◎落武者挽歌

くだらないと呟きながら
琥珀の酒を飲み
情けないと嘆いては
ふらふらと不埒に笑う

突風に抗う事もなく
雨には撃たれ放題
心に硬く負けるものかと握り締めた確固たる決意を
打ち込んだ刀は もう
錆付いている

時間の加速を呪い
止める事のできない老いを呪い
幼き頃に打ち上げた
素晴らしき夢を呪い
ただただ 自堕落と切磋琢磨する

神の木々が生えたる川の地で
否応無しに高価な鉄の塊を手に入れるため
腹違いの偽野武士達と談笑し
深夜 頭を抱え泪する

何のために産まれたのかと問う
(悔やんでいられるほど時間はないが)
何のために身を削るのかと問う
(犠牲は全ての誕生である か)

答えを賢者に求めては見つからず
己にぶつければ深淵に誘う
呪い嘆き咆哮し平伏す
平成時代は嘘と曲芸と空想と欲望の固まり

(ならば全てを斬ってやろうか)

(ならば立ち止まっていてはいけないではないか)

(今 ここに転がっている石ころを
 何時か流星に昇華させてみせようではないか)

(今が俺であり 俺が今ではないのか)

さて 今から何をしようか
今からどう動こうか

腐りはじめた 体を心を
いざ 平成時代の風にぶつける

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