◎冬虫夏草

冬に虫は静かに息絶え
夏に草は艶やかに茂る

栄枯盛衰と詠えば
余りにも当たり前すぎて
思考だけで何かを
決め始める

固定観念の渦に飛込みながら
指して変らない知識をひけらかし
自己満足ばかりの
弱肉強食

奪える物は全て
寄生してでも手に入れ
残る残骸さえ躊躇の暇もなく
吸収の極み

溢れるばかりの物欲と
枯れていく正義が
どこか遠くで交わり始め
悔恨と困惑が
紙幣で消される時

狂犬の様な
風体を持ってしても
余りにも幼い生き様だから
長い物に巻かれる
その前に反逆の糸口すら
畏れて捨てる

継ぎ接ぎだらけの魂を持って
幻滅な有終の美ばかり
追い求める哀れな虫が
静かに息を引き取る
その今際の際で
願う事は
どうか えも言われぬ
自然に躯を捧げたい

冬に虫は静かに息絶え
夏に草は艶やかに茂る
人はいつまでも才色で
小生は何処までも孤独で

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