◎妖怪

街の雑踏を見ては唾を吐き吐き
優しい親子連れを見ては有り得ないと呟いて

醜い己の価値観を
正当だと固定してかかる
阿婆擦れ観念

すがり付くのは
孤高と喚く繊細な孤独感

誰かが染めたからなんて
五月蝿い程に喚き散らして
保護する己の弱さを糧に格好つけ
見えざるものを見えると
嘯き

他人との距離感が開けば開く程
それが高貴だと勘違いしての
無常間に酔い痴れるなら

酔い痴れるなら
醜さの定義も履き違え
美しさの定義に牙を剥く
己の価値観に勝手に当て嵌めた
お前の姿はまるで妖怪

(お前の姿が人間なんて悲しくなるから)
(お前の姿が人間なんて寂しくなるから)

おやすみ 妖怪
利己主義で築き上げた
罅割れた殻に閉じ篭もれ

さよなら 妖怪
排他的主義を欲望のままに
零しながら砕け散れ

おやすみそしてさよなら
鏡に映った私と言う名の
果てしなく醜く
果てしなく狂った妖怪よ

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