刻まれて粘り
粘っては醤油
日本人に馴染み深い
命の香の螺旋の実と行為
鰹節が惰性で
小鉢が小さくて
口が緩やか
だからどうか
咀嚼をやめないで
粘り気のある
未来に目を伏せず
腐りだした過去の陰鬱に
舌を出さずに
今はただ
日本人の性を求めて
(ほら掻き混ぜる快感と
ほら啜る嫌悪感の狭間で
忘れかけている侍気質の扉を開いて
日本人である事に
誇りを持って
誇りを持って
埃を被って)
緑の願望を
ほら噛み砕いて噛み砕いて
舵取りを忘れた平成時代を眺めながら
静かに小鉢に接吻を
刻まれて粘り
粘っては醤油
侍気質を求めて
今日も啜る