◎自動書記的堕落古事

赤い月が降る晩に(虚言癖含有量は世界一)
知らない貴方は立ち止まる
(濁流と共に流された
 懐疑的な未来を見捨てつつ)
酒の比重に抑揚を唱える

片手間で壊した片腕が
白い女の腕の様で(確か一昨日目合った炎の女の腕)
どこか興醒めしながら辿る煙幕の空
見詰め返してくる過去の恋慕を
毎回洗濯機に放り込んでは
悔恨の螺旋に通じる地獄を召喚

同じ様な月日ばかり眺めるから
泪だって慣例性欠乏症に
そうして薬漬けの様な
幸福論ばかり黒い教祖は話すから
散り散りになったあの日の夕暮れ
白い箱車は旅に出る

自動書記の様な酔いどれ人生に
何食わぬ顔して降り注ぐ
二日酔いの太陽の眼差し
手を振りながら残虐なまでの春の日向に
拘って捨てる老女の思い出は紫の花瓶
(何の話しか解らないならば答えはあっていると思って良い)
だから貴方は悔恨のうちに手足を失って
無脊椎動物の思考を背骨に組み込むだろう

凍え出した禁じる手を
無責任に解放しながら
流れ出る言葉と狂った言葉の狭間で
長い髪の男の様な虚勢ばかりを気にしつつ
(目を閉じて見えてくる)
仮初めの挙式
無償の烙印
(楽しめ楽しめ)

赤い月が降る晩に(虚言癖含有量は石灰岩よりも多く)
赤い月が降る晩に(虚言癖含有量は虚無感よりも少なく)
何も知らない貴方は立ち止まる
(これより先はよくある邪教の黄昏と
 似非教の豪華絢爛な乱舞の売春です)
だから何も信じられない貴方は
駄々をこねる稚児の様に
狂った紙質に文字を塗りたくる

最終破壊的突発元凶発破遺言或いは
楽観主義者の怒涛の咆哮を

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