この街は
一日に一回以上
救急車が走るから
とても
心がすさむんだ
耐え切れぬ苦痛の声を
尊い命が 常世と現世を右往左往しながら
激しく叫ぶから
私はすれ違うたびに
唇を噛む事しか
出来ない
命はどんなに入れ物が強靭でも
消えかける蝋燭の火の如く
儚く弱く
残された者の声すら聞き取れぬまま
滅していく
私はすれ違うたびに
心を痛める事しか出来ない
希望ある世界を求む
夢のある現実を求む
この街は
一日に一回以上
救急車が走るから
誰もがやるせない気持ちを抱えて
歩いてゆくんだ