少し嘘が怖くなった
(果て無い世界にただの旋風)
少し嘘が大きくなった
(割れた大地に顔だけ隠して)
少し嘘が酷くなった
(今朝見た鏡に私じゃない私の顔が映り込む)
少し嘘が悲しみを背負った
(誰かの泪が大河になる時
とても昂揚していた現実感から
急いで走って逃げ始めた)
だから少し臆病になった
少し嘘が痛くなった
(誰かの顔色伺うように)
少し嘘が重くなった
(矛盾を正常にする為なら何を言っても良いと思った)
少し嘘が匂った
(体臭の様に体臭の様に)
だから嘘が綺麗になっていく
(染み付いた習性を
修正する暇を与えず
身はどんどん重くなる
心の敏感さが失われる速度に比例して)
だから嘘が鎧になった
誰かが鳴咽する
私は何も感じなかった
誰かが罵倒する
私は何も気付けなかった
少し嘘が嫌いになった
その時 世界が少しだけ綺麗に見えた