◎酸化

反応したのは
分子や粒子ではなくて
ただの心の薬品と
曖昧な果実を育てた
我が質素な人生で

改定していく時間の施錠が
激しく明滅するから
一人法師の猿真似が
綺麗な花畑で
咲き乱れて

感覚が鈍く光り輝き
悲しみは居候
家と言う名の心は知らぬ間に
今日も元気に崩れ出し
帰る場所が見つからないから
一生懸命に虚栄と切磋琢磨

錆だしているのは
生き様か惰性の性情か

熱を放ちながら
二酸化炭素ばかり
欲するこの体の夕闇を越えて
赤錆に転ぶ人生の儚さ
回顧したはずの
甘い怒りばかりが
心の留め金崩してる

痛いから
醜く錆びる心を
見捨てるのではなくて
痒いから
酷く綻びる心を
見放しているだけ

何に結びついて
反応しているかと言えば
分子や粒子ではなくて
ただの心の薬品と
曖昧な果実を育てた
我が質素な人生

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