◎未完

生きるか死ぬかを
考えながら
目の前にある固定世界を
手のひらで
愛撫している

緊張感のない冷めた一日
笑いながら 何のために笑うのか
考え抜いた先に
惰性のまどろみが韻律を
奏でている

何時からか生きながらにして死体だった
何時からか笑いながらにして能面だった

猫が阿波踊りをしてても
人が刺しつ刺されつしていても
感情の起伏は何故か
なだらかだった

木偶人形になりながら
酒を楽しそうに飲む
ふりだった
真似だった

全てが遅かったのかもしれない
現実的にとか 現代人とか
捨てられない柵を
抱えた時に
愛も情けも思考回路も
硬くなっていた

詩書不硬直 詩書かずして硬直し
我涕乍笑顔 我涕き乍笑い顔
然未不冷夢 然し未だ夢は冷めず
未暗中模索 暗中模索は未だ
完成域辿着 完成の域に辿り着かん

この詩に感想を書く          一つ上に戻る