◎悔恨の箱庭を見詰めながら

俄かに雲が流れて
心は静かに揺れて
声にならない嗚咽を漏らして
季節を越えて
魂震えて

輪廻する思いを纏め
それは目に見えず美しい物と褒め称え
厳粛で侘びしい空を見詰め
一人の箱庭
密かに崩して

流れる惰性に
上乗せする後悔に
巡り巡る螺旋する風に
積み重ねる年齢を
年輪の様に描いて

擦り減らす神経 見えない駆け引き
眠りたい胸の内 誰も知らない精神 誰も見ない現実

孤独と逃げる獣道
諦めと言う道標
ぞんざいに暑かったあの夏の蟻の行列
見付けられない未来
悔やむ独り遊び

徒然に語る
哀愁の説法と遊郭の歴史
そう遊郭と言う名の時間強姦を
繰り返している己の醜さ

芸術の息吹に苛む
心は純白でありたいと
汚れた街道で
涕きじゃくる今

冷笑を華に変えて(声は微かに震えて)
失笑を夢に変えて(心は厳かに涕いて)
苦笑を愛に変えて(夢は穏かに消えて)
魂が飛び回る箱庭を見詰め
淡々と語る薄い薄い自分史を
今も大事に抱き締めながら
独りで占う箱庭の後先
結果はいつも同じだった

独りの箱庭
密かに崩して

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