世界が朝日を浴びて
静かに震える時
少女は気だるく大人になり
少年は見果てぬ夢を追いかけて
宇宙を駈け巡る想像を旅し
山の奥にある木々の小枝から
夜霧の中で生まれた水滴が
ゆっくりと泉に滑り落ちる時
優雅に恋人達が素敵な未来を語り
瓦斯の灯が燈る家々では
暖かな食事が用意され
番犬は静かに食事を待っている
淑女も婦人も紳士も伯爵も
流れの早い川の水面に
未来永劫に続くであろう
己の子孫の豊かな繁栄を願う時
その建物の裏側で
冷たくなった我が子を抱いて
泣きじゃくる痩せ細った女がいて
その現場の遥か先に
豊作を期待して小麦の種をまく
ゆったりと時間を味わう 人生の達人になった
老夫婦が笑顔を交わす
百億の昼と(または百億の笑顔と)
千億の夜が(または千億の悲しみが)
華 開く瞬間
人々の幸福も不幸も
世界は静かに
淡々と受けとめている