◎案山子の憂鬱

願いは 風の様に
想いは 河の水の様に
変化を受け入れては
刻まれたり 砕けたり

絶えず前を見続ける
哀れな案山子が零した泪
届く事の無い桃源郷の空に
一握りの雲を作り

白々と開ける朝日の舞台
眩しくて 眩しくて
差し出した 願いを乗せた掌も熱く
空虚な悲しみ
螺旋の繰り返し

頭の中に描く夢と
心の中に描く夢の
違いが解らないから
何時まで経っても夢は夢で
何時まで経っても想いは想いでしかなくて
胸の中で生まれた炎は精神を
燃やすしかできない

誰かに託すほど大きくもなく
誰かに託すほど鮮明でない その夢は
毎日毎日浮浪者の様に
出かけては戻り
哀れな案山子を悩ませる

願いは 風の様に
想いは 河の水の様に
変化を受け入れては
刻まれたり 砕けたり
空っぽな頭と空っぽな胸に
そっと掌を付けて
嘆く 叫び

この願い誰かに伝えたくて
この想い誰かに伝えたくて

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