◎震える手

震える手
震える手
震える手を掴みながら
何が真実で何が嘘なのかを
しっかと 日々死滅していく
皺の少ない脳に問い掛け
感情の起伏の少ない心に打つけ
今日もまた静かに

震える手
震える手
震える手を叩きながら
八方塞の惰性で飲む酒の不味さに
顔を顰め
笑い
涕く

問い掛ける過去の思い出
枯れていく五感
詩人を目指しながら
詩人を疎み
反体制な嘆きを書き綴っては
しこたま酔い潰れ
誰かの悲しみに耳を傾けても
何かを感じるのかと
また 心に 頭に 手に問い掛ける

震える手
震える手
震える手に安酒を零しながら
空行に静める意味深な嘘を愛し
今を愁う
己を愁う

震える手
震える手
何を見たい?
震える手

この詩に感想を書く          一つ上に戻る