◎骨の詩

軋む
軋む(間違いなく私の骨の楽曲)
背骨 私の

私の背骨

嘘が軽めの錠剤と自己主張を始めた時に
そっと肩甲骨が割れた

安穏とした戦争反対の国に生まれて
少し緊張感も危機感も失われ
そっと重ねる愛情を
ただの商品と感じるようになり
白い小犬の無邪気な甘噛みを見詰めては
その鋭く尖った牙に冷や汗を覚え振り払う

何かを取り違い 何かを敵と認識し
暴れる胸骨に
世界の惰性を感じさせ
私は 天翔ける龍の咆哮の様に
骨を震わせ 心を震わせ

街灯が静かに華開く頃
そっと崩れた頭蓋骨に
(それは 私の骨だ)
一匹の小さな虫が止まる様子を
じっと見ている

軋む
軋む(間違いなく私の骨の楽曲)
背骨 私の

私の背骨

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