◎虫

今日 虫を一匹重傷にしました
もがく姿が私に似ています
苦しそうです
でも とどめが刺せません
自分の未来を
壊してしまう感じがしたから
羽をばたつかせてします
足も一生懸命動かしています
私はこれから何をすれば
いいのか解らずに ゆっくり
死にそうな虫の
今際の際を覗き込んでいます
虫の喘ぎが聞こえます
泪もちょろっと見えてきました
私の視界もぼやけてきました
私も一匹の虫に過ぎないと
感じ始めています
動きがだんだん鈍くなって
痙攣が始まってきています
私なんだ この虫はと勝手に
想像しています
殺してあげたくて手が
疼き始めています
動きが止んだので息を
吹きかけてみたら動きました
殺したいです
殺したいです
でも生かしたいです
そこに居るのは私です
助けたいです
もがいています
苦しんでいます
死に束縛されそうです
動きが止まりました
何をしても反応しません
死にました
今 名も無き虫が死にました
私は虫に ざんげします
私は名も無き私を殺してしまいました
許してください

この詩に感想を書く          一つ上に戻る