吠える 噛み付く 殺しの情欲
お前はいつも目が鋭く
口を開けば血生臭い涎を垂らして
荒野をよたよたと闊歩する
お前に与えられた生殺与奪
私は心から心から 羨ましく感じ
お前に与えられた生き残りをかけた術
私にも余す事無く与えよと咆哮する
しなやかな足の筋肉に 感嘆を唱え
鋭く赤黒く光る爪に 血潮湧き起こる感情を覚え
お前には獲物を殺す権利があり
お前には獲物を逃がす権利がある
嗚呼 私は ふと思う
例えお前が冷たい檻に囚われようとも
残酷なまでの素敵な本能は
決して消える事はないだろうと
獅子よ
嗚呼 獅子よ
私はよくお前になれればと 何度も思う
一挙手一投足が自分の未来を咲かせるのなら
人間に囚われ剥製にされようとも
その瞬間まであがける強さに惚れ込んで
小さな小さな島国の歯車に改造された時から
私はお前になる事を渇望する