている。しかし、審査委員会の録音テープは、どこまでがヒアリング開始前の審査であり、どこからがヒアリング終了後の審査なのか定かではない。反訳では、原告が発言内容から判断して、ヒアリング前とヒアリング後に区切った。 傍線部分1 ヒアリング前に事務局が、ヒアリング後に最終的に採点する評価書の変更点について説明した。変更されたのは、価格評価を加点する基準を予定価格超過する10億円=1点であったのを1億円=0.1点にしただけである。変更したところで、何の根拠もないことに変わりない。評価項目に関しては、評価書の素案の内容と同じである。評価書を改訂しないのは、これまで4回も審査委員会が開かれたが、その審査内容が評価書にまったく生かされていないということである。逆にいえば、評価項目のどこにウエートを置くか検討する必要があるという委員長の発言があったが、それに即した議論をしなかったということである。 審査委員会で大変な時間をかけて、ヒアリング対象を選んだ。その結果、ヒアリングが行われるわけである。委員長・谷口は、とくに111億1000万円の提案について、提案の実現性をヒアリングで聞いてみたい、と何度も発言した。それならば、ヒアリング後に記入する評価書に「提案の実現性」などの新評価項目を設けるべきであった。せっかくヒアリングを実施しながら、その結果が評価に生かされない評価書であった。 傍線部分2 ヒアリング後にひとりの委員が、評価書の不備を指摘して、街並みとの調和のウエートをもう少し高めてもいいのではないかと発言した。しかし、委員長も他の委員たちも、この重要な発言に何ら反応することはなかった。ヒアリング対象を選ぶ審査で、すでに三菱商事の提案が1位になっている。三菱商事の提案は、本庁舎跡地に13階建て、公会堂跡地に12階建てであり、街並みに調和しているとはいえない。街並みとの調和のウエートを高めると、整理番号3番、整理番号10番の7階建ての提案があり、順位が逆転して、三菱商事が1位にならない可能性がある。そのために街並みとの調和のウエートを高めなかったといえる。 傍線部分3 一人の委員が、最低の基準、つまり売却予定価格をクリア(超過)した提案なのだから、価格をはずして最終的に評価して、価格評価は事務局が1億円=0.1点を機械的に加点し、最終結果を決めればいいと発言した。この発言に対して、異議を唱える委員はいなかった。 価格と提案内容、そして他の提案との内容差、価格差を比較考量しての審査は、ヒアリングを終わったあとにも行われなかったのである。予定価格は売却にあたり、最低の基準を決めたものであり、それをクリアしていればいいということではない。応募された15提案中、14件が予定価格をクリアしており、予定価格の算定が低すぎたのである。財源捻出の本件土地売却なのに、価格の有利性を議論せず、また財政的見地からの検討もしなかった審査は不当である。 傍線部分4 ここでは各委員が、ヒアリング後に「今日の結果は非常に冷淡で、本当にやる気があるのか」「本当にそうです」「入れちゃったけども困っちゃったな。降りるに降りられないよというかたち」「そうですね、そういう印象を、同じです」「だから、おまえら、ちょっと行って説明して来いよというような感じで」などの発言があった。録音テープから肝心な個所が消音されているため、提案した業者名、整理番号はわからない。が、発言のやりとりから、整理番号12番、111億1000万円の提案についての発言と推察できる。 高い価格で応募したが、降りるに降りられず、「だから、おまえら、ちょっと行って来いという感じで」と勝手に想像をめぐらして、言いたい放題である。価格では一番有利な提案をした業者をまったく信用していないのである。111億1000万円の提案をしたのは、原告が開示請求し入手した「審査委員会会議録」(甲第2号証、事実証明書6)43頁の提案者が「風環境」について説明している個所に「しかしながら私どもの実績、野村不動産の実績においても」とあり、野村不動産である。 野村不動産といえば、マンション建設では優れた実績のある大手不動産会社であり、野村不動産がひやかしで応募するはずはないのである。信用できないならば、なぜヒアリングのときに、111億1000万円を見積った根拠、実現性などを徹底して聞かなかったのか。それをしないでおいて、「おまえら、ちょっと行って来い」などと疑ってかかり、悪しざまに委員たちが発言するのは、審査といえるものではない。 傍線部分5 評価書の評価項目を採点し、さらに総合評価欄の満点が10点なのは、配点が高すぎるという指摘が委員からあった。その委員は、評価を全部合わせたのが総合評価ではないかと発言している。もっともな指摘である。ところが、このあと10点をつける人はいない、5点なら5点でいい、大幅に変わることはないなどの発言があり、「それじゃ、その通りいくか。そのままでいくか」の発言があって、総合評価欄の変更はないことになったのである。評価の基本になった評価書は、不備のまま採点が行われたのである。 傍線部分6 審査委員長・谷口は、「午後はね、(略)庁舎を考える区議員の会の連絡会に充てさせていただいているんですね。やっぱりそういう要望が非常に強いからね」と発言しているのは、問題である。 応募要領(乙第1号証)5頁、(審査委員会)2に「審査委員会委員名は非公開とします」と明記されている。区が審査委員会の構成員を議会に公表したのは、審査が終了し、三菱商事に売却先を藥師寺区長が決定した後の平成15年1月になってからである。したがって、区議会議員といえども、審査中に審査委員長、審査委員が誰であるかは知らされていなかったのである。公募要領で審査委員会委員名を非公開としたのは、審査委員会委員に対する働きかけ、圧力等を未然に防ぐためにほかならない。 しかるに、委員長・谷口は、「庁舎を考える区議員の会の連絡会」とやらに出席するのは、不当な行為である。応募要領の趣旨にも違反する。しかも、「そういう要望が非常に強いからね」といっているのは、区議会議員が審査委員長・谷口から審査経過の情報入手、また審査に対する要望等を区議会議員が持ちかけるためであったのか。いずれにしろ、審査中に審査に関することで区議会議員に接触するとは、審査委員長にあるまじき行為である。これでは、公正・公平な審査が保証できない。それにしても、一部の区議会議員は審査委員長が谷口であることをどうやって知ったのか。藥師寺区長、助役ら行政側審査委員、事務局職員のいずれかが、情報を漏洩しなければ、知ることはできないのである。審査委員長・谷口が接触したのは、藥師寺区政を支えるいわゆる与党会派の区議会議員たちなのか。 6 第5回審査委員会、ヒアリング部分 (甲第40号証の6) (1)整理番号5 傍線部分1 審査委員である助役・佐々木は、公共施設について提案者に、仮にこのスペースはいらないといったらどうするのか、直営で管理するのはスペース的に中途半端だなどと聞いている。このあとのヒアリングでも助役・佐々木は、提案者に公共施設について集中して質問しているのである。整理番号7(三菱商事)のヒアリングのところで述べるが、三菱商事は公共施設650uの提案をヒアリングで1300uに拡大した。それとの関連で、助役・佐々木が他の提案に対しても公共施設について質問しているといえる。 (2)整理番号7(三菱商事) 傍線部分2 三菱商事のヒアリングについて、原告は準備書面(8)15頁、第1、2の(10)「審査委員会のヒアリングについて」で述べた。しかし、録音テープの全部を反訳したので、極めて重要なことでもあり、なるべく重複しないように述べる。 三菱商事の提案者は、事前に通告してあった質問事項のうち(4)「コミュニティ施設等がある場合で、当該施設の具体的イメージがあるか。その場合の内容について」に関して、「地域開放施設ということで私どもの一番の提案がここだというふうに思っております。(略)仮称「目黒フォーラム」と書いてございますが、名前はあれでございますけども、地域開放施設を設置させていただきます」と答えた。ちなみに、「目黒フォーラム」の名称は、目黒区が進めていた施策である「目黒区協働フォーラム」とそっくりである。単なる偶然なのか。三菱商事は、提案の一番の目玉は、このコミュニティ施設、つまり公共施設であると強調した。公共施設の概要について三菱商事の説明が終わると、審査委員である助役・佐々木がどのくらい面積を考えているのかと質問し、三菱商事は専有部分で650uくらいと回答した。 重要なのは、助役・佐々木のつぎの質問である。 「これ、具体的に今後、仮にこれじゃ中途半端だという話になったときには、まあ、際限なくというわけにはいかないでしょうけども、どの程度までだったら取れますよというふうに試算をされてます?」と助役・佐々木が質問すると、間髪を入れずに三菱商事の提案者が、「えーっと、私どもの考え方としましては、仮に650平米の倍の1,300平米でございますか、なりましても企業努力の中で吸収できるというふうには考えてございます」と答えたのである。 このやりとりの中には、不自然な点がいくつもある。 助役・佐々木が、公共施設の広さが中途半端だという話になったときには、どのくらいまで広くできるかと質問した、その聞き方は、「どの程度までだったら取れますよというふうに試算をされてますか?」である。試算するというのは、具体的な必要や要求があり、見当をつけるために計算をすることである。前もってどのくらいまで広くできるのか、ということを三菱商事に連絡していなければ、試算をすることはないはずである。また、「試算されてますか?」という聞き方はあり得ない。試算していることを前提にした聞き方だからである。 録音テープによれば、助役・佐々木は、突然、この質問を三菱商事の提案者にしているのである。 ところが、提案者はすでに試算をしてきたのだろう、即座に「650平米の倍の1,300平米でございますか、なりましても企業努力の中で吸収できるというふうに考えてございます」と答えた。前もって試算していなければ、こういった答え方はできない。不自然なことはまだある。 提案者は、公共施設の提案について、「私どもの一番の提案がここだというふうに思っております」と強調しているのであれば、公募提案方式で提案内容を競い合うのだから、最初から1,300平米で応募したほうが有利である。そうしなかったのは不自然である。助役・佐々木が、面積の拡大をいいださなければ、650平米のままだったのか。どう考えても、助役・佐々木と三菱商事の提案者とのやりとりは、事前に連絡、打ち合わせがあったと考えるのが、合理的判断である。 助役・佐々木は、原告の住民監査請求で目黒区監査委員が関係人調査をした記録である「監査委員協議録」(甲第18号証、18頁)下線部分(6)で、三菱商事提案の公共施設の広さが650uから1,300uに拡大されたことについて、「650あるいは605から1300になった経緯ですけれども、これは私の方もその理由、根拠なぜかよくわかりません」と答えている。審査委員会会議録(甲第2号証、事実証明書6)39頁では、公共施設の広さの拡大についての記載は「(委員)そうすると最大でどのくらいのスペースになるのか」「(提案者)倍の1300u程度は可能と考えている」とあるだけである。会議録には、委員の名前は記されていない。 助役・佐々木は、録音テープが開示されるとは考えてもいなかったのだろう。で、650uから1,300uに拡大されたのは、助役・佐々木がどのくらいまでひろげられるかと、自分で口火を切っておきながら、監査委員の関係人調査では「私の方もその理由、根拠なぜかよくわかりません」と虚偽の証言をしたのである。 さらに助役・佐々木は、ヒアリングで三菱商事の提案者に公共施設について「もっと端的に言うと区に還元するというふうに考えてよろしいですか」と聞いたあと、提案者「はい」、助役・佐々木「例えば、これは公共施設として使いたいと、もし要望があるとすれば」、提案者「私どもの収支といいますか、われわれの企業としての収支の中では、この施設を目黒区様に無償で譲渡するという前提で収支を組み上げております」という発言があった。 しかし、これも極めて不自然な問答である。というのは、三菱商事は提案書(乙第20号証)で公共施設の(仮称)目黒フォーラムについて、「具体的な運用等は別途、目黒区殿と協議させて戴きますが、区からの要請があれば区への譲渡も考えさせて戴きます」と明記しているのである。当然、助役・佐々木は、そのことを知っているのに、「区に還元するというふうに考えてよろしいですか」とか「公共施設として使いたいと、もし要望があれば」ともってまわった聞き方をしているのである。この点でも、三菱商事は公共施設が提案の一番の目玉だというなら、最初から譲渡するとしておけばいいことである。 助役・佐々木の要請で、三菱商事が公共施設を650uを1,300uにしたことといい、また無償譲渡にしたことといい、ヒアリングで審査委員の心証をよくして点稼ぎをしようという作戦と見ていいだろう。しかも、助役・佐々木と三菱商事の提案者の問答をつぶさに点検すると、事前の打ち合わせがあったとしか思えないのである。 傍線部分3 審査委員である助役・佐々木は、三菱商事の提案者を前にして、「****もし、かなり、やっぱりどういうもんだというか、しっかりと考えておられる」と褒めちぎっているのである。ヒアリングは全体で20分、審査委員の質問時間はわずか15分なのだから、褒めちぎることよりも、提案内容について詳細に質問をするのが審査委員の役目というものである。 助役・佐々木が、三菱商事を「しっかりと考えておられる」と褒めたのは、他の審査委員を誘導する計算があってのことだろう。 傍線部分3のこれ以降の発言に関しては、原告がすでに準備書面(8)第1、2の(10)「審査委員会のヒアリングについて」で述べた主張の通りである。 傍線部分4 この個所は三菱商事の提案者の発言だが、開示された録音テープは業者名だけではなく、発言内容から業者が推測できるとして、おびただしく消音されており、発言の文脈がたどれないほどである。しかし、原告が同じく開示請求で入手した「審査委員会会議録」(甲第2号証、事実証明書6)40頁、下線部分5と反訳を較べてみると、発言内容がわかる。録音テープも会議録も審査委員会事務局の担当課である契約課が開示したものでありながら、開示の基準が違うのは、どういうことなのか。 それはともかく、三菱商事の提案者の発言は会議録によれば、「私ども品川区辺りで高級住宅を作って売り出しをかけたりとかしているが、お年寄りでお金持ちの方しか住まない、あまりマンションとしては面白くない。こういう考え方からある程度の年収の方が買えるマンションを作るというのが趣旨である」とある。反訳と比較すると、概略は同じようである。三菱商事のこの発言は、第3回審査委員会の傍線部分5の高齢者向けマンション(医療施設付)に関連する発言である。高齢者向けマンションにつては、審査委員会で否定的な発言が続いた。とくに助役・佐々木は否定的であった。 三菱商事の発言、つまりお年寄りで金持ちだけしか住まないマンションは面白くないという発言は、第3回審査委員会の傍線部分5と符合する発言である。単に偶然そうなったのであろうか。 (3)整理番号9,10 傍線部分5 この発言については、原告は準備書面(8)第1、2の(10)の17頁で述べた。公共施設の面積は、14件の提案中で最大のA案が1,020u、B案が850uである。条件は三菱商事と同じ無償譲渡である。助役・佐々木は、無償譲渡かどうかは質問したが、面積を広くできるかどうかについては質問していないのである。面積を拡大して、三菱商事の1,300uより広くなったら困るからなのか。 (4)整理番号12(最高価格の111億1000万円の提案) 整理番号12のヒアリングについて、原告は準備書面(8)第1、2の(10)の17頁で若干述べた。ヒアリングの反訳を読めば、第5回審査委員会(甲第40号証の5)傍線部分4で審査委員たちが「非常に冷淡で、本当にやる気があるのか」「入れちゃったけども困っちゃったな。降りるに降りられないよというかたち」「おまえら、ちょっと行って説明して来いよというような感じで」と誹謗しているのが、言いがかりでしかないのがわかる。 111億1000万円の提案で、価格では一番有利である。ヒアリング対象に選ばれたのは、価格が突出しているからであったのに、111億1000万円と見積もった根拠を審査委員は誰も聞いていない。また審査委員長・谷口は、提案の実現性を聞いてみたいと事前に何度も発言していたが、ヒアリングで提案された計画の実現性に絞った質問をしなかったのである。 傍線部分6 審査委員長・谷口は、共通質問についての提案者の説明が終わると、日照関係の質問で、いきなりマンションの階層を減らすことはできないか、シミュレ−ションをしているかと質問した。もちろん、提案者にとっては想定外の質問であったろう。提案者が「シミュレーションはしておりません」と答えたのは当然だ。跡地利用計画は建物全体として計画するものである。すると、審査委員長・谷口は「してない」、提案者「はい」谷口「(略)私は階数の話を申し上げたけれども、今のご説明の時には階数うんぬんというか、一切なかったですね。どういう対応なんですか、具体的に」と詰問調で質問しているのである。 原告が準備書面(8)16頁で述べたように、三菱商事はヒアリングで階数を減らすことができると受け取れるような発言をした。が、実際には階数を減らすことに同意をしてないが、審査委員たちは同意したと誤解した。そうした三菱商事の発言があったために、111億1000万円の提案者に対して、無理難題である階数を減らせないかと質問して、三菱商事との差をつけようとしたといえる。つまり、三菱商事を有利にするための質問であったといっていい。 傍線部分7 この提案に対しても助役・佐々木は、他の委員を差し置いて公共施設について質問した。けれど、面積の拡大に関しては聞いていない。既存樹木の桜について、提案者は保存がベストかどうか実施計画時に検討するとしている。しかし、助役・佐々木は桜の保存は多くの住民の要望がある。もう何年ももたないと認識しているが、「この時点で新しいものを植えたほうがいいだろうというのは何か特別、あえて住民のそういう意向に反してそれをやったほうがいいだろうというお考えが」と質問し、提案者は「いや、そういうことではございません」と答えた。 住民から桜保存の要望書が提出されたのは、公募を締め切ったあとである。応募要領では桜についての留意点はなく、ただ緑化について配慮することとあるだけである。区は、事前に住民が桜保存の要望に沿って、留意事項に盛り込まなかったのは、行政の怠慢である。要望書が提出されたため、ヒアリングの共通質問に「既存樹木(公会堂の桜)の扱いについて。公会堂に桜を配置する計画の場合は、既存のままなのか新規植栽なのかなどについて」と入れたのである。 こうした行政の手落ちを棚に上げて「あえて住民の意向に反して・・・」などと質問するのは、ヒアリングというよりも、いわばイジメに近い。原告の主張する条件付一般競争入札を採用し「公会堂の桜を保存すること」という条件を付ければ、簡単に解決できたのである。 傍線部分8 助役・佐々木が、提案者に公会堂の「向こう側に地続きでNTT東日本さんの用地があるんですが、今回はそれについては全く考慮されてないんですか」と質問したのは、見当外れもいいところである。区がかつて内々に検討したしたことなど、外部の人間は誰も知っているはずがない。 まして今回の公募提案は、区の本庁舎・公会堂の跡地利用計画である。地続きであっても他人の土地である。なぜ、本庁舎・公会堂の跡地利用計画のヒアリングでそんな質問が飛び出すのか、理解に苦しむ。為にする質問というしかない。 傍線部分9 ここの質問、答えについては、原告が準備書面(8)17頁後半で述べた通りである。 (5)整理番号13(2番目の価格である83億円の提案。原告の調べによれば、三井不動産の提案である) 傍線部分10,11 350uの公共施設について、審査委員長・谷口が面積を増やすことは可能かと質問し、提案者は可能だと答えた。しかし、どのくらい増やせるかについては、詰めた質問をしていない。 助役・佐々木は、14階建だが近隣住民から高すぎるという話があったとき、どう対応するかと聞いた。傍線部分11で提案者は、「例えば高さを下げた分ほかの所で占有面積を増やせるようなことができるようであれば、経済的に変らなければご対応できます」と明解に答えている。三菱商事の階数を減らすのか、減らさないのかわからない回答よりもはっきりしている。 傍線部分12 助役・佐々木は、都立大学深沢校舎跡地のマンション紛争(目黒区議会に陳情が提出された)を例に挙げて、「同じ区内で某所で起こっておりますような状態を生じたくないという思いですので、その辺だけはひとつ」と発言した。これに対して提案者は、「そういう意味では14階の建物で、正直、現在の庁舎が建っております建物よりかは高い建物が建つわけですから、ご近隣さんにつきましてはそれなりの抵抗感あることは当然認識しておりますので」と正直に答えている。 助役・佐々木は、三菱商事のヒアリングでも同様の質問をした。本庁舎5階建、公会堂3階建の跡地に13階、14階の建物が建てば、近隣及び周辺地域の住環境を破壊するのは明らかである。だから、助役・佐々木、審査委員長・谷口らが、ヒアリングで各提案者に階数を減らせないかと質問しているのである。そして、マンション紛争を心配しているのである。このことは、つまり審査委員会は、周辺地域の住環境にいずれの提案も調和していないと判断したということである。 しかし、審査委員会は、最終的に三菱商事の本庁舎跡に13階、公会堂跡に12階の提案を1位に順位付けした。交渉して階数を減らすことはしなかった。周辺地域の住環境に調和していない提案を1位に選んだのである。 (6)整理番号14 傍線部分13 公共施設の広さは360uである。助役・佐々木は、ここでも公共施設について質問している。けれど、面積を広げることについては聞いていない。助役・佐々木が、公共施設の面積を広げるための質問をしているのは、三菱商事だけである。ヒアリングで佐々木は、公共施設にこだわり続けたのは、三菱商事が提案の一番の売り物であり、ヒアリングで650uから1,300uに拡大したことを際立たせるつもりであったのか。 7 第6回審査委員会、平成14年12月13日午後6時30分〜午後7時30分(甲第40号証の7) 傍線部分1 助役・佐々木が、「まず、十何件の提案があった中から、少なくともまず、価格を反映させると最下位であってもトップになるという状況もあり得るわけですよ」と発言した。さらに続けて「まず、第1次予選では価格を抜きでやりました。その中から今度は価格を反映して****、そういう手順でどうでしょうね」と発言している。助役・佐々木は、これまでにもまず、価格抜きで審査し、そのあとで1億円=0.1点の加点をするようにと発言している。このことは、取りも直さず、111億1000万円、83億円等の高額な提案が1位になるのを排除するためである。 価格抜きでまず順位づけして、そのあとに1億円=0.1点の加点基準であれば、111億1000万円の提案は三菱商事の72億円の提案を逆転できない仕組みになっているのである。購入希望金額を記入した全部の提案が提出されたあとに、1億円=0.1点の加点基準をつくり、かつ一次審査を価格抜きで行う審査方法は、111億1000万円を排除するため、意図的に決定された審査方法であると合理的に推察できる。 傍線部分2 ここでは、各委員が順位付けした順位の変更を行なっている。これでは、何のための各委員の順位付けかわからない。助役・佐々木は、学校、商業施設等のアイディアを評価して、価格を含む評価対象に残せと発言しているのである。ノイズや消音のため、聞き取り難いが順位の変更について「機械的にこの順番で****なくて、更にその間にね」「事実、その点をヒアリングをして、したという。あれで****やったということ****」「正式なあれではないけれど」といった発言がある。実際の審査とは、かけ離れたつじつま合わせの議論というべきである。 学校、商業施設等のアイディアを評価しろ、と最終回の審査委員会で突然、問題になったのは、評価書の不備によるものである。評価書には、跡地利用計画の用途、つまり住宅系なのか、あるいは学校、商業施設、高齢者向けの医療施設付の住宅系なのか等について、評価を記入する項目はないのである。それなのに、評価書の内容を議論、検討しなかったものだから、順位付けして区長に答申する最終の審査委員会で、このような混乱が起きたのである。 傍線部分3 14提案の中から価格を含む評価をする提案をいくつにするかという議論で、「いや、多分6とか7とかっていう数字は何となく説明がつかないんで、先程何か全体の半分をやりましたって****」「****提案のやつでその半分****」の発言があった。結局、7件の提案を価格を含む評価対象にしたが、何ら根拠も基準もないプロセスで決めたのである。1位の三菱商事の順位さえ変わらなければ、あとはどうでもいいと受け取れる杜撰な審査であった。 傍線部分4 審査委員長・谷口が、最終的な価格抜きの順位と価格を含む順位をまとめた。価格を含む順位の7位までについて、「その順序に書き換えられているということでよろしゅうございますか」と確認した。順位の入れ替えが行なわれたのである。しかし、三菱商事の提案は、価格抜き、価格を含むの両方の順位で1位であった。価格抜きで一次審査をして、そのあとで予定価格超過の1億=0.1点の加点方法による審査方法の結果である。順位点では、1位の三菱商事と2位の整理番号13、83億円の順位点差は、わずかに3点で接近していた。(甲第2号証、事実証明書4)したがって、加点方法を1億=0・1点ではなく、例えば1億円=1点とすれば、順位は逆転したはずである。 傍線部分5 審査委員長・谷口は、順位付けして藥師寺区長に報告するが、この傍線部分で審査資料の取り扱い注意をするように委員に説明した。第6回審査委員会が行なわれたのは、平成14年12月13日である。しかし、審査委員長・谷口は続けて、「特に17日に議会関係に報告するということでございますので、その点をじゅうぶんにご理解いただきたいと」と発言している。資料の取り扱いを注意しておいて、議会関係に報告するとは、いったいどういうことなのか。 藥師寺区長に審査委員長・谷口が順位付けした結果を報告するのは、12月16日であった。区側が審査結果を正式に議会に報告したのは、平成15年1月中旬になってからであった。区長に報告する翌日の12月17日に議会関係に報告するというのは、議会への正式報告でないのは明らかである。藥師寺区長の与党会派、つまり自由民主党区議団、区民会議(民主党区議など)、公明党区議団の代表者である幹事長に、藥師寺区長が答申を受けた審査結果を報告するということか。 審査委員長が審査の途中で、区議会議員の連絡会に出席すること(第5回審査委員会、甲第40号証の5、傍線部分6)といい、区長に答申後ただちに議会関係に報告するといい、本件土地売却の売却先決定までに、区議会の与党会派が関与したといえるのである。審査委員が三菱商事を1位に順位付けして、区長に答申したあと、平成14年の年末までに売却先を決定し、議会に報告するということだったのに、平成15年1月に遅れたのは、与党会派の足並みがそろわなかったためであるといわれたのである。 本件土地売却は、議会の議決を経なければ、契約ができない案件である。けれど、売却先決定までに区議会の与党会派の関与があれば、とうてい厳正で公正・公平な審査及び売却先決定であったといえるものではないのである。 傍線部分6 審査委員の助役・佐々木が「実はかなりの方が今日会って今日決まるんだっていうようなことをしきりにおっしゃっておられる。そういう意味では全委員さんにこの情報管理についてはきちっとお守りいただきまして、ある時点でオープンということに」と発言している。しかし、上記の傍線部分5で述べたように、審査委員長が12月17日には議会関係に報告するといっていることと矛盾している。情報管理がしっかりしていれば、助役・佐々木のいうように、審査委員会で売却先が今日決まるのだということは、外部の人間は知ることができないのである。審査経過が筒抜けであったのがわかる発言である。 第1回審査委員会〜第6回審査委員会(ヒアリングを含む)の審査内容、審査経過の問題点を点検した結果、とうてい厳正で公正・公平な審査といえるものではなかったのは明白である。 以上 |