狭い視界で籠の中
凍り付くよに生まれる思考
羽ばたく事すら忘れて
飛ぶ気力すら失って
大海を夢見がちな午後のまどろみ
羽には重たい鎖
身動きすれば 食い込み擦れる
赤い泪の訳を探し
水の容器に口を近付ければ
孤独孤独と喉を占領
止まり木には
有刺鉄線
地べたに薄い憂いの布切れ
(生まれた訳を簡潔に教えてください)
生まれた事よりも
寒さに震えるその室温に悪態を吐き
差し出される餌には
おためごかしの深い味わい
自分が鳥なのか何なのか解らないまま
巨大な世界は綺麗な声で鳴けと急き立てる
鳴けの意味すら解らずに
詠う気持ちは宇宙よりも広く
詠わない気持ちは無限に纏わり
飼い慣らされる孤独の世界
錆付いた檻の先には希望がいっぱい
そんな哀れな私は
震える事すら疲れ果て