◎光苔

暗い世界で
ちらちらと光を放つ

(例えそれに意味がなくても)

誰かに見向きもされず
誰かに愛しいと言われず

ただ静かに時間の風と
森林の息吹と冷たい雨が
観客で観衆で

ちらちらと光る
その緩やかな自己表現
その中に
存在証明を願う
孤高な息吹と
小さな願いを含みながら

(例えそれが無意味だとしても)

ここにいる
ただ光る明滅の中で
孤独と群生の語らいを
聞きながら

ここにいる
ちらちらと光りながら
雨水を飲みながら

日陰の中から
理屈抜きの
存在証明

(ここにいる)
(私はここにいる)

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