◎今際の際

命の焔が燃え上がり
今日の世迷言は静かに広がり
闇雲に啜り涕く
稚拙な虚無

灯火が一つ

陽炎の様に移ろいゆく季節を
逆さまから眺め
少し陰鬱になったならば
どこかで響く蟋蟀の
哀愁引き摺る悲しみよ

灯火が一つ
命が一つ

彷徨う魂 延々と
悶え苦しむ悪寒の日々に
今日こそ極楽浄土を見ようと
我武者羅に歩き続ける
稚児に似た気質

灯火が一つ

あの夕日の中に忘れ形見
誰も知らない白い夢
呆けて頷く命の終焉
その時
僅かに揺らぐ何かの影

灯火が一つ
命が一つ

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