我が心に般若の面と童子の面を
我が心に修羅の面と菩薩の面を
我が心に色爺の面と神童の面を
(闇夜に回るは能面の雲取舞)
(闇夜に回るは能面の神招舞)
抱えきれない能面が
呂律の回らない思考を隠し
一筆に込める煉獄の詩想
そして毎晩小生の心を掻き乱す
経文の共鳴の如くに
色鮮やかな木彫りの嘆き
目くるめく羅漢の能舞い
流れ出す過去からの雅楽を
胸中に響かせ掴めない涅槃への
焦燥は語り部無くした悔恨を
崩す事なく具現する
心の角度少し変えれば
泣き顔笑い顔怒り顔呆れ顔
己でさへ扱えない
喜怒哀楽の妙技にはまる
黒い炎に包まれて
白い炎に包まれて
舞台が闇 小生は夢
気絶する幸福論を
咲き終わりの菖蒲に預けて
我が心に般若の面と童子の面を
我が心に修羅の面と菩薩の面を
我が心に色爺の面と神童の面を
(闇夜に回るは能面の雲取舞)
(闇夜に回るは能面の神招舞)
さあ今宵
どんな能面で小生を彩り舞おうか
幽玄と地獄の夢の間で