赤く燃える
曼珠沙華
揺れて揺れて
寂し気な秋
遠くに鴉の響く声
春に思う秋の悪戯
彼岸の際の
曼珠沙華
悲しみ暮れる
空ろ気な秋
空蝉に似た
空虚の抜け殻
祭囃子はとうに絶え
杏飴は干乾び
金箔の稲穂
雷鳴逃げた
風に揺れる
曼珠沙華
移ろい行く魂の
慟哭な秋
走り去る子らの
楽し気な回想
何処までも強く
田畑に響いては
思い出の夏に
日の匂いを被り
冷たく眠る
赤く赤く燃える
曼珠沙華
激しく火照った肌を舐め
秋風の優しさ
切ない匂いを運んでは
今日も
揺れ